表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/32

エピソード4.戦士の休息❻

亜人の犯人達は自分達の家に子供を監禁しているようだ、容疑者の一人でもあったその亜人の男性をずっとマークしていたコーネリオンが掴んだ確かな情報だった。


「イチロー様!……だ、大丈夫ですか?」


現場ではもう既に大勢の兵士がその家を包囲しており、その指揮官としてコーネリオンの姿もそこにあった。


「…この家の中に、犯人は居るんだな?…」


「はい、相手は武装した亜人の大人数名と思われます。なので、我々だけの力では戦力不足だと思い、ティティスの助力を要請しましたが。…まさか、イチロー様まで来られるとは…」


「私とイチローで今から突入するわ。…貴方達は護衛をお願い」


ティティスはコーネリオンに作戦を簡潔に伝え、俺にアイコンタクトを送ってきた、俺は力強く頷き返す。


「…わ、分かりました。お二人共無茶はしないで下さいね!」


敬礼をするコーネリオンを横目に、ティティスは豪快に扉を蹴り破った。


ーーダン!

室内の亜人達は突然ドアが蹴り破られた事に驚きを隠せないでいた。


「さぁ、始めるわよ。イチロー!着いて来たんだからそれなりに働いてもらうわよ?」


「あぁ…お前に付き合ってもらったおかげでだいぶ実戦経験が積めた。…その成果見せてやるぜ」


ニヤリとティティスに笑いかけるものの正直もう体力が限界で身体が鈍くなっているのが自分でも分かっていた、しかし、何故か俺はそれでも奴等に勝てる自信しかなかった。


「な、な、何だ!?お前達はっ!?」


亜人の男達が叫び終わる前にティティスはその内の一人の懐に既に入り込み、重たい拳を顎目掛けて振り上げる。


ーーガッ!

鈍い音が室内に響き、亜人の一人がその場に倒れ込む。


「クソ野郎共がぁぁぁあ!」


敵意剥き出しの亜人の男が俺目掛けて大振りで棍棒を振り下ろしてくる。


ーーブンッ!

当たればひとたまりもないのだろうが正直言ってリザードフライと比べると、とろい上に動きが単純過ぎる、俺は最小限の動きで振り下ろす棍棒を避ける。


「クソ野郎はテメェ等だこのボケがっ!」


俺はアイテムの入った袋からヨトゥン戦で使い切らなかった毒液袋を取り出し、豪快に亜人の顔面にぶちまけた。


「うわぁぁぁぁあ!?なんだこれ!?目がっ?目が染みる!?」


両手で必死に顔を拭う亜人は完全に取り乱していた。


「リザードフライから採取した毒だよ」


「ひ!?ど、毒!?…ちょ、待って俺を殺す気か!?…痛っ!……ひぃぃ痛い!…顔が痛い痛い!?」


毒の効果が回ってきたのか、亜人の男は完全に戦意喪失していた。

残りの亜人はそうこうしている間にティティスが全員気絶させたようだ。


「…何処にも子供達の姿が無いわ。…ってか、アンタやり過ぎじゃない?」


床に転がり顔を拭い続ける亜人を蹴飛ばし、俺は冷たく言葉を発した。


「ここに解毒剤の瓶がある。…子供達の居場所を吐け、そしたらくれてやる」


取引は呆気なく成立し、子供達は隠し階段を降りた地下に監禁されていた、犯人の亜人達はやはり元オルガと同じ家で暮らしていた仲間達だった、犯行動機もゴールド目当てだったらしい、オルガが疑われるようにわざわざ今回の子供達を選んだのも自分達だとバレないようにする為だったようだ、全員兵士達に捕らえられ今後しかるべき処罰を受ける事になるだろう。


