オルフェオ
「こっちよ、来て!」
ロッタはボートからあがると、王宮内を縦横に走った。
ロッタの行動に迷いはない。
頼もしいな。
セリオンがそんなことを考えていると。
ロッタが動きを止めた。
「どうした?」
「魔法生物よ」
「魔法生物か。なら俺が行こう」
「あなたが強いのは知っているけど、大丈夫?」
「心配は無用だ」
セリオンは角からユニコーンヘッド二体の前に出た。
すかさず、セリオンはユニコーンヘッドに近づき、大剣で叩き斬る。
ユニコーンヘッドが切断された。
ユニコーンヘッドはそのまま床に転がり、爆発する。
「すごい……」
「まあ、こんなものだ」
「強いのは知っていたけど、これほどだなんて」
「まあ、鍛えているからな」
「これなら……!」
奥からさらに魔法生物が出てきた。
デスマシンの群れだ。
デスマシンはゴーレムと機械の融合体である。
「まだまだ、いるわけか。だが!」
セリオンは大剣に雷をまとわせる。
セリオンの紫電剣だ。
セリオンは雷の剣でデスマシンを斬った。
デスマシンはたちまち行動不能に陥る。
次々と爆発が起きた。
魔法生物は倒されると爆発する。
「この先は玉座か。どうやら、そこにオルフェオがいるようだな」
玉座の間の前には扉があった。
だが、それだけではなかった。
「グ、グレーターデーモン!?」
ロッタが顔を引きつらせる。
グレーターデーモン。
高位の悪魔だ。
セリオンはグレーターデーモンを気にすることなく、前に出る。
「危険よ!」
「問題ない」
「ちょっと!?」
グレーターデーモンが鋭い爪でセリオンに襲いかかってきた。
「危ない!」
ロッタが叫んだ。
セリオンはグレーターデーモンの爪を大剣で押さえていた。
両者は力勝負にうつる。
グレーターデーモンの顔に冷や汗が垂れる。
セリオンはグレーターデーモンを圧倒していた。
「どうした? こんなものか?」
「うそ……」
「今度はこっちから行くぞ? はあっ!」
セリオンが力を入れると、グレーターデーモンは吹き飛んだ。
セリオンはそのままグレーターデーモンの頭に大剣を突き刺す。
グレーターデーモンが粒子化して消えた。
「よし、おそらくこの先にオルフェオがいる。準備はいいか?」
「ええ、もちろん!」
セリオンは扉を開けた。
「フッフッフッフッフ……よくここまでたどり着いた、セリオン・シベルスクよ。それにしても、ずいぶんと懐かしい顔もあるようだな」
「あんた! お母様を返しなさいよ!」
「それはできない」
クリスティアーナ女王はぐったりとして玉座に腰かけていた。
その瞳には生気がない。
操られた反動だろうか?
「お母様!」
「無駄だ!」
オルフェオが闇の弾を出してロッタに当てる。
「きゃああああ!?」
「ロッタ!」
セリオンはロッタの前に立ちはだかった。
「まったく、忌々しいことだ。きさまが生きているということはスヴァルトは倒されたということか」
「その通りだ。オルフェオ、どうする? 降伏すれば命は見過ごすぞ?」
「フン! きさまに屈服するくらいなら死んだほうがましだ。それに姫を我がものにするためにも、私は負けられぬ!」
「姫? エスカローネのことか? エスカローネはどこにいる?」
「フッフッフ、丁重に預かっているとも。だが、きさまには渡さん! 彼女は私のものになるのだ!」
「エスカローネはものじゃない。はき違えるな」
「フン、よく言う。さて、スヴァルトが使えなかった以上、この私自らがきさまを葬ってやらねばならないな。私は闇の魔法を扱う!」
「来い、俺がおまえを倒す!」
セリオンは大剣を構えた。
セリオンの大剣が光輝く。
セリオンオ技『光輝刃』だ。
「フン! 剣士ごときが魔道士に勝てると思うな! 闇黒弾!」
オルフェオが闇の弾をセリオンに向ける。
放たれた闇の弾はセリオンに向かって飛んでいく。
セリオンはそれを引き付けて、光の大剣で斬る。
「どうした? まだあるんだろう?」
「くっ! 当然だ! こんな児戯で勝てると思うな! 闇黒槍!」
オルフェオは闇の槍を宙に形成する。
それは禍々しかった。
黒い闇の槍がセリオンに発射される。
セリオンは引き付けるとそれを斬った。
「フハハハハハ! 少しはやるようだな! だが、私の力はこんなものではない! 死ぬがいい! 多弾・闇黒弾!」
オルフェオから多くの闇黒弾が放たれた。
セリオンはそれを見ても平然としていた。
セリオンは光の大剣でそれらを苦も無く迎撃した。
「多連・闇黒槍!」
今度は闇黒槍が多数放たれた。
セリオンは光の刃『光波刃』を飛ばして、闇の槍を斬り捨てる。
「くらうがいい! 闇力!」
オルフェオは闇のドームを作ってセリオンを呑み込ませた。
セリオンの姿が闇のドームの中に消える。
「セリオンさん!」
「フッハハハハハハ! ようやく死んだか。この私に歯向かうからそうなるのだ。これでようやく姫を我がものに……」
オルフェオは勝利を確信した。
セリオンは死んだ。
これで邪魔ものは消えた。
オルフェオはそう確信していただろう。
その時、闇のドームから光の剣が出た。
光の剣は闇のドームを斬り裂いた。
「何!?」
オルフェオが驚愕する。
闇のドームは消えて中からセリオンの姿が現れた。
「甘いな。闇力は俺の光の剣なら無力化できる」
「くっ!? こんなはずでは…ええい! これで死ぬがいい! 闇黒竜!」
オルフェオの周囲を闇の竜がとぐろを巻いた。
そのままアギトを開けると、闇の竜はセリオンに突っ込んでくる。
セリオンは光の大剣でそれを受け止めた。
「くう!?」
「はーはははははははは! この魔法にはかなうまい! さあ、これでダス・エンデだ!」
セリオンは大剣に光の粒子をまとわせる。
これはセリオンの最強光技。
『光子斬!』
光の粒子が闇のアギトを斬り伏せた。
「うおおおおおおおおお!?」
オルフェオが叫ぶ。
「さて、これまでか?」
「お、おのれ……」
オルフェオは歯ぎしりする。
セリオンはオルフェオに大剣を向けた。
オルフェオが後ずさる。
その時、オルフェオの後ろに影が現れた。
影はオルフェオを貫いた。
「がっ!?」
「!?」
「な、何をする……」
「フッ、あきらめろ。おまえではセリオンに勝てない」
その影の中から一人の長身の男が姿を現す。
「サタナエル!」
「フッ、こうしてまた会えてうれしいぞ、セリオン」
「おまえとオルフェオは仲間ではないのか?」
「フッ、このような者など私にとって使い捨てにすぎない。私の真の目的はマグノリアだ」
「マグノリア?」
「じきにわかる。さて、私には用事がある。セリオン、今回はこれまでにするとしよう。さらばだ」
「待て!」
サタナエルは再び影に沈んでいった。
そして影は消えた。
「マグノリア……いったい?」
「く、くそっ……がはっ!?」
オルフェオはそのまま息絶えた。
「お母様!」
ロッタがクリスティアーナ女王に近づく。
「女王は無事か?」
「お母様! 返事をして!」
「うう……シャルロッタ?」
「今は安静にしておいた方が良さそうだ。女王を医務室に連れて行ってくれ」
「ええ……」




