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魔王軍の軍師と将軍物語(仮)  作者: 神那 悠樹
―prescelto:抜擢―
34/59

当たり前、でしょ?

―――――――――――雪杜Side




「フン…なかなかやるじゃあないか」

「そりゃどーも…」




準決勝戦まで勝ち抜いて(もちのロンで無敗+無傷+全試合圧勝だ。だって…初瀬がじきじきに言って――――といっても目線だけだけど――――きたんだぜ!? その通りにしないと死ぬ。ってか八~九部殺しにされる!)準決勝の相手が総司令官サンだった。


うん…がんばってる、とは思うぞ? 俺も。

…………部下の人たちが、だけど。



だってすごくねぇ!? アイツが戦う試合試合…敵が全部自分の部下なんだぜ!?

適当に戦ったら降参、もしくはめったやたらに手加減してる(上手くごまかしてるけどな! でもそれなりに実力あるヤツだったら一目でわかるぜ!)か、そのどっちか。


なんつーか…基本的にみんな目が虚ろでした。



…休憩時間に聞いた話だとこの武芸大会ってそれなりに名の知られたヤツで、戦闘職(ゲームで言う戦士系だな。初瀬とかシオンとかの魔術師とか、レインバルトみたいな工作兵種は『技術系』って分類されてる)だけしか参加が認められていない。

―――――で、基本的に貴族から軍属になったのって言うのは基本的に魔術師とかの後方支援が多い。

んなもんだから今回の大会に出れる総司令官サンの実際の取り巻きってのは少ないそうだ。


つまるところ、今回の八百長に参加させられてんのはヤツの権力に逆らえない一般家庭出身の兵士達が多いそうで。



初瀬も俺のことを利用したり、理不尽なこと言ってきて苛めたりするけど……あいつは自分のために動かないし、理に適わないことっていうのは嫌いなヤツだ。

それに、なんだかんだ言ってお人よしだしな…気に入ってるヤツにだけだけど。




「君にはあの副部隊長君がいなきゃ何にもできないと思っていたのだが…認識を改めなきゃいけないようだねぇ」

「いや、別にしなくていいっすよ?」




ニヤつくその男の言葉に俺は真顔で返答する。


―――――――その認識は正しいし、本当のことだと思う。

俺一人じゃ絶対生きていけなかったし…生きていたとしても上手いこと口車に乗せられて『勇者』に祭り上げられていたんだと思うし。




「俺、きっとあいつがいなかったら何にもできない」




剣を構え、間合いを計りながら俺は言う。

……ん? なんでそんな変な顔してんの? 俺なんか変なこと言ったっけ!?(こんなにあっさり嫌味を肯定されるとは思ってなかったんでしょ…二の句を継げない時点で器の大きさはたかが知れてるけどね By初瀬)




「……っの、庶民が……っ! 貴族を馬鹿にして許される地でも思っているのか!?」

「貴族? 今ここにいる・・・・・・お前は貴族じゃねーだろ」




試合開始の掛け声と同時に走る。総司令官サンは慌てて剣を構えなおすけど…遅い。

俺が剣を持った手を狙って峰打ちし、バランスを失った所に足払いをかけ、返す刀で刃先をその顔に突きつける……それには十分すぎるほど十分な時間だった。




「ここにいるお前は、貴族でも総司令官でも第一部隊の隊長でもない。

――――――――――ただの兵士だろ?」




ただ単に…勝ちを譲らされた第一部隊のやつらの眼が、悔しそうだったから。

それにちょっとでも報いてやろうと思っただけ。


そうやって実力以外で勝とうとする無駄な策略を立てるくらいだったらもっと周りのコトも見りゃあいいのにさ…はっきり言って、兵達の評判…元々悪かったのがさらに悪くなりつつある。

こうして剣突きつけてるだけなのに審判役をやっている『黒の縄』の総隊長さん(エルドに忠誠誓ってる人。…ちょっと話したことあるけど、貴族出身の人でまだ若いのに「兄貴!」って呼びたくなるようないい人)がイイ笑顔でサムズアップしてくれてた。


初瀬からの視線も感じるし。……ん? 『再起不能なまでに甚振っといておk。肉体でも精神でも可、むしろいっそ事故を装って殺してしまえ』だって?

いやいやいやいや、流石にそれはダメでしょ初瀬サン!? その気持ちはわからないでもないけdって俺はなにを口走ろうとしてんだよ、うわぁああああ!?




「勝者、雪杜・ティーロ!」




割れんばかりの歓声の中、俺はただひたすらにパニクってた。

まぁ、習慣とは恐ろしいもんでちゃんと礼をして退場できたんだけどな…




このとき、俺はまだ知らなかった。

決勝戦でなにが待ち構えているのか、なんて…―――――――

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