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エピソード6.俺の異世界生活がこんなに順調な訳がない!❸

朝の目覚めは凄く良かった。

昨日のハードワークが尾を引き身体に少しダルさが残っているがそんなもんはこの回復剤が吹っ飛ばしてくれる。


「……っぷはー!……効くぅぅ!」


日課になりつつある目覚めの一杯を俺は牛乳のように飲み干す、そしてその後は昨晩ティティスと一緒に良い感じに仕上げ直した相棒(ロングソード)を取り出し、いつもの朝の素振りで汗を流す、だいたいコレが俺の朝のルーティーンだ。


ーー皆んなが起きて準備が整ったらすぐに出発。

残る四天王は青虫とも呼ばれる『ガバ』と『白い人(ホワイトマン)』そして『腐乱龍(ふらんりゅう)』のようだ、また何とも凶暴そうで不気味そうな名前の数々である。

そして魔の森を更に奥まで進む俺達は、明らかにこの奥に四天王居ますよね?的な鍾乳洞らしき入り口を見付けた。


「ここ…っぽいよな….」


ココしか進む道はなさそうなのは分かっているが、何とも不気味な雰囲気の為一瞬躊躇してしまう。


「ここしかないでしょ。ほら、早く行くわよ?」


ティティスと勇者は何の気にも留めない様子で早々と鍾乳洞に入って行く、まじで流石だ。


ーー鍾乳洞の中は薄暗くどんどん地下まで続く道が見える、天井には中々大きいコウモリのようなモンスターが大量に張り付いており、俺達の様子をずっと伺っているようだった。


「ジャイアントバットね。…あの感じだと私達に怯えているみたいだから、余程の事がない限りはあっちから襲って来る事はないわ」


「…そ、そうなのか…」


しかしあの数のコウモリがビッシリ一塊になっていると中々に気持ち悪い光景だ。

俺はゴクリと生唾を呑み込み、二人の後に続く。



ーー暫く進んでみたものの敵と言う敵は天井に群がるジャイアントバットと言うモンスターだけで、他のモンスターには全然出会す様子もなかった、しかもあのモンスターは襲ってこないみたいなので割とって言うかかなり楽勝で先に進む事ができている、ビックリするくらい順調だ。


「…すげー、こんな地下の洞窟にまでも、壁から森の緑が侵食してきてるんだな…」


所々の壁からは地上にあるような森の芽や草や花のような物が生えている、この部分を見るだけでも魔の森の強さを感じる。


「…そりゃ魔の森だもの。儀式で進行を遅らせない限り街だってどんどん飲み込んで行くわ」


怒りのこもった口調でティティスが呟く。

彼女の村も過去に魔の森に侵食されている、彼女から見たらこの緑は本当に憎しみの対象なのだろう。



ーー更に奥に進む俺達の目に入ってきたのは、赤、青、緑に鍾乳洞を幻想的に照らすウネウネした発光体の数々だった。


「…うおー!すっげー!!」


まさに幻想的なダンジョンって感じで、異世界好きな俺の心を刺激する。


「ちょ、ちょっと!イチロー!迂闊に近いちゃ危険よ!」


「大丈夫大丈夫!ちょっと近くまで行くだけだからっ!」


ティティスの制止を軽く流して、俺はその発光体に近付く。

ウネウネと色とりどりに光り輝く発光体は、鍾乳洞から採取できる特殊な鉱石か何かだろうか?とにかく間近で見ると一層幻想的に見えて、本当に綺麗だった。


ーー暫くその発光体に見惚れていると、ウネウネ動いていたソレは突然一斉に動きをピタッと止めた。


「…あれ?」


そして次の瞬間、その発光体はまた一斉にクネクネと動き出しグニョっと大きな一つ目の目玉を開いた。


「うわぁぁぁぁぁ!?」


大量の目玉に見つめられる俺は、衝撃のあまり身動きが取れないでいる。


「勇者っ!?」


ーー俺はティティスに凄いスピードで連れ戻され、その隙に勇者はクネクネした発光体達に向かい爆裂魔法を放った。


ーードォォォン!

