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ヘルデンリート・フィナーレ Das Heldenlied Finale ~Mein Bester Freund~  作者: 野原 ヒロユキ
俺は新しい時代の扉を開ける Ich will die Tür der neuen Zeit aufmachen
11/18

聖堂

その日、セリオンとエスカローネは聖堂に呼び出された。

呼び出し人はスルト・ボルグ(Surt Borg)。

テンペルの総長にして、聖導騎士団せいどうきしだん団長である。

また、セリオンにとっては第二の父とも言える存在であり、剣の師でもあった。

「セリオン、入ります」

「エスカローネ、入ります」

「うむ、入ってくれ」

中から男性の重厚な声がした。

セリオンとエスカローネは聖堂執務室に入る。

中にはアンシャルもいた。

「やあ、よく来てくれたな」

アンシャルが気さくに声をかけてくる。

「よく来てくれた」

スルトは優美なアンシャルとは対照的に、黒い髪に、甲冑をスーツとし、武骨な武人だった。

ただし、彼はテンペルの創設者の一人であり『テンペルの父(Der Vater des Tempels)』と呼ばれる。

当然、政治にも関与することになる。

スルトはアンシャルとは長い付き合いだ。

少なくとも、アンシャルはもう一人のテンペルの創設者でもある。

「今日はどうして呼ばれたんだ?」

「うむ、今日はこれからのミッションを説明したい。もうほとんどの関係者は知っているがな」

スルトの第一声は鋭いというよりも、重かった。

彼は威厳のある人物だ。

だが、セリオンはそんな声に親しみを持っていた。

「どんなミッションなんですか?」

「我々はシュヴィーデン王国に行く」

「シュヴィーデン? 北欧のか?」

「そうだ。交通手段は飛空艇シーベリオン(Siyberion)を使う」

「どうして、シュヴィーデン王国に行くことになったんだ?」

「向こうからテンペルと交流したいと招待状が送られてきた。最近、ダンジョンが見つかり、その調査に我々も同行してほしいという」

「ダンジョンですか?」

ダンジョンはたまに発生することがある。

魔物の住みかでもあり、一般人が立ち入るのは危険な場所だ。

どこの国でも騎士団か軍が対処するのが普通である。

「そうそう、向こうでは王宮主催のパーティーも行われるようだ。礼服も持っていくようにな」

アンシャルが捕捉してくる。

「パーティーか……」

セリオンが嫌そうな顔をする。

「まあ、おまえがそういうイベントを苦手としているのは知っているが、これは仕事でもある。今回はおまえの力も必要だ」

アンシャルが苦笑する。

セリオンはパーティーなどのイベントは苦手である。

できればこじんまりとした環境の方がいい。

それはエスカローネも同じようで、これもセリオンとエスカローネの性格が一致していた。

「わかった。準備をしておく」

「わかりました」

「それでは本日はもう休みでいい。出発の準備をしてくれ」

スルトから休みの許可が出た。

それはうれしいのだが。




セリオンとエスカローネは聖堂から出た。

「あ、お兄ちゃんだ!」

「おにーちゃーん!」

「シエル、ノエルか」

「こんにちは、シエルちゃん、ノエルちゃん」

「「こんにちは!」」

二人の修道女があいさつしてくる。

この二人は修道女で、年齢は十二歳。

シエル(Siel)は金髪の髪に、緑の瞳で、青い地に白い襟もとの修道服を着ていた。

髪はポニーテール。

ノエルは(Noel)はレモン色の髪に、緑の瞳、シエルと同じ修道服を着ていた。

髪型はおさげ。

二人ともセリオンを兄のように慕っている。

二人はセリオンによってツヴェーデンに連れてこられた。

もともとはツヴェーデンの西に位置する、ブリュッセル共和国の出身である。

「お兄ちゃん、私たちもシュヴィーデンに行くんだよ」

「そうなのか? 向こうでも仕事だろうから、遊んではあげられないぞ?」

