表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お母さん、私、恋したよ!  作者: 藤堂慎人
53/92

治療開始 5

 治療ということで点滴がスタートして10日ほど経った。どういう薬かは分からないが、先生がすることだから間違いはないと思っている。しかし、ここ2日ほど、体調が優れない。私は心配だったが、この間も坂本が見舞いに来てくれた。まだ夏休みの最中なので、自分の予定もあるだろうにわざわざ1人で来てくれることを秘かに待っている自分の気持ちに気付いていた。

 そういうことで明るくなれる時間もあるのだが、体調が今一つであれば、心の底から楽しい時間と感じられないこともある。

 具体的なこととしては食欲がなく、食べてもおいしく感じないのだ。だから出された食事も残すことが多くなっていた。

 また、吐き気も感じており、昨日はトイレで食べたものを戻した。

 そういうことが続いたためか、少し瘦せたような感じがしている。また、身体がだるく、倦怠感も感じている。夏バテかなとも考えたが、エアコンが効いた病室にいるし、水分もきちんと補給しているつもりだ。そういうことを考えていると、いつものように朝の検温に看護師さんがやってきた。

「さくらちゃん、おはよう。体調はどう?」

 いつもなら元気であることをアピールするのだが、この日はそういう気になれなかった。

「・・・うん。そうね・・・」

 私は気のない返事をした。担当の看護師さんは職業柄、こういったことには敏感だ。

「あら、どうしたの? いつもと違うわね。体調、優れないの?」

「実はそうなの」

「そう言えば昨日の食事、残したようね。美味しくなかったかしら」

「そんなことじゃないの。何だか吐き気がして食べたくなかったの。昨日、食べたものを戻したし・・・」

「そう、先生に報告しておくね。他に何か変わったことはない? もしあればそれも含めて先生に報告する」

「ちょっと全身がだるい感じかな。夏バテかしら?」

「ううん、何とも言えないわね。それも先生に報告しておくね」

「ありがとうございます。お願いします」

 看護師はそう言って他の患者さんの検温をして、部屋を出ていった。

 会話を聞いていた工藤がその後、私に話しかけてきた。

「さくらちゃん、食欲ないの? 食欲は体力に関係するから、なるべく食べたほうが良いよ。でも戻すようだったら別だけどね。売店で好きなものを買ってきたら? 食べないよりも良いと思うよ」

「ありがとう。今、看護師さんに言ったから、何とかなると思う。朝ごはんもちょっと残しちゃったからな。お昼はしっかり食べる」

 その言葉に工藤は微笑みで返した。

 しばらくしたら、朝の点滴の時間になった。いつものように準備が進む時、私は看護師さんに尋ねた。検温の担当の人とは違う。

「この点滴、どういうことに効くんですか?」

「どういうことにって?」

 看護師は話を逸らそうとした。しかし、どういう薬なのかを知ることで、ネットである程度は内容を調べられる。

「さくらちゃんの点滴にはビタミン剤が入っているの。先生から伺ったけれど、さくらちゃん、自分の病名を知っているんですってね。それを知っても平静だったそうで、先生、驚いていらしたわ。ネットで調べたんですってね。今はいろいろ調べられるから、検索したら良いんじゃないかな」

 私はその話を聞いて不安が軽くなった。入院していると、1日の時間が長い。私は点滴の間にスマホでチェックすることにした。

 するとウェルナー症候群の場合、ビタミンCが効果的な場合があるという記事が出てきた。同時に、過剰摂取の場合、消化器に不調が生じることもあるということを知った。私はこれらの記事を見て、何だかホッとした。この後、昼食の時間になったが、食欲は相変わらず無かったが、ネットの情報から気持ちが楽になり、昨日よりは食が進んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