マグノリア=プロセルピナ
「フフフ、セリオンが邪龍アンティミモスを倒したか。さすがだな。どう思う、フィリア?」
「……」
フィリアはサタナエルに反抗的な目を向けた。
ぎりっと、サタナエルをにらみつける。
フィリアは両手を鎖で囚われていた。
「フッフフフ、おまえの命もあとわずかだ。おまえはセリオンの目の前で私によって殺される。それがおまえの運命だ」
「サタナエル……あなたはセリオンを苦しめて楽しいの?」
「もちろんだとも。セリオンにはぜひともこちら側に来てもらいたいのだ」
「セリオンは光の戦士だもん。あなたの策には乗らない」
「私はセリオンに深い憎しみを経験させたいのだ。そのためにおまえに来てもらった。セリオンの前でおまえを殺せば、セリオンは激しい憎しみを抱くだろう。愛など幻想だ。憎しみこそが真実なのだ」
「それでベレニーチェさんを殺したの?」
「そうだとも。母は生きていてはいけなかった」
「あなたは変わったね。昔は違ったのに」
「フッ、人は変わるものだ。それに私を変えたのは私の真実だ。私は生まれた時から闇の側にいた。それが私の定めなのだ」
「わからない。どうしてあなたは闇に堕ちたの? ベレニーチェさんと何かあったの?」
「おまえが知る必要はない。さて、そろそろクライマックスと行こうか」
セリオンはエスカローネを連れて、アンシャルのもとに帰ってきた。
「遅くなった。邪龍は倒せたな」
「見事だったよ、セリオン。あれもサタナエルが召喚したんだろう。私たちは……!?」
広場にふと邪悪な気配がした。
そこに現れたのは異形の怪物。
マグノリアだった。
マグノリアには蝶のような羽が一対新しく生えていた。
「マグノリアか……いい加減にしてもらいたいものだ。いいだろう、ここで決着を」
「セリオン」
「? アンシャル?」
アンシャルがセリオンの前に出た。
「ここは私たちが抑える。おまえとエスカローネはサタナエルのもとに行け」
「だが……」
「安心しろ。アリオンもサラゴンもついている。三人で戦えば、こいつをどうにかできるだろう。おまえたちはフィリアの救出に行くんだ」
「わかった。フィリアを捉えられたのは俺のミスだ。ここは任せる。行くぞ、エスカローネ?」
「ええ!」
セリオンは亜空間収納からバイクを取り出した。
セリオンがまたがり、エスカローネが後ろに乗る。
「俺はサタナエルの気配を探る。健闘を祈る」
「ああ、任せておけ」
「行け、セリオン、俺たちがここは押さえる」
「俺たちはモブじゃないからな! こいつを倒してみせるぜ!」
アンシャル、サラゴン、アリオンが武器を構えてマグノリアを迎え撃つ。
セリオンはエスカローネと共にバイクでサタナエルのもとに向かった。
「さて、こいつをどうにかしないとな。私がマグノリアに斬りこむ。サラゴンとアリオンは援護を頼む」
「わかっております!」
「はい!」
「では行くぞ!」
アンシャルがマグノリアに接近した。
そのまま鋭い斬りを放つ。
「やはり、この程度では効き目がないか」
「黒炎刃!」
「火炎刃!」
サラゴンとアリオンが炎の刃を飛ばした。
アンシャルがバックステップする。
マグノリアは二人の炎を受けても平然としていた。
マグノリアは長い尾を滑らせた。
アンシャルはすでにその場にいなかった。
マグノリアは多数のレーザーを形成した。
これはマグノリアの『ジェノサイド』だ。
すさまじいレーザーが三人を貫く。
「うおおおおお!?」
「おおおおおおお!?」
「うわあああああ!?」
マグノリアの攻撃は圧倒的であった。
アンシャルたちはたちまち追いつめられる。
マグノリアはさらに、周囲にトルネードを巻き起こした。
巻き込まれたら、ズタズタに斬り刻まれるだろう。
やがてトルネードが収まる。
アンシャルはただちに斬りに行った。
「はあああ! 風月斬!」
アンシャルの風邪の斬撃がマグノリアを斬る。
マグノリアの傷はただちに再生する。
サラゴンが跳び出た。
「は! 黒炎斬!」
黒い炎がマグノリアをなめつくす。
アリオンがさらに追撃する。
「くらえ! 翔炎斬!」
マグノリアの足元から炎が噴出する。
吹き出た炎はマグノリアを火だるまにする。
マグノリアの肩がはじけた。
肩からおびただしい腕がはえていた。
マグノリアの腕は三人を狙って、襲い掛かる。
三人はすみやかにマグノリアと距離を取る。
マグノリアは風も炎もほとんど効いていないようであった。
マグノリアが突き出た顔から叫び声を発する。
再び、レーザー光が収束される。
ジェノサイドの光だ。
レーザーはアンシャル、サラゴン、アリオンを貫くべく発射される。
三人は致命傷こそ回避していたが、もうボロボロだった。
「くっ……やるな……」
「アンシャル副長、ここは最強技で決めるしかありませんな」
「マグノリアに再生を許さずに一気に決めるべきです」
「そうだな。このままではこちらがやられる。その前に、大技で決めるしかない。ん?」
その時、マグノリアが膨れ上がった。
そのまま、形が変わり、ピンク色に肌が変わっていく。
「これは……マグノリアの最終形態か!」
これはマグノリア=プロセルピナであった。
マグノリア=プロセルピナは飛行していた。
女性のような上半身に、肉塊がついている。
触手が二本付いていた。
マグノリア=プロセルピナが魔力を高める。
「何だ!?」
「何か来ますぞ!」
「いったい!?」
マグノリアは周囲の温度を下げ、強烈なブリザードを巻き起こした。
氷の塊が、三人を襲う。
「ええい! 紅蓮煉獄斬!」
アリオンが膨大な炎を飛来する氷に叩きつけた。
炎が氷を溶かしていく。
マグノリアが膨大な魔力を集める。
それは『アルティマ』だった。
光がはじけ飛ぶ。
三人は光の波動に吹き飛ばされた。
「くっ……」
「これほどとは……」
「強い……」
三人は何とか立ち上がる。
「サラゴン、アリオン、私が決める。時間を稼いでくれ」
「わかりました!」
「はい!」
「くらえ! 我が最強技! 光炎剣!」
光の炎がサラゴンから発せられた。
輝く炎がサラゴンの長剣で輝く。
サラゴンの一撃はマグノリアを貫いた。
「サラゴンさん! 下がってください! いっけえ! アガルタ!」
アリオンが炎の鳥を形作る。
紅蓮の鳥はマグノリアに向かって飛翔し、大爆発した。
「よし、いいぞ! これで最後だ! 風王烈衝破!」
すさまじい風の刃がアンシャルから発せられる。
風は気流のように駆け抜けて、マグノリアを斬り刻む。
アンシャルの最強技が決まった。
マグノリアは黒い粒子に還った。