鍾乳洞が壊れない程度に制御された爆発が発光体を包む、俺はその光景をティティスに抱えられながら見ていた。


「はじめて見たから分からなかったけど。…間違いない、ローパーよ」


耳元でティティスが呟く。


「…ローパー…?」


俺の問いかけに彼女は頷いた。


「柔らかい鉱石の姿をしたモンスターよ。柔らかい鉱石は凄く貴重な素材として有名なんだけど、それに容姿を真似て過去に沢山の冒険者達を葬ったらしいわ…このモンスター自体も凄く珍しいから、見た事なかったけど…」


爆風がおさまるとローパー達は光と色を失い全滅していた。


「…相変わらず勇者つえー…」


俺はティティスから離れ一人立ち上がりながら、改めて勇者の凄さを目の当たりにする。


「……まだよっ!……アイツらまだ奥から来るわよ!?」


ティティスの叫び声で再び緊張感が走る。

勇者は頷き、奥からやって来る大量のローパー達に向かい既に爆裂魔法の詠唱を唱えている。


「イチローも構えて!」


「お、おぅ!?」


ティティスの声で、反射的に相棒(ロングソード)を取り出し構える。


「気を付けて!上よっ!?」


上!?嘘だろ!?と思いながら天井を見上げると上空から、赤、青、緑に発光するローパーが大量に落ちてくる。


「うわぁぁ!?まじかよっ!?」


咄嗟に俺達は散り散りに離れ、頭上に降ってくるローパーを避ける。

ウネウネ、クネクネと光り輝くローパー達は目玉をキョロキョロと動かす、それが本当に気持ちが悪い。


ーー既に何匹かローパーを仕留めているティティスに目が弱点だと告げられ、俺は相棒(ロングソード)

を使いひたすらローパーの目玉を突き刺す。


「うぉおおおおお!!」


ーーグシャ!グシャ!グシャ!グシャ!

目玉を突き刺せたらローパーは一撃で倒す事が出来る

、だがあまりにも数が多過ぎる、それにどこからかローパーはどんどん湧いてくる為全然キリがない。


「うわっと!?」


下手に攻撃に集中し過ぎるとローパー達からの攻撃を食らってしまう、今のは何とか体当たりを避ける事が出来たが本気で油断は禁物だ。


「イチローどいて!キリがないわっ!!」


ティティスの言葉に従い俺は後方に飛ぶ、その隙に勇者が前方でうじゃうじゃしているローパーの塊に爆裂魔法を放つ。


ーードォォォン!

勇者の魔法で俺がさっきまでチマチマ倒していたローパー達が一瞬で殲滅されていく。

いける!俺とティティスで勇者の詠唱時間さえ稼げば、ローパーの群れも敵じゃない!


「待って…何か変だわ!?」


ティティスの声で振り返ると、俺達の背後から先程とは比べものにならないくらいの量のローパーがウネウネ、クネクネと迫って来ていた…しかし本当に何か様子が変だった、まるでローパー達は『何かに怯えているように』こちらに逃げて来ているように見えたからだ。


「おおおおおおおおおおん」


鍾乳洞内に、老人とも子供ともとれるような不気味な声が響いた。


「おいおいおい…何だよこの変な声はっ!?」


「………来るわよ…」


ーードゴォォン!

突然壁が崩れ、その中から口を大きく広げたクソ馬鹿デカイ芋虫が現れた。

その芋虫は逃げ惑うローパー達を容赦なく食べ始める、一口で少なくとも三十匹以上のローパーをムシャムシャと食べていた芋虫は茫然と佇む俺に気付くと『おおおおおおおおおおん』と再び不気味な声をあげた。


「…間違いないわ…青虫…ガバよ……」


四天王の一匹でもある青虫(ガバ)はその名の通りブクブクと膨張しアホみたいに巨大化した芋虫のモンスターだった。

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