へぇ?馬鹿なの?
――――――響き渡る破砕音、断末魔。
空を切る矢の音が重なり合い、耳鳴りのような音になる。
「――――初瀬様」
矢は僕のいる戦陣奥深くにまで届いている。
―――――――…でも、まだだ。
「………今だ!」
僕の号令を聞いて僕の傍に控えていた兵士が鏑矢を空高く打ち上げる。
その音を聞いて僕たちが戦っていた相手の後ろから伏兵が現れ、鬨の声があがる。
途端に混戦状態に陥った戦況を見下ろし、僕はそっとため息を吐いた。
「…後は頼んだよ、雪杜」
「雪杜・ティーロ、初瀬・アウトゥンノ。此度の戦、大儀だったな」
王座に座ったエルドの前に僕は雪杜の斜め後ろに跪く。
「お前達の武勲は私の耳にも届いているぞ」
「ありがたきお言葉…感謝致します、陛下」
雪杜が跪いたまま答え、僕はそれに何も言わずただ頭を垂れる。
…ホント、雪杜も二年前と比べると成長したよね…腹芸は苦手みたいだけど。
「では、そなたらの忠誠と武勲を賞さねばいけないな。彼のもの二人を、アスガルズ王国での準男爵位を授ける。
―――――――これからも、期待しているぞ…我が友よ」
「「謹んで拝命いたします」」
再び一礼し、謁見の間から退出する。
あんまり得意じゃないんだよね…あの独特な雰囲気。だからついほっとしてしまうのは仕方ないだろう。
「あー…疲れた」
「ん、お疲れ、雪杜」
「畜生…お前、どうして陣にこもりっきりんだよ…」
「それが僕のお仕事だから」
「聞いたぞ。お前、策発動させるまでのんびりお茶しばきながら本読んでたんだってな」
「あれ? 何で知って…あ、緘口令しいてなかったや。失敗失敗」
「そういう問題じゃねーだろー!」
ドッカンと爆発する雪杜。
……まったく、二年経ってもちっとも変わらない。
「………わかった。いいだろう、たまには戦場に出てやるよ」
「え、マジ?」
「うん、マジ」
第七部隊副隊長時代(一年半ほど前まで)は結構戦場に魔術師として出てきた(お陰で変な通り名がついた。『雷氷の魔術師』だって…まんまだけど恥ずかしいです。まる。)けど、昇格して相当数の兵士を指揮できるようになって(一年くらい前)からはめったに前線に出ず指揮ばかりしている。(因みに負けなし。ここでも新しい通り名ができた。)
「その代わり、雪杜が僕の代わりしてくれるんだよね?」
「……え?」
「いやー、最近面倒だったんだよね…策練るのはともかく、その策をバカ貴族にもわかるように噛み砕いて解説してやったり反対を上手く押し切ったり、軍備やりくりしたり、それから後は…」
「すいませんでしたオレにはそんなことできませんこれからもよろしくお願いします!!」
「わかればよろしい」
全く、雪杜はどうあがいたって僕に口じゃ勝てないってのに。
どうして反抗したがるんだろ?
不思議でならないよ…ホントにさ




