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ヘルデンリート・フィナーレ Das Heldenlied Finale ~Mein Bester Freund~  作者: 野原 ヒロユキ
俺は新しい時代の扉を開ける Ich will die Tür der neuen Zeit aufmachen
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アエドネウム

「まったく、忌々しい! セリオン・シベルスクめ! 私の邪魔をするか!」

オルフェオが部屋に入るなり、はき捨てた。

オルフェオはエスカローネにアプローチしたが、セリオンに邪魔されたのだ。

「エスカローネ姫を私は必ず、手に入れてみせる!」

「フッ、果たしてそううまくいくかな?」

「きさまか」

すると、影から人が出てきた。

それはサタナエルだった。

「きさまは私の味方なのか、それとも敵なのか?」

「もちろん、味方だとも。それにしても、今回のミッションはうまくいくといいな?」

「当然だ。私ほど優秀なら計画などうまくいって当然なのだ!」

オルフェオの自信は傲慢の域にまで達していた。

オルフェオの人生では挫折ということを経験してこなかった。

それが彼を傲慢にさせるのだ。

確かに、シュヴィーデンの目下の繫栄はオルフェオによるものだ。

それは間違いない。

だが、それがすべてオルフェオの実力のせいというのは誇大だった。

「フフフ……それでは期待していることにしよう」

「いざとなれば、マグノリアを使えばいい」

「マグノリアか……」

「ふふふふ! そうだ! マグノリアの力を使えば、テンペルの者どもなど皆殺しにできる! 忌々しい光の勢力! そんな奴らなど、この私が一掃してくれる!」

「せいぜい、期待させてもらうとしよう。フッフフフフ」

「きさまの力など不要だ。私たちだけで、セリオン・シベルスクは始末できる。黙ってみているがいい、セリオン・シベルスクが蹂躙される様をな」

黒い陰謀が渦巻いていた。



セリオン、アリオン、サラゴン、アンシャルたちはスヴァルトと騎士たちと共にダンジョンに向かう。

ダンジョンの名前はアエドネウム(Aedoneum)だ。

セリオンたちはトラックの荷台に乗っていた。

「それにしても、今回のミッションにはどんな陰謀が仕組まれているんだろうな?」

セリオンが三人に問いかけた。

「さあて、どんな陰謀を仕掛けてくるやら……さすがに奴らも私たちが警戒していることには気づいていまい」

アンシャルが述べた。

「問題はどこで仕掛けてくるか、ですな?」

とサラゴン。

「やっぱり、ダンジョンで生きて帰れなかった、ってストーリーじゃないですか?」

アリオンが予想を言う。

「確かにアリオンが言っていることはもっともだ。仕掛けてくるなら、ダンジョンで、だろう」

それがアンシャルの分析のようだ。

「ダンジョンそのものを攻略する気は在るんだろうか?」

「さあな。それはわからん。スパイを介した情報でも、何か陰謀が企まれているらしいとしか聞けなかった。情報の機密性が確保されているということだろう」

「それでは我らにでいることは、警戒しておくことだけですな?」

「まあ、そうだな。サラゴンの言う通りだ。私たちにはダンジョンそのものよりも、スヴァルトたちを警戒する必要があるというわけだ」

「スヴァルト……奴は何者だ?」

セリオンが言った。

「正体を隠しているんだろう。私たちに気づかせないためにな」

そうこう話ている間に、トラックが止まった。

「止まったな?」

「ああ、そろそろダンジョンに着く予定だ。準備は怠るな?」

「わかっている」

「……降りろ。ダンジョンだ」

そこにスヴァルトがやって来た。

スヴァルトは淡々に事実しか語らない。

まるで会話など不要とでも思っているかのようだ。

「セリオン、サラゴン、アリオン、降りるぞ?」

「ああ」

「わかりました」

「わかってますって!」

セリオンたちは人員輸送車から降りた。



セリオンたちはダンジョンに侵入した。

ダンジョンではスライムやコボルトと言った下級の魔物が出てきた。

