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魔王軍の軍師と将軍物語(仮)  作者: 神那 悠樹
―Incontrare:邂逅―
15/59

はい?冗談でしょ?


「………つまり、エルドは本当は『エルドラーク・ジーリス・ルーデリーク』って名前で?」

「そうだな」




雪杜の疑問にエルドは軽く頷く。




「………エルドは実はオレと初瀬が倒すように命令された魔王で?」

「そうなるね」




続けられた雪杜の問いに今度は僕が頷く。




「で、魔王討伐する気もないし、ラーシア王国の人たちよりエルドの方が気に入ったし元々似たようなことするつもりだったから魔国にいこう、と? 」

「「まぁ、そういうこと」」




三度目の問いは僕とエルドの答えがぴったりとハモった。




「…………勝手に決めんな、そんな大事なことぉおおお!!」




雪杜の叫びが朝のサリーシュの町に響き渡った。






「いいじゃん、別に。元々似た道たどるはずだったんだろ? 初瀬から聞いたぜ?」

「そうそう。いい後ろ盾見つけなきゃいけなかったんだけど…それも省けたし」

「そーかもしれねーけどさぁ……!」




いまだぶつぶつと不満そうにしている雪杜。

まったく、男なら潔く進めっての。




「―――――初瀬、こうなったら仕方ない。そんなに雪杜が嫌がるなら別行動だな…」

「そうだね…僕が行かないっていう選択肢はないし」




―――――――人間になら出ないはずの紅い目…『狂化』。

あのとき、人間以外になった自覚のない僕がそれを発動したってのも、エルドが僕たちを魔国に勧誘した理由の一つでもある。


……「勇者」については歴代に何人かいるらしいんだけどまだまだ謎がある。

因みに、やっぱり帰れたってはっきりしている人はいないそうな。




「え…ちょ、マジ!?」

「…そういうことだから、雪杜。達者でな」

「魔国から君の平穏な旅を祈ってることにするよ」

「え、ちょ……待って、待って! オレも行くから!!」




………ふ、ちょろいな。


―――――にしても…やってる僕が言うことじゃないけどさ、昔っから何回こういう手に引っかかれば気付くわけ?

学習能力…ないわけじゃないんだけどなぁ……




「――――――……ここまでくりゃ大丈夫だろ。じゃあ、今から転移魔法で移動するからな」

「うん。よろしくね」

「任せとけって!」




……転移魔法。RPGが好きな世代にとっては馴染み深いもの。

よーするに、テレポートだ。……「ル○ラ」とか「キメ○のつばさ」でもいいけど。




「………ちょっと待て、転移魔法って…結構むずくなかったか?」

「うん、揺風ようふう系上級第六位。でも……その基準は人間から見て、だから」




しかも術者のエルドは、血族よりも実力を重視される傾向にある魔国でトップに立っている存在なんだ。

『転移』程度だったら距離にもよるけど僕でも結構楽にできるし。




「………そうか、だからデュラングの爺さん泡吹いてたのか…」




ああ…あの時ね。

改良案組み込んで魔術理論展開したら違うって言われて、ムカついたからそのまま作ったら禁術系の新しい魔術ができちゃったからですけど何か?


色々やったからなぁ…僕。

既存のものとは違う組み立てで魔術構成してみたらもっと簡単にその魔術発動できるようになったりしたし?


………公表してないけどね。

何で僕があの国のプラスになるようなことしなくっちゃならないのさ。




「おーい、準備できたぞ! 陣の中に入れー」

「あ、悪ぃエルド! 今行く! ほら、初瀬行くぞ!」

「ん…わかったってば」




エルドの足元から半径一メートルぐらい広がっている光で描かれた魔法陣の中に入る。


……あ、なんか召喚されたときの陣にちょっと似てるな。




「じゃ、行くぞ…――――――『転移アンダータ』!」




エルドの呪文スペル・ワードに反応して陣が強く光だし、僕の視界は真っ黒になった。





「―――――――……ようこそ、俺の国へ




歓迎するぜ、二人とも」

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