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エピソード1.異世界転移❺

王城を警備している兵士が一名、こちらに近付いてきた。


「おぉ!まさかだけど、彼が例の救世主様!?」


「そうよ」


「すげー!ガチで異世界っぽい服着てるしすげー!」


興奮気味に俺の周りをうろちょろする男性兵、少し長めのヘアースタイルは何だか兵士って言うよりオタクっぽい感じだ。


「きゅ、救世主様のお名前は!?それと何歳でしょうか!?」


圧半端ねぇ!しかもちょっと唾飛んで来たし。

頬に付着した不愉快極まりないそれを袖で拭きながら答える。


「…山本一郎、18 歳」


「ヤマモト、イチロー様ですね!おぉ、俺もイチロー様と同い年なんです!あ、俺はコーネリオンって言います!」


コーネリオンと名乗ったオタク兵は眼をキラキラさせながら捲し立てるように語り出す、うん、やはり圧が半端ない。


「ちょっと!コーネリオン!救世主様達に失礼でしょ!?それに私達勤務中なんだからそう言うプライベートな私語はどうかと思う」


突然警備をしているもう片方の女兵がコーネリオンを咎めるように口を開いた。


「ったく、フォルトゥナは本当に頭が固いよな」


「そ、それ!どうゆう意味よ!?」


コーネリオンと女兵がなんだか言い争いを始めた。


「お前のそうゆう所まじで直した方がいいぞ?」


「そ、それを言うならコーネリオンだって!」


え、何?痴話喧嘩?イチャイチャしだしてない?


「はいはい、二人ともそこまで!」


空気を読んでティティスが仲裁に入る、


「あ、ごめんティティス。…あの救世主様!勇者様!無礼を数々申し訳ございません…」


女兵は深々と最敬礼をして謝罪をしてきた。


「いや、別にそんな気にしなくても…それに救世主様って呼ばれるのも何か気持ち悪いから俺の事はイチローでいいよ、そこの彼ともなんか同い年みたいだし」


「おぉ!なんと御心の広い方なんだ!流石イチロー様!いや、イチロー!」


ノリノリでイチローと呼び名を切り替えたきたコーネリオンにゲンコツを落とす女兵。


「痛っ!?ちょ、何すんだよ!この暴力女!」


「馬鹿!救世主様がいいって言ってもいい訳ないでしょ!?それに暴力女って何よ!?」


「暴力女は暴力女だろうが!」


いやいや、何このラブコメ兵士。

めっちゃ見せ付けてくれるじゃん。


「はは、本当に二人は仲良いな?」


その言葉に二人は、条件反射的な速度で全く同時に否定してきた。


「いやいやいや、本当にそれはないです!」


「そうです!ただ単に、コイツと私とティティスは三人とも幼なじみなだけで、別にコイツとは仲良い訳じゃ」


いや、仲良いだろ!よし、この二人はあだ名に男の方からラブコメ兵士一号二号と名付けよう。


「ふふ、この二人はずっとこんな感じよ。ごめんねコーネリオン、フォルトゥナ、王様を待たせてるから」


ティティスの言葉に二人はハッと表情を引き締め、左右に身体を移動させ通り道を作った。


「わ、私とした事が申し訳ございません救世主様!」


「お、俺も…貴重な時間を使わせてしまって申し訳ございません。王様はこの門の扉を開き真っ直ぐ進んだ部屋におられます」


「お、おぅ」


コーネリオンは謝罪した後、まさにモブ化したかのようにテンプレートな言葉をスラスラと語った。


「これが彼等の仕事なのよ。ほら、早く行きましょ?」


ーー王様を待たせているとの事で割と早足でティティスの後に続く。

大きな扉を開くと、豪華な椅子にいかにもな格好をした王様が座っていた。


「お待たせ致しました、戦士ティティス、勇者共に異世界転移の者を連れて戻って参りました」


ティティスがキリッとした口調で報告をする。

場の空気が締まるこの感じ、何か王様の部屋って感じだ!心臓が高鳴るのを感じる、遂に来るぞ、あのイベントが遂に来る!一度は諦めていた俺の夢の異世界ライフ!美少女あり、チート能力あり、そして今から俺は王様に世界を救ってくれと頼まれる!くそたまんねぇぜ!夢が叶う!まじで神様ありがとー!


「おぉー!君が異世界から来た転移者か!?」


王様の質問に頷く。


「はい、俺は山本一郎と申します。本日異世界からおそらく転移して参りました」


ごくりと生唾を飲み込み、王様の言葉を待つ。


「おぉー!まじか!やっぱ占い師の予言通りだったな!やっぱ占い師の予言ぱねぇわ!すげぇわ!彼が来たって事は、これでこの世界は大丈夫だわ!」


え?何?王様こんな口調なの?軽くね?何か口調軽くね?ちょっと待って思ってた感じのと全然違うんだけど。


「うん、うんうん、勇者に、戦士に、救世主、この三人揃えば大丈夫っしょ!よしっ!あーよかった安心したー」


「王様…取り敢えず彼に説明をされた方が」


困惑する俺を見兼ねてティティスが口を挟む。


「あー、そうだね。えっと、なんつーかこの世界今やばいんだわ。魔王が現れて、んで魔王の身体の一部でもある魔の森っつーもんに浸食されてさ?この王都しかもう街も残ってないんだよね?やばいでしょ?そこで占い師の予言でさ?救世主が異世界から現れるからそれまでに勇者と、戦士?用意しとけって言うから用意してたんだけどさ?あ、何か救世主と勇者が揃えば占い師の予言では魔王を倒せるらしいのよ!」


「…王様、凄くお喋りなの」


王様のキャラにドン引きしている俺にこそっとティティスがフォローを入れる。

いや、お喋りとかの問題じゃねーよ!キャラ!キャラよキャラ!まじこの異世界の設定本当に大丈夫かよ?


「って言う訳だからさ?イチロー君と勇者ちゃんと戦士ちゃん三人でさ?ま、軽ーく世界救っちゃってよー」


王様はニコニコ笑いながらお金らしき物が入った袋を手渡してきた。

正直、俺も世界救ってくれ的なこと言われるのが願望だったけど、何かこれじゃない感が半端ない。


「よ、喜んでお受け致しまするー」


あ、致しまするーとか言っちゃったし、でもまぁ何かもういいや、うん、何かいいや。


「っしゃー!まじありがとね!めっちゃ助かるわ!んじゃ、勇者ちゃんも宜しくね?」


「はい」


勇者はこんな時でも相変わらずなテンションで一言呟いて終わり、本当にブレない奴だ。


ーーまぁ、そんなこんなで俺はこの三人と一緒に世界を救う事になったのだった。

正直俺が思ってた通りとはちょっと違った所もあるけど、チート能力、美少女、この二つのワードがあるだけでも正直モチベーションが上がる事は間違いない!待ってろよ魔王!絶対にお前をぶっ倒してやる、俺達の戦いはこれからだ!新連載、俺の異世界生活がこんなに可笑しい訳がない(仮)絶対見てくれよな!?

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