確かに、それなりに数が出てきたが、この程度ではシュヴィーデンの騎士たちでも十分対応できるだろう。

魔物たちはセリオンたちによってことごとく倒されていった。

セリオンはやはり不信感を抱いた。

セリオンたちはあっさりと地下最深部へと到達した。

「ここが最深部か? これ以上は何もなさそうだぞ?」

セリオンが背後を見せた。

すると、スヴァルトが近づいてきて、セリオンを斬りつけようとした。

それをセリオンは大剣でガードする。

「ちっ、しくじったか」

「何をする気だ、スヴァルト?」

「簡単なことだ。おまえたちにはここで死んでもらう」

「それが本当の目的か。ダンジョン攻略というのは?」

「フン、そんなものは口実に決まっている」

「やはり、陰謀を企んでいたな? このことはオルフェオの指示か?」

「……」

「だんまりか。それは肯定と受け取っていいのか?」

「それで結構だ」

セリオンは黙って大剣をスヴァルトに向けた。

これは戦うという決意の表れだ。

「それではここで死んでもらおう」

スヴァルトも剣をセリオンに向ける。

二人は瞬時に動いた。

大剣と黒い長剣がぶつかり、交差する。

「くっ!?」

「むうっ!?」

そのまま互いに剣で斬りつけ合う。

剣技の腕前はスヴァルトが優っていた。

「どうした? 英雄も剣技はその程度か?」

セリオンはまだ二十年しか生きていないのだ。

スヴァルトが何年生きているか分からないが、セリオンより剣技の研鑽を摘むことができたのは確かだろう。

「確かに、剣技ではおまえに勝てないよだな」

「小僧……剣技でなければ私に勝てるというつもりか?」

「そう聞こえたなら、正しく伝わっている」

「なめたことを、後悔させてやろう!」

スヴァルトが再び斬りつけてきた。

セリオンはそれを光の大剣で受け止める。

「むっ!? それは!?」

この技は光の剣『光輝刃こうきじん』だ。

たちまちスヴァルトが押されるようになる。

闇に対して光は唯一対抗できる属性だ。

セリオンはスヴァルトは光に弱いと見た。

そしてそれは当たっていた。

セリオンとスヴァルトが剣撃を当てあう。

それはすさまじいスピードだった。

スヴァルトは長剣を上にかかげた。

「これで死ね! 闇魔噴出剣あんまふんしゅつけん!」

スヴェルトが剣を地面に下ろす。

するとすさまじい闇の噴出がセリオンを襲った。

セリオンはそれを光をまとわせた刃で耐える。

「バ、バカな……」

「この程度の攻撃、俺には通じない」

スヴァルトは衝撃から立ち直る。

それは歴戦の戦士のそれだった。

「なら、これで斬り伏せる! 真空円月斬しんくうえんげつざん!」

スヴァルトはセリオンに円月の刃を放ってきた。

衝撃がはじける。

セリオンはそれを蒼気の刃でかき消す。

円月は四発放たれた。

そして四発目は大きかった。

だが、セリオンにはそんな攻撃は通じない。

「くらえ!」

セリオンは光の粒子をまとう斬撃『光子斬こうしざん』で、スヴァルトを斬りつける。

スヴァルトは長剣でガードした。

だが、剣は折れ、スヴァルトはセリオンの攻撃をもろに受けた。

「ぐはっ!?」

スヴァルトが苦悶を漏らす。

「くっ!? この私がこんな若造に……」

「死ぬ前に答えろ。これはオルフェオの策か?」

「クックック! きさまにそれを教えてやる義理はない。せいぜい帰って仲間の危機を悔いるがいい。ぐはっ」

スヴァルトはそのまま動かなくなった。

スヴァルトの言葉を信じるなら、エスカローネたちにも魔の手が差し伸べられている可能性があった。

「セリオン、無事か?」

「アンシャル? ああ、無事だ」

「ここに集まったということは、皆も襲われたということか?」

サラゴンが姿を現す。

「まったく陰険な奴らだぜー!」

「アリオンか。全員無事だな」

「アンシャルたちも襲われたのか?」

「ああ、闇黒騎士に襲われた。どうやらそれが陰謀だったようだがな」

「そうか。急いで帰ろう。エスカローネたちが心配だ」

「そうだな。オルフェオが何をするか、気になる」

セリオンたちは急いでダンジョンを脱出した。

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