40・閑話休題2
イザベラが第一次世界大戦の野戦病院で、従軍看護婦をしている中、上司の外科医パウル・アルブレヒトと恋に落ち、結婚を願ったものの、フランツ・ヨーゼフ皇帝の猛反対で断念して、それきり彼女は独身を貫き、スイスで85歳の生涯を終えたと、いま手に入る史料には幾ら調べても、そうとしか書いていません。
故国では彼女は一廉の烈汝として、もっと詳しい伝記もあるらしいけど、彼女が再婚したと言う記事は見付けられませんでした。
しかし当時の上級貴族女性としては、結婚→スピード離婚→看護学校入学→従軍看護婦→上司との恋愛・・・と、自分で切り開いた道を突っ走った彼女が、恋愛結婚は諦めて、その後の長い後半生を生きたと言うのは、史実だとしても、残念で仕方なかったのです。
彼女の再婚に猛反対した、フランツ・ヨーゼフ皇帝も亡くなり、オーストリア=ハンガリー帝国も瓦解した後なら、ハプスブルグ家の家法には、まだ縛られていたとしても、その鎖を断ち切って、愛を貫いたと思いたかった(例え正式な結婚ではなくても)。
それで彼女は妻としてではなく、看護婦として医師の彼に付いて行くという、形を取らせてもらいました。
パウル・アルブレフトがどんな人だったかも、詳しくは判らず、彼の出身地をデュッセルドルフとしたのも、イザベラの埋葬地が、姉クリスティーヌの嫁ぎ先・アンホルトであることから、そこから近くて大戦で空襲を受けた都市ということで、設定しました。




