↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
24/47

23・ローマの休日

 ややあって「それでは僕の我儘も1つ聞いていただけますか?」とゲオルクは言った。

 「何でしょう?」と、イザベラがやや戸惑いながら聞き返した所、「僕はローマに寄ってみたいんです」

と彼は答えた。

 「ローマ・・・」そうすると往路よりは南側を横断し、アルプスを越えてミラノから、イタリア半島を南下することになるが、アルジェへ行くよりは判りやすく、見所も多いような気がする。

 或いは彼はローマで教皇かその側近の枢機卿に会えたら、直接結婚無効の許可を求めるつもりかもしれないが、2人共もう心は決まっているのだから、それは早い方が良いだろう。

 (まさかそのままお坊さんになって、その先は私1人で、帰らなきゃいけないってことにはならないでしょうね)とイザベラは思わず苦笑した。


 数日後無事退院したイザベラはとゲオルクは、コンノート公アレクサンドラ王女とに見送られて、ロンドンを発った。

 サンドラ「先にスコットランドへ行かれることにしたのですって?」

 イザベラ「はい、王女様のお話を伺って、どうしようもなく行きたくなってしまって」と、イザベラは笑顔で答えた。

 アーサー「ウェールズにも回られるのでしたら、その方が合理的なコースですね。ロンドンのような都会にはない、大自然を満喫して行ってください」

 ゲオルク「色々お世話になりました。その後はプリマスからブルターニュへ渡るので、今回はここでここで、お別れしなければならないのが残念ですが、またお会いできる機会がありましたら」

 皆でそんな話をしながら、やがてグラスゴー行きの列車に乗ったイザベラとゲオルグ、コンノート公とアレクサンドラ王女は、お互いに手を振り合って別れを惜しんだ。

 そんな彼らが時ならずして、敵と味方に別れて戦うことになろうとは、この時は誰にも予想できなかった。


 スコットランドの森や湖、ウェールズの何億年も前に形成された山々を眺めていると、イザベラは自分自身もその自分が抱えている悩みも、本当に小さなものに思えて来た。

 ゲオルクとはもう寄り添うことも無く、雑談を交すことも稀になったが、彼も恐らく彼女と同じように考えているだろう。

 出来ることなら、かつてのアレクサンドラ王女とクリストフォロ王子のように、同じものを見て同じように感じられる時間が、一時でもあれば良かったが、ゲオルクは最初からそうする気は無かったらしいし、自分もそうなるよう、大して努力もしなかった。

 彼は今自然に癒されてはいるだろうが、それはローマへ行く前の、束の間の心の休息だろうし、自分もそれは避けて通れない問題だから、心しておかなければならないと思った。

 ローマまでどれくらい掛かるか判らないが、それが彼との最後の話し合いの時間になるだろう。


 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。