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魔王軍の軍師と将軍物語(仮)  作者: 神那 悠樹
―prescelto:抜擢―
31/59

そう?なら良かったね?


「作戦大成功! ってトコだな、初瀬」

「雪杜、お帰り…ついでにお疲れ様」

「ついでって酷くね?」




敵陣に設置してあった旗を手に帰ってきた雪杜と軽く手を打ち合わせる。




「冗談だよ。いくら僕の策が良かったとはいえそれを素直に聞き入れないヤツじゃ勝てるものも勝てなくなるし」

「初瀬、お前…」




………なに、その物言いたげな目は? 僕は事実を言っただけでしょ?




「――――――にしても、よくもまぁノコノコ出てきてくれたよなー…」

「……作戦立てた僕が言うのもなんだけど、あそこまで綺麗に嵌ってくれるとは思ってもなかったよ。

まぁ、あのバカ総司令官殿の無駄な自己顕示欲と自尊心の高さ故ってヤツかな?」




――――――今回使った策は至ってシンプル。

相手がコチラの陣に総攻撃しかけてきた時を狙って手薄になった陣に伏せていた兵で奇襲をかけるっていうモノ。




「あんまりにも上手く行き過ぎたせいで他のやつらの仕事が後始末だけになってるんだけど、どうしてくれんの?」

「まぁまぁ、それは言うなって! にしてもよくあんな綺麗におびき寄せられたなー」

「利を誘えば敵は動くんだよ…『利を以て之を動かし、(そつ)を以て之を待つ』ってね」




『スキや利を見せて敵を誘い出し、待ち構えている部隊でこれを撃てばよい。』そういう意味だから、今回はそれにのっとっただけって言うのもあるかな?




「これからもよろしく頼むぜ、相棒!」

「―――――――……もうちょっと出世したらエルドのトコで文官にでもなろっかなぁ…」

「え、ちょ、何でこの流れでそうなるの!?」

「いやぁ、お前の世話し続けるの面倒だし…」

「ヒドイッすよ、初瀬サン!? 幼馴染でしょ? 親友でしょ!?」

「………えっ!?」

「え、何でそんな驚いた顔してんの、ちょっと!? 泣くよ? オレ! 泣いちゃうぞ!?」




うん、本気で雪杜が泣きかけてる……ちょ、やめてよね。

ただでさえ若いんだから覇気なんて欠片もないんだし…舐められたらどうするの。




「―――――――冗談だよ、雪杜」

「ほんとーですか!? 何割、とか…何%とか! 言わない? ねぇ!?」

「言わないって…そんなに言うなら言ってやらないこともないけど」

「いえ! 言わないでいいです!」




――――――全く…ホント、馬鹿だよね。

僕が雪杜を放置してくわけないじゃん…僕だって、お前のことは……まぁ、相棒だって思ってるんだから、さ。


絶対に、ぜぇったいに! 言ってやらないけどね…調子、乗られても困るし。






「部隊長と副部隊長って…仲いいですよねぇ」

「…というか、犬と飼い主か?」

「シエル、ギルベルト……そりゃ言っちゃダメじゃね?」




隊長格三人衆がなんか言ってるけど、気にしない!

にしても、犬と飼い主かぁ…言いえて妙、ってやつ?




「―――――…って言うか、お前らぁっ! なに変なこと言ってんだよ!?」




顔を真っ赤にして三人に走っていく雪杜を見ながら僕も笑った。



―――――――まずは、第一歩。

まだまだ…足りない。

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