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追放されたけど、全能力がSSSで世界の理から外れてました  作者: 南蛇井


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第92話 《崩壊都市》

王都が壊れていた。


戦争ではない。


災害でもない。


もっと根本的なもの。


“現実”そのものが崩壊していた。


空の裂け目から流れ込む黒いノイズ。


外界侵食。


それが、ついに王都全域へ到達する。


最初に消えたのは時計塔だった。


王都中央。


誰もが知る象徴。


だが。


次の瞬間。


塔が“なくなった”。


崩れたわけじゃない。


爆発したわけでもない。


存在そのものが消失。


空間だけが不自然に空白化する。


民衆が絶叫した。


「塔が……!」


「消えた!?」


だが異常は終わらない。


空が変質する。


東側は昼。


西側は夜。


太陽と月が同時に浮かんでいた。


昼夜同時化。


空間法則崩壊。


さらに。


避難中の兵士たちが混乱する。


「出口がない!?」


一本道。


真っ直ぐ進んでいるはずなのに。


同じ広場へ戻る。


また戻る。


また戻る。


道がループしていた。


空間そのものが閉じている。


別区画ではさらに酷かった。


建物同士が圧縮される。


家屋が折り畳まれ。


距離が潰れ。


巨大建築が掌サイズへ圧縮されていく。


ギギギギ……


世界が悲鳴を上げていた。


王都全域パニック。


だが。


その中心で。


セリスは立っていた。


セリス


「北区画の避難を優先!」


「汚染区域を封鎖して!」


王女として。


国を守る者として。


恐怖を押し殺し、指揮を続ける。


顔色は青い。


それでも立ち続ける。


アイリスが前線を駆ける。


アイリス


剣閃。


外界汚染体を斬り飛ばす。


「東通路を確保した!」


「避難を急げ!!」


兵士たちが続く。


彼女の存在だけで戦線が維持されていた。


さらに。


レグルスが民衆を先導する。


レグルス


「走れ!」


「振り返るな!!」


勇者剣の光が汚染を押し返す。


絶望の中でも。


まだ人類は戦っていた。


だが。


世界崩壊は止まらない。


王都中央。


空間そのものが裂ける。


巨大な黒い亀裂。


その周囲へ近づいた兵士が、突然消えた。


存在削除。


悲鳴すら残らない。


誰も近づけない。


その時だった。


カインが歩き出す。


カイン


普通に。


いつもの調子で。


そして。


彼が通った瞬間。


空間が安定した。


ノイズが止まる。


歪みが消える。


ループしていた道が正常化。


圧縮された建物が戻る。


昼夜が分離。


周囲が凍りつく。


「……は?」


兵士が呆然と呟く。


あり得ない。


世界崩壊現象。


神々すら干渉不能。


なのに。


カインが歩いただけで。


現実が正常化していく。


ルナが震える声を漏らす。


ルナ


「存在安定化……?」


「いや違う……」


「世界そのものが、カイン基準で再構成されてる……!?」


つまり。


カインの近くでは。


“この世界”が正常を思い出す。


ゼノが苦笑する。


ゼノ


「お前もう世界修復装置だろ」


カインは首を傾げた。


「そうなのか?」


本人だけが通常運転だった。


その瞬間。


王都全体へ異変が走る。


空。


裂け目。


その奥。


黒いノイズが収束する。


そして。


“それ”が現れた。


巨大な眼。


空を埋め尽くすほどの巨大存在。


瞳だけ。


ただ。


こちらを見ている。


世界中が凍りつく。


誰も呼吸できない。


その視線が。


ゆっくりと。


カインへ向けられた。

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