「…アンタたまにほんっととんでもない事平気でするわよね…」


「必死なだけだっつーの。それにあーでもしないと、今の俺じゃ勝てなかった」


「ふーん、頭に血が上ってるようにしか見えなかったけど、結構冷静な判断ができるのね」


「俺みたいな弱者はがむしゃらに頑張っても駄目な時は駄目だと前回の魔の森で痛い程学んだからな」


身体中が悲鳴を上げている、本当に昨日から今日にかけてめちゃくちゃ疲れた、俺はその場に大の字に倒れ込み大きく息を吐く。


「あー、まじ疲れたー。……でも、ティティスの付き合ってくれた特訓のおかげでマジで少しはマシになってきてるみたいだ…ありがとな」


「………ねぇ、何で勇者じゃなくて私に特訓を付けてくれって頼んだの?」


ティティスは俺の頭の上で屈み込み顔を覗き込んで来た。

下から見上げるとティティスは凄く真剣な表情をしている、真剣な表情をしているのだが、下から見上げるこの光景は違う意味で目に毒だった。


『ティティスはあっちの方もわがままボディーのDカップ!あ、因みに胸の話ですよー?』


脳内では空気を読まずにあの日の親友コーネリオンが飄々と喋り続けている、邪念をかぶり振るように俺はティティスから視線を逸らした。


「….ねぇ、聞いてる?」


なかなか答えない俺に対しティティスは再び真剣な表情で問いかけてきた。


「や、だから…何て言うか…勇者に特訓を付けてもらっても強くなれないような気がしたんだよ…上手く言えねーけど……その点ティティスだったら厳しいだろうけど、最後まで面倒見てくれそうだなって思ったのと、あと、参考になる事とかも教えてくれるのかなって思って」


「ふーん。…で、参考になる事とかは教えてもらえたの?」


「それはもーバッチリと、ただ口は悪いんだけどな」


「口が悪くて悪かったわね!」


ーーパシッと軽く頭を叩かれる。


「はは…でもお前ってさ?ほんっと情に熱いって言うかそう言うところあるよな?」


「……何言ってんのよ。アンタにこそ言われたくないわよ、誰が昨日知り合ったばかりの子供の為にここまでやれるのよ?」


「……あー、まぁな。………」


確かに側から見ればティティスの言う事がもっともだ、けど、昨日会ったばかりだからとかそんなの関係ないって思える程オルガは純粋な少年だった、だから許せなかったんだあんな純粋で人に優しい少年がこんな酷い目に合うのが。


「オルガはっ!?オルガどこ!?」


突然オルガを探すパスティの姿が現れた。


「あいつ…家から出るなって言ってたのに!」


起き上がろうとするが自分の身体じゃないみたいに重く、思うように動かす事ができない。


「…あー……くそ…駄目だ…」


「弱いくせに張り切り過ぎたせいよ」


無理に起き上がろうとするのをティティスに止められる、再び地面に大の字になった俺はため息を吐いた。

もう本当に限界のようだ。


「パスティちゃん落ち着いてくれ!今オルガ君は怪我を治してるところだから」


取り乱しているパスティをコーネリオンが落ち着かせに向かったようだ。

本当にアイツはこんな時に頼りになる、ここはコーネリオンに任せる事にしよう。


「怪我?怪我してるの!?大丈夫なの!?」


「大丈夫だよ。もうちょっとですぐに元気になるからね」


「本当?」


「本当さ」


コーネリオンは優しく微笑んで見せた。


「…アイツたまに凄くイケメンに見えるのって…俺だけか?」


「……あー、うん。イケメンには見えた事ないわね…残念だけど…」


ティティスに同意を求めてみたが、やんわり否定されてしまった。


「…うん。にーにがそう言うなら、信じる!」


パスティはニッコリと笑った。


「いい子のパスティちゃんには、にーにが撫で撫でしてあげるからねー?」


うん、てか、待て待て?にーにってなんだ?お兄ちゃんって意味での、にーになのかな?あの二人兄妹なのかな?そして今のコーネリオンの顔凄く気持ち悪いんだけど、なんでかな?


