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エピソード4.戦士の休息❺

ひたすら街を駆け走る、もう既に今自分が何処に居るのかも分からない、知らない道を走り回り過ぎたせいだ。


「オルガー!」


子供達を見つけると言ったが正直俺はオルガの事の方が気掛かりだった、オルガが無事だと確認できたら、その後に子供達を探す、正直自分の感情優先で救世主としては失格なのだろうが、人間なんてそんなものだ。


「オルガー!どこだー!?」


名前を叫びながらひたすら走る、走り回る、すると背後から突然聞き慣れた声が聞こえてきた。


「ちょっとアンタ、こんな所で何してんの?」


後ろを振り返ると、ティティスがきょとんとした様子で俺を見つめていた。


「…何だ、お前か…」


「ちょっと…私で悪かったわね!」


ティティスは一瞬不機嫌になったが俺の切羽詰ってる雰囲気を察したのか、すぐにシリアスな表情になり改めて質問をしてきた。


「…何かあったの?」


「…………実は…」


俺は昨日オルガと出会った事や、あの少年達との事、そして今起こっている事を出来るだけ簡潔に話をした。


「…だからその親達がオルガを見つけたら何しでかすか分からねぇって思って!」


「…ごめん、怒らないで聞いて欲しいんだけど。最後にもう一度確認させて?…そのオルガって亜人の子供が犯人の可能性は本当にないのよね?」


俺はティティスを真っ直ぐに見つめ答えた。


「あぁ!死んでもありえねぇ!」


「…分かった。アンタのその言葉を信じるわ。……しょうがないから、私も協力してあげる」


「まじで助かる」


偶然通りかかった人々がヒソヒソと何か小声で騒ぎ立てている。


「さっきの亜人の子何かやらかしたのかな?めっちゃ大人にリンチされてたけど」


「…ちょっと可哀想だったよね?」


その人達の会話が耳に入り、俺とティティスは見つめ合い頷いた。


「悪い、それってどこで見たんだ?」


ーー彼等に教えてもらった場所を目指し俺とティティスは全力で走る、しかし既に体力が尽きかけている俺と鍛えているティティスとでは当然ながらどんどん距離が離されていく。


「ちょっとイチロー!しっかり!」


「…はぁはぁ…ちっ…くしょぉぉお!!」


馬鹿みたいに腕をブンブン振ってがむしゃらに走る、側から見れば凄くダサいのだろうが、そんな事今はどうだっていい。

しかも、思えば昨日から俺ずっと身体に鞭打ってるような気がする、現代でぬるま湯なオタク生活を満喫して身体を使わなかったツケが今、回ってきているのだろう。


「………居たわよ…」


ティティスが指差す先には複数人の大人達が輪になって一人の亜人の少年を痛ぶっている光景があった。

何度も何度も殴られながらも、震えながらも、泣きながら、オイラはやってないと弁解する亜人の少年の姿は紛れもないオルガだ。


「………くっそ……野郎共がっ…………」


目の前の光景に激しい怒りが込み上げてきた。

一緒だ、コイツ等がやっている事は昨日のコイツ等の子供達とまったく一緒だ、子も子なら親も親だ。


「…あ、ちょっとイチロー!」


協力してくれると言ってくれたティティスと一緒だったらもっと上手いやり方があったのかも知れない、でも今の俺はそんな余裕が無かった。


ーー大人達を押し除け輪の中心部に入り込みオルガを庇うようにその場に立つ、そしてその場にいる大人達一人一人を睨み付けながら呟いた。


「……これ以上コイツを咎めるようならまじでお前等覚悟しとけよ?」


「…きゅ、救世主様…」


「…そこをどいて下さい!そいつにうちの子供はっ!?」


「そ、そうだ!どうせコイツが腹いせに仲間を使ってうちの子供達を誘拐したに決まってる!早く居場所を吐け!」


再びオルガに向けて罵声を放つ大人達、彼等の身勝手な言葉の数々にとうとう俺は我慢の限界に達してしまった。


「うるせぇな…そもそもお前等のガキ共が先にオルガを寄ってたかっていじめてたのが原因だろうが!ウダウダ言う暇があったら自分等のクソガキしっかりと教育しろよクソボケ共!しかも何か?子供達がやってたいじめがまだ足りないから、今度は親まで出てきて直接リンチしてたのかよ?子供相手を?くそくそくそだわ!まじでくそだわ!…言っちゃなんだけどお前等の子供がどうなろうっちゃもうどうでもいいわ。てか、お前等もどうでもいい、まじ早く消えろ」


