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お母さん、私、恋したよ!  作者: 藤堂慎人
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再登校 3

 他のクラスメートと同様の生活が送れるようになった私だが、1学期が終わり、夏休みに入った。

 入学時、ドタバタしていたので高校生活で楽しみにしていた部活への入部も遅くなった。母から腕の怪我のことが関係するのか、運動部に入部することは反対された。私自身、何かのスポーツに興味があるわけではなく、結果的に読書部に入部した。図書館でいろいろな本を読み、互いに感想を言い合ったり、読書感想文を書いてコンクールに応募するなど地味な活動になる。

 しかし、そういうリズムは私に合っており、意外とはまった。本はどこでも読めるし、いろいろな世界を経験できる。そういう広がりが好きなのだが、それは自分の未来の夢にもつながる。

 大学では何を勉強しようか、そしてどういう仕事をしたいかということを本を通じて想像を膨らませる。私は読書の一時を自分の空想の世界と繋げるが、たった1冊から無限の広がりを感じていたのだ。

 1学期の間は勉強もあるので読書する時間も限られていたが、夏休みになれば自分の自由な時間が増える。思い切り好きな本を読もうと張り切って夏休みを迎えることになった。

 ただ、最近、やたら咳が出る。風邪でも引いたのかな、くらいの気持ちで薬を飲んでいたがあまり好転しない。

 でも、夏休みに入ってすぐ、定期検査の日があった。そこで相談できる、そして病院から薬を出してもらえればすぐに良くなる、ということを期待していた。

 検査当日、この日も母と一緒に来ていた。いつもの診察室に入り、主治医の先生の診察が始まった。

「こんにちは。どうですか、体調に変化はありませんか?」

「はい、基本的には元気なんですが、最近、ちょっと咳が出るようになって・・・」

「・・・そうですか。胸の痛みはありますか」

「少し」

「痰は出ますか」

「はい」

「他に何か異常は?」

「この前、咳をした時に出た痰には赤いものが混じっていましたが、強く咳をしたので気管でも傷付けたのかな、と思っていました」

「なるほど。では、いつものように血液検査やレントゲンを撮ります」

 私は主治医の言う通りレントゲン室に行ったが、これまでもやっていたことなので特別な違和感はなかった。だが、主治医の表情がいつもより険しさを感じた。でも、先生も忙しいんだろう、というくらいの気持ちだった。

 指示されたことが一通り終わった後、私たちは再び診察室に戻った。

「今日の検査結果には少し時間がかかりますので、今日はこのままお帰りになって結構です。レントゲンの結果は画像を見ればすぐに分かりますが、血液検査は少し時間がかかります。結果次第では再検査になりますので、その時はお知らせします」

 主治医のその言葉に私と母は驚いたような感じで目を合わせた。

「さくらは何かの病気の疑いがあるんですか?」

 母は少し強い口調で尋ねた。

「いえいえ、お母さん。今の状態をきちんと知るために検査するんです。いつもよりもしっかり調べるために時間をいただくんです」

≪日記≫

『ちょっとした咳の相談だったのになんかオーバー。私は元気だから心配していないけど、先生やお母さんの様子はちょっと変。私に何か隠していることでもあるのかな?

 今度聞いてみよう。私は高校初の夏休みを楽しむぞ。

 家にいる時間も長くなるから、ミーちゃんとも遊べる。充実した夏休みになりそうだ』


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