ねぇ?何ふざけてんの?
ラッパの音が響き渡る。
華々しいそれを聞きながら僕はため息を吐いた。
「はぁぁああああ……憂鬱すぎる……」
昔から…そう、あっちにいるときからこういうイベントは大ッ嫌いだったんだ。
体育祭だとか文化祭だとか…どうしてそんなのにはしゃげるのかまったくもって意味わかんないんだよ! そんなんだったら学校休みにしてくれたほうが数百万倍マシだってーの!
「まぁまぁ、副部隊長。気ぃ落とすなって!」
「うるさいよ、レインバルト……文化系インドア派男子舐めるな」
「舐めてねぇっすよ!?」
「―――――――運動したら負けだって思うんだ」
「どうしよう、普段は毒舌なだけでまともな副部隊長が壊れたーっ!」
――――――――なんなんだよ、「壊れた」って……
……君が普段僕をどう思ってるかよぉーくわかった気がするよ。
「………そんな僕とは対照的なのがアイツだったんだけどさぁ…」
ちらりと武芸大会の会場を見下ろせるように作られた観戦席から階下の会場を見下ろす。
……うん、気合が入っているかいないかで言えば十分すぎるほどに入ってる。
いっそ暑苦しいよ…
「あ、初瀬ーーーーっ!」
「雪杜……」
僕の姿を見つけたのかぶんぶんとどこか子供じみた様子で僕に手を降る雪杜。
ちょっとやめてよ子供じゃあるまいし! 恥ずかしいでしょ!?
「―――――――後でシめる」
「部隊長が流石にかわいそうなんでやめてやって下さい!!!」
チッ……仕方がない。
レインバルトにここまで言わせてしまったからには流石にシめられない。
――――――いい部下を持てて良かったねぇ、雪杜?
お陰で命拾いしたよ?
「あ……あれ!? なんか寒気が………っ!?」
「……副部隊長…では?」
そんな会話を雪杜とギルベルトがしてた、なんてことは僕は知らない。
―――――――――――――ホントだよ?
「――――――――――只今より、武道大会を開催する!」
司会役を務めている『黒の盾』の隊長さんの声を聞きながら僕は静かに雪杜を見下ろし、アイコンタクトで通信をはかる。
『いいか、圧勝しろ』
『命令系っすか!? OK、わかってるって…がんばる』
『当たり前』
『労ってくれてもいいじゃねーか……』
『無様な姿晒さなかったら考えてやらんこともない』
『え、マジ!? じゃあがんばろっかなー!』
『そうさ、がんばれー…そして僕に馬車馬のごとくこき使われればいい』
『ひでぇ!?』
………なんかいつもの会話っぽくなってきたし、ちょうど開会式も終わったから目線をそらす。
――――――――絶対に、絶対に、ぜぇったいに雪杜にだけは言わないけど……
コレでも僕はお前を信用してるんだよ。だから失望だけはさせないでよね。
「…………勝ってこい、馬鹿。それ以外だったら許さない」
……アイツが負けるだなんて、露とも思っちゃいないけどね。