「なっ!?」


大人達は全員絶句している、だが何で俺にここまでキレられているのかは誰一人として理解していないようだった、それがまた腹立った。


「コイツが何度も言ってたようだが全然聞こえてなかったみたいだから、敢えて俺からも最後にもう一度だけ言ってやる、いいか?良く聞けよ?…オルガはコイツはお前等の子供を誘拐なんかしてねぇ!いじめられたからって腹いせで復讐なんかしねぇ!残念だが、本当にオルガは今回の件と無関係だ。つか、ずーっと被害者だった。まー、お前等がここで馬鹿みたいに道草食ってる間に、本物の犯人にガキ共が何されてるか知ったこっちゃねーけどな!」


「ちょっと!イチロー…やり過ぎ!」


ドスの効いた声で脅しをかける俺を制止するよう目の前にティティスが飛び出してきた。


「せ、戦士様まで!?」


ティティスの登場により更に場の空気が締まった。


「…残念だけど、この子は全くの無関係よ。今頃王都中の兵が全力を持って貴方達のお子さんを探しているいるわ。……それと、さっき貴方達がやっていた行為だけど、この子も人権を持っているのだからこの子の証言一つでいつでも集団児童暴行罪として処罰される事になるから覚悟だけはしておいてね?」


「う……嘘だろ!?」


「いや…でも、俺達…その、知らなかったし…」


「勘違いだろうと、貴方達は寄ってたかって少年に暴行を働いた事実は変えられないわ。それにもう既に私達以外も証人はいるみたいだし?」


ティティスはわざとらしく周りを見渡した、この騒ぎを聞き付けた人達が大勢野次馬のように群がっている。


「………うっ!?」


明らかに自分達の立場が悪くなっている事にやっと気が付いた子供の親達は青ざめた表情でその場を一斉に立ち去り出した。

凄い、流石勇者に仕える戦士だ。

ただ単に怒りをぶつけるだけの俺とは比べものにならない説得力があった。


「……ほら、早くその子の傷の手当てをしましょう」


「あ、あぁ。悪い…」


大人達に散々殴られ、流石に亜人のオルガでも酷い有様だった。


「…きゅ……救世主…様……」


手を痙攣させながら俺を呼ぶオルガ、ギュッと手を握り締めながら俺は優しくオルガに声をかけた。


「もう大丈夫だ。…もう大丈夫だから、良く頑張ったな」


オルガのパンパンに腫れた頬に涙が伝い落ちる。


「…オイラ……約束…守ったよ……痛かったけど…オイラ…エリーゼお姉ちゃんと……約束…したから…」


俺はオルガの手を更に強く握り締め、無理矢理笑顔を作った。


「あぁ。分かってる……まじで偉かったぞ」


「…やっ…たぁ……へへ…また、褒められた…」


「もう喋るな。…家まで運んでやるから少し休んどけって」


オルガは俺の言葉に嬉しそうに微笑み頷いた。


「ティティス!探したわ!……やはり、今回の件は亜人の反逆グループが関わっていたみたい。悪いけど私達だけじゃ今回は厳しいわ、貴女の力を貸して頂戴?」


フォルトゥナがティティスを探してやって来た、どうやら行方不明になっている子供達の居場所も掴んだようだ。


「イ、イチロー様!?…あっ、その子は!?」


フォルトゥナはオルガの外傷を見て言葉を失っていた。


「ティティス悪い…俺も連れて行ってくれ」


「………分かったわ。フォルトゥナ?道案内してくれる?」


オルガは王都一の治療機関で怪我を見てもらう事になり、フォルトゥナの部下が責任を持って運んでくれるそうだ。

そして俺とティティスは、フォルトゥナの案内の元、今回の事件の犯人の居場所に向かう、正直言ってあのクソガキ共を助けるのは二の次だ、明らかに今回の犯行はオルガに罪を着せるように仕組まれた風にしか思えない、犯人は元オルガの仲間の亜人達の可能性がある、どちらにせよ、その犯人のクソ亜人共を一発殴ってやらないと気がすまなかった。

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ステージ1をクリアした後に街で起こるサブイベント2本分をまとめてたら思いのほか長くなってしまいました、次で亜人達とのサブイベントも終わりです!

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