表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヘルデンリート・フィナーレ Das Heldenlied Finale ~Mein Bester Freund~  作者: 野原 ヒロユキ
俺は新しい時代の扉を開ける Ich will die Tür der neuen Zeit aufmachen
PR
30/55

蛇竜会

セリオンはすぐに動いた。

セリオンはアルに案内されて、フィリアと共にテオがさらわれた現場にやって来た。

「ここだよ、兄ちゃん。ここでテオが石を投げたんだ」

「ここか」

現場には荒らされた跡があった。

おそらくテオは激しく抵抗したのだろう。

「問題はテオが誰にさらわれたか、だな」

「セリオン……どうするの?」

「情報屋を探す」

「情報屋?」

「ああ、何かテオのことを知っているかもしれない」

「テオは無事かな……」

「それは俺にもわからない。子供のいたずらだから、暴行はくわえられていないと思うが……」

セリオンは街の情報屋を探した。

情報屋は酒場にいる。

アルは孤児院に帰した。

いても足手まといだからだ。

セリオンはフィリアと二人で行動していた。

酒場にはいろんな人がいる。

セリオンは酒場のマスターに近づいた。

「こんにちは」

「こんにちは」

「何か入用で?」

「情報屋を探している」

「ほう……情報屋……」

セリオンはいくらかのクロイツァー(Kreuzer)をマスターに払う。

「あそこの端に座っている人が情報屋ですよ」

「感謝する」

セリオンは情報屋の老人の前に来た。

「ここに座ってもいいか?」

「いいよ、お兄さん」

セリオンはイスに腰を下ろした。

それから、じっと酒を飲む老人を見つめる。

「俺たちは情報が欲しい」

「いくら払える?」

「これだけだ」

セリオンは紙幣を無造作に情報屋にばらまいた。

「テオという子供を探している」

「その子供なら、蛇竜会じゃりゅうかいに連れて行かれたよ」

「蛇竜会?」

「まあ、ローカルなマフィアと言ったところだね」

「いったい何があった?」

「その子供が蛇竜会の幹部ジローラモ(Girolamo)に石を投げたと言われている。まあ、子供のいたずらさ」

「なるほど。それでそいつらのアジトはどこにあるんだ?」

「突き当りを曲がったところにある、旧い家に奴らは住んでいる」

「わかった。情報をありがとう」

セリオンは立つと、フィリアに向かいなおった。

フィリアは不安そうにしていた。

「これから、俺はマフィアのアジトに乗り込む。フィリアは帰った方がいい」

「私も行くよ」

「……正気か?」

「うん、正気。私がいっしょに行かないとテオのことが分からないでしょ?」

「それは困るな」

「じゃあ、私もいっしょに行くね!」

「やれやれ、勝手にしろ」



一方、蛇竜会では。

「このガキ! よくも俺様の服に石を投げてくれたな。このオトシマエは高くつくぜ?」

テオは縛られて、寝かされていた。

テオは屈辱に顔を歪めた。

それを見て、ジローラモは嬉しそうに笑う。

ジローラモは気分が悪かった。

なにせ、高級ブランド物のコートを汚されたからだ。

石には泥がついていた。

ジローラモのコートは泥で汚された。

テオのいたずらだ。

「おい、このガキの身元は割れたか?」

「はい、この子供はフロム孤児院の孤児だそうです」

「孤児院?」

「確かな情報です」

「孤児院ねえ……正直、カネを持ってそうには見えねえな」

ジローラモはテオを人質として、親を脅迫してカネをせしめるつもりだった。

だが、孤児では親などいない。

これではコート代をせしめるだけでなく、それ以上のビジネスにするのは無理そうだった。

「まったく、おもしろくねえ。孤児院に伝えろ。二百万クロイツァーを用意しろってな。でないければガキの命はねえって伝えろ」

「はっ!」

「やれやれ、このガキ……よくもこの俺様に石なんか投げやがったな。おまえの保護者には何としてでもカネを払ってもらうからな」

その時、窓が割れた。

そこからセリオンが現れた。



「無事か?」

「なんだあ!? てめえは!?」

「俺はセリオン・シベルスク」

「セリオン・シベルスク!? テンペルの英雄様じゃねえか!? なんでそんな奴がここにいるんだ!?」

「おまえがテオをさらったんだな?」

「質問に答えろよ!」

「俺は孤児院の院長や先生に頼まれて、子供を取り戻しに来た」

「へっ! 力づくで取り返そうってか!? 甘えんだよ! マルティーノ(Martino)!」

ジローラモの後ろから、マッチョな大男が現れた。

大型のナックルを装備している。

「俺がいる限り、子供は渡さんぞ?」

「いいだろう。力づくでも子供を取り戻す」

「フッ、いいだろう。俺も戦いたかったところだ。勝負だ!」

マルティーノがナックルを高熱化させて、セリオンを攻撃してきた。

ヒートナックルだ。

この攻撃はくらえば、体が焼けただれるだろう。

セリオンはそれを大剣で受け止める。

「この程度か? それでは……」

「誰がこれで終わりだと言った! フレイムブラスト!」

その瞬間、ヒートナックルから炎が吹き出した。

セリオンは炎に呑み込まれた。

「はっはっはっはっは! もう終わっちまったか! セリオン・シベルスクも大したことねえな!」

炎が消える。

その中から蒼い闘気が揺らいだ。

炎が消えた後から、無傷のセリオンが姿を現した。

「何だと!?」

ジローラモが驚愕する。

マルティーノは無表情だ。

「勝手に殺すな。これで終わりか?」

「フン! 今のは小手調べだ! これをくらえ! フレイムウォール!」

マルティーノがヒートナックルでセリオンを攻撃する。

セリオンはそれをたやすく回避する。

マルティーノは炎を地面から噴き出させた。

炎の噴出がセリオンを襲う。

セリオンは氷の光を輝かせた。

セリオンの中級技『氷星剣ひょうせいけん』である。

セリオンの技はフレイムウォールを中和した。

「今度はこちらから行くぞ? 氷狼牙ひょうろうが!」

セリオンが氷の刃を放つ。

氷の刃はスライドして、マルティーノに向かう。

マルティーノはヒートナックルでそれを迎撃した。

氷狼突ひょうろうとつ!」

セリオンは氷の突きを繰り出した。

氷結がマルティーノを襲う。

マルティーノはヒートナックルから炎をまとってそれを受け止める。

「これでとどめだ。氷狼斬ひょうろうざん!」

セリオンが氷の斬撃を放つ。

「何!?」

マルティーノはヒートナックルで受け止めようとしたが、セリオンの斬撃はそれを斬り裂いた。

「お見事……」

マルティーノはそのまま倒れた。

セリオンは大剣をジローラモに突き付ける。

「さて、子供は返してもらうぞ?」

「ひいいっ!? どうぞ、お好きなようにー!」

「テオ!」

セリオンはテオのさるぐつわをほどいた。

「フィリア先生……」

「もう、テオ! 心配したんだから!」

フィリアがテオを抱きしめる。

これで事件は解決した。

セリオンはフィリアをほほえましく見ていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