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お母さん、私、恋したよ!  作者: 藤堂慎人
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相談

 両親はその足で主治医のところに行った。病気のこと、治療のことをどう伝えるかを主治医と相談するためだ。

「先生、今日は主人と伺いました」

「さっきさくらと話してきたんですが、精神的には落ち着いているような感じでした。でも、病気のことを話すと、それがどんなに落胆するかと考えてしまいます。でも事前に告知して、心の準備をさせたほうが良いんでしょうか? どんな方法を取るかで副作用から体調を崩し、気力も落ちるかもしれませんよね。」

「ううん、そこが難しいところなんです。私たちも患者さんに正直に話すか、隠しておくかということをいつも考えます。完治が期待できることならば話しますが、さくらさんの場合、ウェルナー症候群ということも伝えていないし、ガンのこともそうです。病室にスマホを持ってきているということですから、もしかするとウェルナー症候群のことは何となく気付いていらっしゃるかもしれません。今はネットで何でも検索できますからね。でも、さくらさんからはそういう質問はありません。あえて気にしないように振舞っているのか、本当に知らないのかは分かりませんが・・・。ウェルナー症候群のみであれば、それなりの年齢まで命を長らえるケースが報告されていますので、関連した症状が出た時の対応で大丈夫です。先日の骨折のように・・・。でも、癌の場合は話が別です。対応が遅れればその分、治癒の可能性も低くなります。さくらさんの場合、単なる癌というわけではない分、どのようになっていくかは読み切れないところがあります」

「・・・そうですか。そういう場合、現時点での状態はどうなのでしょう」

「さっき、検査の結果が出ました。残念ながらさくらさんの場合、ステージ2の最初のほうです」

「いろいろな検査の結果ですが、少し体重の減少が見られますし、咳は軽くなっているとはいってもまだ出ています。もう少し進行すると、今の薬では抑えきれないかもしれません。やはり根本の部分にアプローチしなければ、ということです」

 両親は沈痛な面持ちで見つめ合っている。しかし、その状態では解決にならない。

「・・・先生、分かりました。さくらに話します。ただ、さすがに癌ということは話しにくいです。ウェルナー症候群のことだけを話し、現在の症状は身体が弱っているからだということで、それに対する治療ということで話せませんか?」

「難しいですね。癌の場合、手術という外科的な対応をすることが多いのですが、そうなると若い女性の身体を傷付けてしまうことになる。その場合、ウェルナー症候群ということを理由にすることはできません」

「じゃあ、やっぱり癌であることも含めて告知することになるんですか?」

「一般的にはそうなると思います。しかし・・・」

 医者の「しかし」という言葉に2人は反応した。

「他に選択肢があるんですか?」

「今、外科的な処置だけでなく、複数の薬を組み合わせで効果が出ているという報告があります。ただ、それでも副作用はあります。免疫療法や一部の漢方薬を用いるということもあり得ますが、そういう方法であれば副作用も抑えられると思われます。でも効果についてはやってみなければ、という状態です」

 両親はその話を聞き、一旦持ち帰って相談することにした。しかし、ステージ2ということを聞いたので、時間の問題を考慮し、明日の午前中に結論を伝えることにした。そこでは本人に主治医から伝え、私たちは少しでもショックを和らげるためにサポートする、という役回りを確認した。

 この日、両親はこのまま帰宅し、今後のことについて話し合った。


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