だから、なんだっていうの?
「ちょっと、初瀬サン……」
「ああ、さっぱりした。――――――あれ、雪杜。どうかしたかな?」
「手加減という言葉は貴方の辞書にはないのでしょうか!?」
「ないよ」
「断言!? 断言されたよ、どうしようオレ!?」
演習に突っ込んでいった雪杜のせい(え? お前が突っ込ましたんだろって? さぁて、何のことかなー?)で混乱の坩堝と化した第七隊の面々を収拾つけるために僕が発動させた魔術の名前は「雷の槌」こないだ言った、僕が作っちゃった新しい魔術。
差異を出すため、ってワケじゃないけど…ちょっと名前の付け方を変えさせてもらった。
ルビが長いし調べるのが面倒だそうだからね…ん、誰が、だっけ?
「ふ、副部隊長! さっきのって…!」
「…君は確か小隊長の一人だったよね。確か…シエル、とかいったっけ?」
「は、はい。魔導小隊で隊長を務めさせていただいておりますシエル・レウス・アウグスイールです! 長いのでシエルで構いません!」
「そう、僕のことは…まぁ、いいよね。―――で? なに?」
興奮と尊敬で目を輝かせながら少年がちょっと早口で口を開く。
―――――魔術に特化したヤツってどうも、あっちで言うマッドの入った研究者みたいな気質があるんだよね…なぜか。
大なり小なり、そういう話題には弱い。どんな偏屈だろうがどんな危険人物だろうがそういうものになら紙並みの防御力でしかなくなるわけだ。
うんうん。ちょろいちょろい…
「副部隊長が先ほど使っておられた魔術…私が今まで一度も見たことのないものなんです! 若輩者なのでまだ未知なだけのものかもしれませんが…」
「ああ、「雷の槌」? 知らなくて当然だよ…僕が作ったものだからね」
その言葉に全員の視線が僕に集まる。
―――――さて、と。さっきの乱闘で雪杜が片っ端から叩き潰してったおかげで雪杜は「同列」もしくは「上位」でいることは認められた頃合だろうから…『僕』を「上位」の存在だって刻み込んどかないと…ね。
「副部隊長が!?」
「うん、構成いじるのが趣味でね。気付いたらできてたんだよ」
…雷なんて、結構簡単に作れるしね。
自分で作った氷と風、そしてほんのちょっとの魔力のコントロールだけあればそれでいい。
あ、ちなみに普通はそんなことできません。
良くて発動せず、最悪暴発…我ながら恐ろしいことしてたな。
「凄い…っ!」
「たいしたものじゃないさ。暇だったからやってただけだし」
あのアホ姫を遠ざけるために意味のない研究とかやってた時の産物だしね。
『勉強中』ってホントいい免罪符だよね。
まぁ、取り合えず…小隊長の一人は取り合えずこれで陥落、っと。
さて、この調子でさっさと行きますか。
――――――ところで雪杜、無視されたからって膝抱えてキノコ生やすのやめてくれないかな。
あんまり好意的じゃなさそうな隊員までかわいそうな目で見てるじゃん。
お前、上司なんだよ? なに慰められてんの。
もっかいくらっとく?
魔術の名前は北欧神話から取らせていただきます。
北欧神話かっこいいよ、うん。
調子こいてて夏休みの宿題がまだかなり残っていることに気付きました。
なので毎日はちょっと…できなくなりそうです。