「一応言っておきますけど、コーネリオンは亜人担当の仕事が多いってだけで、あの二人は兄妹でもなんでもないですからね?そしてあの顔、凄く気持ち悪いですよね?」


俺が疑問を抱いているであろうと察し、フォルトゥナが説明を入れてきた。


「はぅ…にーにの撫で撫で気持ちぃ」


「ふがぁぁあ!パスティちゃん!!!もう一度、はぅって言ってみて!?ほら!にーにのお願い!もう一度、はぅって言ってみて!?」


「ふぎゅ…恥ずかしいよ」


ふぎゅって、ふぎゅは流石にやり過ぎだろパスティ…確かに美少女エルフが言うとセーフなのかも知れない、それに俺も擬音言いまくるヒロインめっちゃ大好きだったよ?恋してたよ?でもやはりゲームとか漫画とかでなく現実で、実際に擬音を使ってる子見ると狙ってる感が凄くて、あざとく感じてしまう俺がいる。


「萌えっ!パスティちゃん萌えっ!!」


そんな俺とは対照的にコーネリオンは全力で身体をくねらせながら悶えている。


「……ね?…イケメンではないでしょ?」


「…悪い、どうやら俺の目が腐ってたようだ。アイツはイケメンなんかじゃない、ただのHENTAI(変態)だった忘れてた」


ジト目でコーネリオンを見つめるフォルトゥナがブツブツと独り言のように説明を続けている。


「…コーネリオンの奴、あのエルフの少女がお気に入りで良く亜人とのコミュニケーションが大事だ!って言って、あの少女を見つける度に、自分の事にーにと呼ばしたり、そっちの方が可愛いからって変な擬音を言わせる練習させたりずっっっとしてるんです、勤務中でもですよ?気持ち悪いですよね…ほんっとキモいです…」


うん、アイツじゃん、パスティが変な擬音使ってるのってアイツの仕業じゃん。


「…確かにあのエルフの少女は凄く可愛らしいですよ?…でも、だからってあんな台詞を無理に言わせるのってどうなんですか?無理強いなら虐待に入るんじゃないんですか?そもそもコーネリオンは昔から…」


フォルトゥナさんはブツブツと独り言を永遠と繰り返してる。


「…彼女…大丈夫なの?」


「…うーん。でも、いつもの事だから…」


ティティスは苦笑いで答えた。


「パスティ!」


エリーゼの姿が見えた途端、パスティはコーネリオンの元から離れエリーゼに抱き付いた。


「お姉ちゃん!あのね?オルガ大丈夫だって!」


「…だから言ったでしょ?救世主様が居るから大丈夫だって…」


「うん!」


エリーゼは愛おしそうにパスティの頭を撫でた後に、周りの兵士達やコーネリオン達に一礼をした。


ーーグッと、エリーゼに向かい親指を立てる。

彼女は俺を信じて待っててくれた、それが嬉しくて、やってやったぜ!と勝利のメッセージを送る。

エリーゼは俺に微笑んだ後、再び丁寧に一礼をした。



結局の所、元気を取り戻したオルガは自分に暴行を加えた親達に対して何も証言しなかったらしい、つまりあの親達は罪に問われずに済んだのだ。

亜人だからとか、人間だからとか、そうゆう事じゃなくて、どちらにも良い奴も居れば、平気で人を傷付けられる奴も居るんだなと異世界に来て大事な事を学べた一日だった。

【私の糞小説を読んで下さっている親愛なる方々へ】


まー、応援してやってもいいかな?と少しでも思って頂けましたら。

広告下側にある欄【☆☆☆☆☆】の星を押してポイントを入れて応援して下さったり、ブックマークなどして頂けると本当にやる気に繋がります。

そんな事は面倒くさいからしないけど。まー、続きが投稿されたら読んでやってもいいけど?って方々も、こんな私の糞小説を応援してくださる神のような方々も今後とも宜しくお願い致します!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今回でサブシナリオは一旦終わりです、そして次回から再びメインシナリオがスタートします。

そしてお待たせしました、やっと勇者さんも登場しますよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