「わかっているよー。でも、おにーちゃんといっしょに行けるのはうれしいなー」

このような話し方をするのはノエルである。

ノエルはおっとりとしていて、あまり機敏な性格ではない。

それに対して、シエルは快活で明朗だった。

この二人は出会ってすぐに親友になった。

「そう言えば、二人はシーベリオンのオペレーターだったわね?」

「うん、そう!」

「そーだよー」

「それで今回の招待に出席するのか。それなら納得がいく」

「えへへ! よろしくね!」

「よろしくねー」

「ああ、俺たちもよろしくな」

「よろしくね」

「それじゃあ、俺たちはアリオンとサラゴンに会ってくる。じゃあな」

「うん、またね!」

「またねー」




シエルとノエルと分かれたセリオンたちは、訓練棟がある建物に入った。

その中では訓練をする騎士たちがいた。

ここには一人の黒い騎士がいた。

「サラゴン!」

「ん? おお、セリオンか!」

彼はサラゴン・ダンスク(Saragon Dansk)。

年齢は三十歳。

髪は黒のオールバック。

瞳は茶色だ。

もと冒険者で、アンシャルに誘われてテンペルに入った。

十歳になる娘、ダキ(Daki)がいる。

「半年ぶりだな! 元気か?」

「ああまあ、な」

「サタナエルの件は知っている。それで帰ってきたんだろ?」

「そうなんだ」

「サタナエルの件は非常に残念だったな。だが、おまえは一人じゃない。俺もいるし、アリオンもおまえを慕っている。サタナエルにはそういう人がいなかったんだろう」

セリオンは今はサタナエルのことは心のうちに閉まっておきたかった。

ただ、これほど情報通信機器が発達して、サタナエルの凶行が広まらないわけもなかった。

この事件はもう、ツヴェーデン中が知っている。

テレビでも放送されているし、政府も把握しているはずだ。

ただ、当事者のセリオンとしてはそっとしておいてほしかったが。

「ああ、そうだな。サラゴンもシュヴィーデンに行くんだろう?」

「ああ、俺も行く。俺はシーベリオンの操縦士だ」

「久々だから、おまえと剣を交えたいが、そういうわけにもいかんか」

「まあな。シュヴィーデン行きの準備をしなくてはならないからな」

「それでは、また」

「ああ、また、な」

「失礼します」

最後にエスカローネが頭を下げた。




セリオンたちは訓練棟からほかの場所に行った。

そこは寮だった。

テンペルの寮には三種類あって、家族寮、男子寮、女子寮だ。

アリオン・フライツが住んでいるのはそのうち家族寮に当たる。

セリオンはインターホンを押した。

「はあい」

中から聞こえてきたのは女性の声。

ドアが開く。

「まあ、セリオン! 帰ってきたの?」

「ああ、ダリア。アリオンに俺は会いに来たんだ。アリオンはいるか?」

彼女はダリア・フライツァ(Daria Freiza)。

職業は教師で、専門はシベリア語。

髪は金髪で、瞳の色は赤。

年齢は三五歳。

また、セリオンの母ディオドラの親友でもあった。

「アリオン? いるわ。アリオーン、セリオン君が来ているわよー!」

「えー!?」

一人の少年が姿を現す。

彼は金髪でやや長めの髪を縛っている。

瞳の色は赤だ。

アリオン・フライツ(Arion Freiz)

「セリオン! 久しぶりだな!」

「ああ、久しぶりだな!」

「まあ、その、セリオンが帰ってきた理由はだいたいわかる。サタナエルのことは……」

アリオンは気まずそうに言った。

「いや、いいんだ。あれは悲劇だったが……」

「セリオン、聞いたぜ? セリオンもシュヴィーデンに行くんだってな?」

「ああ、そうだ。俺もエスカローネもシュヴィーデンに行く」

「俺は初めての外国だから緊張するよ」

「俺もシュヴィーデンに行くのは初めてだ。お互いそこは同じだな。じゃあ、今日はもう帰る。帰って、準備をしないといけないからな」

「ああ、それじゃあ、また」



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