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エピソード2.俺の異世界生活がこんなに可笑しい訳がない(仮)❸

数時間前の自分にこんな展開を想像できただろうか?人とは深く関わらないと本当にその人の人間性が分からないと言うが、本当にそうだなと、今心から思う、まさに、異世界に来てこの俺に、新の仲間が出来るなんて思ってもみなかったからだ。


「コーネリオン。悪い、正直お前がここまでの戦士だとは思いもしなかった」


「いえ、イチロー様にもこの趣味が分かって頂けて感激です!」


コーネリオンの家には何故か萌え系のライトノベルが数冊あった、何やら生前父親が世界中から集めてきた異世界コレクションの一つらしい。

それと父親もそうだったらしいのだが、コーネリオンはこの世界にいながら立派なオタクに育っていた。

そして俺達は先程からずっとどんなヒロインが一番なのかを語り明かしていたのだった。


「やはりヒロインに必要なのは、ドジっ子属性ですよ!そして巨乳!さらに眼鏡をかけていればなおよし!」


コーネリオンはサッと眼鏡を取り出して自分でかけて見せた、この眼鏡も親父さんのコレクションの一つらしい。


「コーネリオンはドジっ子萌え属性を常備している戦士って訳だな?」


「イエス!」


「しかーし、それに俺は同意出来ないぜ。確かにドジっ子属性のヒロインは可愛い、しかしどんな映画でもゲームでも小説でもやはり王道で正統派な作品が一番なんだ!それはヒロインに関しても同じ事!控えめで、それでいて主人公の事を一途に思ってくれている正統派ヒロインこそが一番だ!ドジっ子や、ツンデレっ子や、クーデレっ子などは、正統派ヒロインを引き立てる前菜に過ぎない!!」


「ふふ、なるほどです。では、イチロー様は正統派ヒロイン萌え属性を常備している戦士、なのですね?」


人差し指で眼鏡の位置をすっと戻し不適に笑うコーネリオン。


「YES!」


俺とコーネリオンは意味もなく熱い握手を交わした。


「ふふ、なるほどです。しかし、イチロー様?あなたもコレを読めば必ずこっち側の戦士に寝返る事になりますよ?」


ドヤ顔でコーネリオンが俺の手元に一冊の萌え系ライトノベルを差し出して来た。

『眼鏡の君に恋してる〜人身事故から始まるビッグバンの恋〜』こりゃまたマニアックなライトノベルが出て来たものだ。


「ふん、この俺が本当にこの小説を読んでいないと、いつから錯覚していた?」


この小説は、主人公の車に自分から突進して轢かれてしまう程にドジっ子でもちろん眼鏡っ子のヒロインを書いている作品だ、何故か知らんが人身事故を起こした衝撃で二人がお互いの事を好きになる、なんともシュールで衝撃的なラブコメ作品だ。


「あ、貴方は!?この作品も手を染めていたのか!?」


「YES!…まぁ、色々思う事もあるが、しかし、この作品はとにかく眼鏡っ子ヒロインのたまきちゃんの可愛さが一番の魅力!むしろ彼女の存在のみで最後まで読破できたと言っても過言ではないのだよ!」


俺の言葉を聞き、コーネリオンは涙を流しプルプルと身体を震わせる。


「くぅ〜!流石イチロー様!いや、救世主様!ここまで、たまきちゃんの可愛さを分かってくれる奴居ませんでしたよ!俺、俺…この作品読んでから、ずっと、ずっと、たまきちゃんの事…」


二次元のヒロインに恋焦がれ、届かない彼女達の事を一途に思う気持ちは俺にも分かる。

彼は純粋にたまきちゃんにずっと思いを寄せていたのだ、永遠に一方通行な恋だと分かっていながら。


ーー涙を流すコーネリオンの肩をポンと叩き俺は作中に出て来るある名シーンの台詞を呟く。


「君は、僕の前に突如現れた恋の当たり屋さんだった」


コーネリオンはブワッと鼻水を出しその場に泣き崩れた。


「た、たまきちゅわん!たまきちゅわぁぁん!」


俺も今思い返せば、現代の世界でここまで趣味を語り合える奴は居なかった。

もしかしたらコイツは初めて出来た友と呼んでいい存在なのかも知れない。


ーー翌日の早朝、俺は約束通りに王城の前まで向かった。

約束の場所にはあの二人の姿が見える、俺は手を振り

二人のもとに駆け寄る。

遂に、遂に遂に!俺の冒険が始まるんだ!早朝の冷たい空気を肺いっぱいに吸い込み深呼吸をする。

くそー!異世界は空気も美味しいぜ!


「約束通りに来たわね」


「当たり前だろ!行くんだろ?魔の森!」


遂にモンスター達とバトルするんだよな?テンション上がるぜ!昨日は海であの緑色のモンスターに好き勝手にされたけど、俺にあの能力があるって分かってたら、あんな雑魚一瞬で蹴散らせてた、今日はそのリベンジをしてやるぜ!


「行くわよ。ってかあんた何?そんな鼻息荒くして」


興奮気味の俺に気付きティティスが指摘してくる。


「いやー?別に?ただ、遂に俺も救世主様としての役目を果たせるなーって思っただけだ」


「ふーん。まぁ、いいわ」


ティティスは歩き出しながら言葉を続ける。


「一応説明するけど、私達の目的は魔王を倒す事。だけどその前に魔の森に存在する四天王を倒さないと魔王は現れないの、だからまずは四天王を倒しに行くわ」


なんともゲーム的でありがちな設定だな。

しかし、王道上等!俺がこの世界を救ってやるぜ!


「それと、魔の森を舐めてたら本当に痛い目に合うから、一応忠告」


「おっけーおっけー、勿論分かってるよ」


ティティスの後に続きながら軽く返事をする。


「………一応忠告はしたからね?」 


ティティスは俺の態度に呆れているのかため息を吐いた。

ふん、今に見てろ?俺のチート能力での無双っぷりを見たらそんな態度はとれなくなるはずだ。

後ろを見ると、本日も朝から一言も発していないクールな勇者さんがテクテク後をついて来ている。


ーーそんなこんなで、俺達は王都の門付近にまで浸食してきている魔の森に足を踏み入れたのだった。

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