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魔王軍の軍師と将軍物語(仮)  作者: 神那 悠樹
―Incontrare:邂逅―
14/59

…え、何言ってんの?

PV13000越えありがとうございます!


「初瀬……お前」

「……聞かないでよ、エルド。僕だってわからないんだから…」




締め上げて全部吐かせて、今は気絶させて転がしている魔族の男を踏みつけながら僕は途方にくれていた。




「それより、コイツ…エルドの関係者か何かでしょ? きっちり対処しといてよね」

「あー…やっぱバレちまってたかぁ」

「後半、隠す気なかったでしょ?」

「んー、まぁな。バレたらバレただと思ってたし…それに、お前らは俺達に敵対しなさそうだったからな。

……―――――そうだろ? 『ラーシアの勇者』殿?」




僕は幸いなことに手持ちの毒消しで何とかなる毒だったので今は暢気に惰眠をむさぼっている雪杜から目をそらし、不快な呼び方をしてくれたエルドを軽く睨み付けた。




「その呼び名は嫌いなんだよね…僕も、雪杜も。

ラーシア王国上層部あいつらは僕たちのことを道具としてしか見ていない。おかげで僕らの人生は全部パーになったんだよ?」




……ほんと、いい迷惑だ。

僕も雪杜も、ごく普通の人間だった・・・ってのに。




「そっか…そりゃあ悪かったな」

「いいよ、エルドは―――ってか、魔国側か――――は悪くないんだし。

どうせあいつらが勝手にこじつけて侵略しようとしたんでしょ?」

「……………誰から聞いた?」

「誰からも。でも、第三者からみりゃわかる事だから」




…戦争をするには、とてつもないお金がかかる。

彼の孫子は一日万金…一日に万の金を費やしてやっと軍と言うものは動かせるのだ、と説いているほどに。


そこで問題だ。

そこまで金を浪費して魔族側に何の得があるのか?


儲けがないのに「侵略」何ぞしたら赤字もいいところだ。

下手をしたら国家の危機なんてのもありうるんだよ?(豊臣秀吉の朝鮮出兵なんかがいい例だ)


肥沃な大地も、豊富な資源も、技術も、何もかもが魔国のほうが格上だ。

思想や人種、言語や宗教なんてのも戦争の元になるけど…魔獣やら魔物やらいるこの世界で人種差なんてあってないようなものだし(差別はあるらしいが、人間の社会だけだ)、言語や宗教は基本共通。


全く持って魔族側に戦う理由はない。

ローリターンハイリスクな仕事に命をかけるバカがいると思う?



お姫様をさらったり無駄に侵略かけてくる魔王なんてのはおとぎ話の中の存在でしかありえないんだよ。




「……ぷっ、あっははははは! ほんっと、初瀬って面白いよなぁ…人間なのに。雪杜もすっげえ楽しいし…お前らほんとに人間か?」

「え、なに? 種族差別? ケンカなら買うよ?」




僕の応答を聞いて爆笑しまくっていたエルドが目尻にたまっていた涙を拭う。

――――――――その眼は、さっきの僕と同じ色で。





「違う違う、褒めてんだって!

――――――本当は、さ…殺そうと思ってたんだ、お前らのこと。俺も一応魔族だし? 一応役目ってのもあるし? ……でも、考え直してよかった」

「…そう」

「『魔王討伐』、しないんだったらさ。俺と一緒にコッチに来て見ないか? ただぶらぶら旅すんのも楽しいだろうけどさ…それだけでお前らを浪費させとくのが惜しくなったんだ」




キラキラというよりはギラギラとしたその眼の輝きに、ほんのすこしだけエルドに付いて行ってもいい気がした。

僕の「一番」はもう決まってるからあげられないけど、「二番」ならあげてもいい程度には…僕だって彼のことを信頼してしまっていたし、気に入っていたから。


でも、その前に…やらなきゃいけないことがある。




「ねぇ、エルド。エルドは………―――――」




それは、あの時。

この町に着く前に問いかけようとして、答えてくれないだろうと諦めたもの。

きっと、今なら答えてくれるはずだから。




「エルドは………――――――何?」

「…………俺は………俺の名前は、エルドラーク・ジーリス・ルーデリーク




――――――――――魔王だよ」




僕自身さえも予想だにしていなかった答えに体が凍りついた。


…………雪杜に、どう説明しよう。

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