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ヘルデンリート・フィナーレ Das Heldenlied Finale ~Mein Bester Freund~  作者: 野原 ヒロユキ
俺は新しい時代の扉を開ける Ich will die Tür der neuen Zeit aufmachen
13/19

シュヴィーデンの歓迎

セリオンたちは謁見に招かれた。

セリオンたちの前には玉座に座った女性。

シュヴィーデン女王クリスティアーナ(Christiana)だ。

彼女はやや青みがかかった長い髪に、赤いドレスを着ていた。

女王のそばにオルフェオが立っていた。

「本日はテンペルの方々とお会いできてうれしく思います。シュヴィーデン王国は国を挙げてあなたがたを歓迎いたします」

「女王陛下と謁見できて我々もうれしい。テンペルとシュヴィーデン、この交流がよく行くことを私は願う」

スルトが皆を代表して答えた。

「具体的なことはオルフェオに任せております。本日は宮廷で晩餐会を予定しています。今夜はシュヴィーデンのもてなしを楽しんでください。それではスルト総長、晩餐会でまたお会いしましょう」

そう言うと、クリスティアーナ女王は退席した。

オルフェオが残される。

「それではスルト総長、こちらへどうぞ。ダンジョンの件について具体的に話し合いましょう」

「それでは案内してもらおう。アンシャル、同行してくれ。ほかの者は晩餐会の準備をしておくのだ」

スルトはそうセリオンたちに伝えると、オルフェオの後について行った。

こうして謁見は終わった。




宮中晩餐会――。

シュヴィーデンでも社会的に上層にいる人たちが招かれた。

出席者たちは音楽を聴いたり、話し合ったり、ダンスを踊ったり、食事を食べたりした。

セリオンはこういう場が苦手だ。

それはエスカローネも同じだろうが。

セリオンは騎士の制服でこの場に臨んでいた。

エスカローネはいつもの格好だ。

「何というか、この場は緊張するな」

「セリオンも? 私も同じよ。ふふっ、私たちは似ているわね」

「うまいー! お~い、セリオン! これうまいぜ!」

「アリオン……おまえはそればっかりだな」

アリオンはグルメに目がない。

宮廷で出される料理はアリオンには最高だろう。

「ふふふ! アリオン君らしいわね」

「アリオン! いくら何でも少しは自重しなさいよ!」

「そーだよー。アリオンは羽を伸ばしすぎだよー」

シエルとノエルがアリオンをたしなめる。

この二人はいつもこうだ。

アリオンとはあまり仲が良くない。

というよりも、この二人はアリオンをライバル視していた。

実のところ、アリオンの学校での成績はトップクラスだ。

二人はシベリア語が母語ではないため、苦戦している。

シエルとノエルはブリュッセル語が母語で、ツヴェーデン語は学んでいたが、シベリア語は一から習得しなければならなかった。

アリオンはシベリア語とツヴェーデン語のバイリンガルである。

「なんだよ。別に料理を食べるのは俺の自由だろ?」

アリオンがムッとする。

スルトを見ると、クリスティアーナ女王と会話していた。

その雰囲気は和やかだ。

「皆様方、晩餐会は楽しんでおられますかな?」

「オルフェオ……」

セリオンがつぶやく。

そこに宰相のオルフェオ・オクセンシェルナが現れた。

横には黒い甲冑の騎士を連れている。

「紹介いたしましょう。こちらは側近騎士のスヴァルト(Svart)です。それではごあいさつを」

「……スヴァルトだ。ダンジョンではよろしく頼む」

「セリオン・シベルスクだ。こちらこそ、よろしく頼む」

二人はそう言うと握手した。

セリオンの手にスヴァルトの冷たい手が当たる。

「あいさつも済んだところで、フラウ? 私と一曲踊ってくれませんか?」

オルフェオがエスカローネを誘う。

「あ、あの、私はダンスは踊れないんです」

エスカローネは緊張して。

「ご安心を、私がリードいたしますので」

「もういいだろう? 彼女はいやがっている。それとも、シュヴィーデンの紳士はいやがる女性に無理やり踊らせるのか?」

セリオンが間に入った。

「ははは、これは手厳しい。そういうことであれば致し方ありません。それでは皆様、お楽しみください。行くぞ、スヴァルト?」

「はっ」

二人は去っていった。

「あの男、またエスカローネに近づこうとしていたな」

「私、あの人は苦手だわ」

「ふーん、あの人剣は使えるのかな?」

アリオンが疑問を抱く。

「どうだろうな。体の付き具合や立ち振る舞いから、彼は剣士ではなく、魔法使いじゃないか? それよりも、あのスヴァルトとかいう男は間違いなく剣士だ。気をつけろ」

「? 何を気を付けるんだよ?」

「あいつからはそこが読めない何かを感じた」

「なんだか、抽象的ね?」

「まあそうとしか言いようがないんだ。今度のミッション、もしかしたら何か起こるかもしれないな」

「起こるって何がだよ?」

「それは俺も分からない。ただ、警戒はしておくんだ。何かあってからでは遅いからな」




セリオンたちは後日、シュトックホルムの観光に出た。

シュトックホルムの美しい町並みが広がる。

セリオンはこの町並みを歩けるだけで、この国に来たかいがあったと思う。

エスカローネはセリオンと手をつないでいる。

「すてきな町並みね」

「ああ、そうだな」

「ツヴェーデンとは違う趣がとてもいいわね」

「ああ、うっ!?」

その時セリオンはある人とぶつかった。

「すまない。気を取られていた」

セリオンはその人物の顔を見る。

それは……。

「なっ!?」

その人物はサタナエルだった。

セリオンの目の前にサタナエルがいた。

セリオンはとっさに離れて、大剣を出そうとした。

「ありえない……おまえは俺が……」

サタナエルはフッと笑うと、氷雪を降らせて、去っていった。

「っ!? 待て!」

「!? セリオン!?」

サタナエルは氷雪をまき散らせながら、路地裏に去っていった。

セリオンはサタナエルを追う。

セリオンも路地裏に入る。

「おまえは……サタナエルなのか?」

「もちろんだとも。久しぶりだな、セリオン」

「おまえは生きているのか?」

「当然だ。川に落ちただけで私が死んだと思うか?」

「これは幻か?」

「その通り。これは実体ではない。残念だがな」

「おまえはどこにいる?」

「私はシュトックホルムの王宮にいる」

「何だと?」

「フッ。よかったな、セリオン。シュヴィーデンでミッションがあるらしいじゃないか」

「何でそれをおまえが知っている?」

「私は知っていて当然だとも。さて、セリオン、ここからが本番だ。こちら側に来る気はないか?」

「何を言っている?」

「闇の側に来るんだ、セリオン。そして闇に染まって私のパートナーになってくれ」

「おまえは闇に堕ちたのか?」

「違うな。もともと私は闇の側に立っていた」

「それがネーベルハイムでの虐殺か」

「それで、どうする?」

「地獄に落ちろ!」

セリオンは大剣を振りかぶってサタナエルの頭に振り下ろした。

幻は消えた。

「フフフフフ、それでいい」

サタナエルの声が響いていた。

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