邪龍アンティミモス
サタナエルは高台からシュヴェリーンの町並みを眺めていた。
待ちゆく人は皆、超隕石を眺めていた。
彼らの顔には一様に恐怖があった。
「フッフフフフ、さあ、恐怖のパーティーを始めよう。いでよ、闇の魔物よ」
サタナエルが手を空にかざす。
闇の波が地面を走った。
その瞬間に、闇が形を取った。
それは獣の姿をしていた。
闇の魔獣シャドウハウンドである。
シャドウハウンドは広場を駆けまわり、人々に襲いかかった。
たちまち広場は阿鼻叫喚の地獄絵図と変わった。
人々はもはや何も考えられず、ただ逃げ惑った。
そんな人々の様子をサタナエルは嬉しそうに眺めていた。
「あー! 何だこいつら! どこから現れてきた!」
「フン!」
アドリアーノとマクシムが市街地に車で駆けつけた。
「せんぱーい! 何とかしないとまずいですよー!」
ヴェローニカが手にクローを装着する。
「アドリアーノ、マクシム、ヴェローニカ、ここはアドヴェント社の役目を果たすべきよ」
「多勢に無勢だぜ……ええい! やるしかねえか!」
アドリアーノたちは広場でシャドウハウンドと戦った。
「おおおりゃあああああ!」
アドリアーノが電磁ロッドでシャドウハウンドを打つ。
シャドウハウンドは吹き飛ばされる。
マクシムが闘気を全開にする。
マクシムが蹴りを放った。
シャドウハウンドは消し飛んだ。
「いっくよー!」
ヴェローニカの雷をまとったクローによる攻撃。
何体ものシャドウハウンドが倒れた。
「これでどう?」
シオリが回転式のブーメランを放つ。
シャドウハウンドはまとめて斬られた。
「ああ、もう! 数が多すぎるぜ!」
アドリアーノが悪態をつく。
アドリアーノたちは多くのシャドウハウンドに健闘していた。
だが、いかせん数が多すぎる。
このままでは数で押し切られる。
その時。
「フッ。情報部門のエージェントも情けないな。こんな奴らにてこずるとは」
「アンジウス(Anjchius)!」
「ここは俺たちアードラ―に任せてもらおうか!」
アンジウスにシャドウハウンドが襲い掛かる。
シャドウハウンドは一瞬にして斬られた。
アンジウスの大剣で斬られたのだ。
シャドウハウンドは闇に還る。
アンジウスはアードラ―A級戦士である。
彼はB級戦士を多数引き連れていた。
今はシュヴェリーンの危機だった。
この危機に仲間で対立しているのは良くない。
アードラ―と情報部門はどこか互いをライバル視しているところがあった。
この危機には日ごろの対立は忘れて、協力し合った。
「行くぞ! 俺に続け!」
アンジウスが戦士たちを引き連れて、シャドウハウンドを駆逐していく。
「おいおい! 俺たちを忘れてもらっちゃ困るぜ! マクシム! ヴェローニカ! シオリ! こいつらをぶっ倒すぞ!」
「当然だ!」
「りょーかいです!」
「ええ!」
こうしてアドヴェント社の面々はシャドウハウンドを退けていった。
そしてそれをサタナエルが見ていた。
「ほう……あれはアンジウスか。あいつほどの戦士が出てこられてはシャドウハウンドでは対抗できないな。フフフ……楽しませてくれる。少し早いが、あれを呼ぶことにしよう。いでよ、邪龍アンティミモス(Antimimos)!」
空が震えた。
空から大きな闇のドラゴンが現れた。
グレーのボディーに一対の翼を持つドラゴンだ。
アンティミモスは広場に着地した。
その威容はすさまじい。
圧倒的な強者の貫禄を持っていた。
「なんだあ、こいつ!?」
「これは……」
「これ、どうするんすか!?」
「まずいわね……」
エージェントたちはすくみ上った。
こんなものを一体どうすればいいのか……。
「おおおおおお!」
アンジウスがアンティミモスに斬りかかった。
背後から一撃を加える。
アンティミモスはアンジウスに襲い掛かる。
アンティミモスは手でアンジウスを攻撃する。
このまま手でアンジウスを叩き潰すつもりだ。
「ダイヤブレード!」
アンジウスが土属性の剣を出す。
アンジウスはそれでアンティミモスに斬りつけた。
アンティミモスは痛覚はあるらしく、痛がった。
だが、それまでだった。
アンティミモスは再開発地区で暴れた。
アンティミモスはアンジウスの大剣を口でくわえた。
そのままアンジウスを放り投げる。
「うおおおおおお!?」
アンジウスは壁に激突した。
「くそったれ! やるしかねえか!」
アドリアーノとマクシムが同時に攻撃する。
「電磁ブレイク!」
「気砲脚!」
アンティミモスは背後から攻撃を受けた。
そのまま引きずられる。
「はっ! サンダークロー!」
「ウインドエッジ!」
ヴェローニカとシオリが追い打ちをかける。
アンティミモスは怒り狂った。
アンティミモスは飛翔した。
そのまま口に青いエネルギーを集める。
「来るか!?」
「見たくない……」
「先輩、まずいっす!」
「ものすごいエネルギーだわ!」
アンティミモスは口から、ブルーフレアを放った。
莫大なエネルギーが広場を駆け抜ける。
「うおおおおおおおおお!?」
「うがあああああああ!?」
「あああああああ!?」
「きゃあああああああ!?」
エージェントたちは全員、ブルーフレアに呑み込まれた。
全員、虫の息だ。
「くそがっ! これもサタナエルのしわざか……」
「これ以上は無理だ……」
「もう無理っす……」
「くっ、これまでなんて……」
邪龍アンティミモスは着地した。
まるで勝利の咆哮を行う。
アンティミモスはこの場の王者だった。
少なくとも、この場を仕切っているのはアンティミモスだ。
アンティミモスがヴェローニカを見た。
「ひっ!?」
アンティミモスはヴェローニカを殺すつもりだ。
アンティミモスの手がヴェローニカに叩きつけられる。
「風切刃!」
風のカッターが飛来した。
それがアンティミモスの手に当たる。
アンティミモスが叫ぶ。
「やれやれ、情けないな。おまえたちの実力はこれまでか?」
「あなたは……」
「アンシャル・シベルスク!?」
「俺たちもいるぜ?」
「ドラゴンが相手か。相手にとって不足はない」
「あなたたちは後ろで見ていて。ここは私たちが抑えるわ」
「何だと!?」
「エスカローネ、彼らを回復してやれ。このままでは足手まといになる」
「はい。光よ、祝福!」
エスカローネの広範囲光回復魔法が発動した。
アドリアーノたちは立ち上がれるほど、動けるようになった。
「どういうつもりだよ?」
「別に他意はない。ここは私たちテンペルに任せてもらおう。おまえたちは市民の避難をしろ」
「ああん? 俺たちは邪魔だってか?」
「アドリアーノ。アンシャル・シベルスクの言う通りだ。ここは下がった方がいい」
「邪魔すんな、マクシム!」
「先輩、あたしらじゃ、あんな相手は無理ですよー!」
「悔しいけど、ここは彼らに任せるべきよ」
「ちいっ! わかったよ!」
「エスカローネ、サラゴン、アリオン、行くぞ? こいつはここで抑える」
「わかりました!」
「そうですな!」
「やってやりますよ!」
こうして第二ラウンドが開始した。




