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追放されたけど、全能力がSSSで世界の理から外れてました  作者: 南蛇井


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第91話 《唯一耐性》

外界存在。


それは世界そのものを狂わせる災厄だった。


見れば壊れる。


理解すれば侵食される。


神々ですら解析不能。


存在定義そのものが成立しない。


だが。


その怪物は今。


ただ一人を見ていた。


カイン


王都上空。


黒いノイズが渦巻く。


裂け目はさらに拡大していた。


空間が軋む。


世界法則が悲鳴を上げる。


普通の人間なら近づくだけで汚染される。


神ですら安全距離を保っている。


なのに。


カインだけは普通だった。


「……なんか呼ばれてる気がするな」


軽い。


緊張感がない。


だが。


周囲は笑えなかった。


アストラが叫ぶ。


アストラ


「近づいてはいけません!」


「外界汚染は存在情報そのものを侵します!」


「あなたでも――」


カインは振り返る。


「いや、でも」


「別に何も起きてないぞ?」


事実だった。


カインの身体には一切異常がない。


ノイズ化も。


記憶汚染も。


存在崩壊も。


ゼロ。


むしろ。


彼の周囲だけ、空間が安定している。


黒い侵食が近づけない。


ルナが震える声で呟く。


ルナ


「……適応してる」


「外界情報を拒絶してない」


「共鳴してる……?」


AL-0が演算結果を投影する。


AL-0


無数のデータ。


侵食率。


汚染度。


存在崩壊係数。


全部。


カインだけゼロ。


『解析結果』


『観測外存在KAIN』


『外界汚染完全耐性を確認』


空気が凍る。


完全耐性。


つまり。


世界で唯一。


外界へ耐えられる存在。


理由は一つ。


外世界因子。


PROJECT:KAIN。


世界修復存在。


外側の情報を内包しているからこそ。


侵食されない。


いや。


最初から“外界寄り”だった。


ゼノが苦笑する。


ゼノ


「本当に人間辞めてんな」


レグルスも顔を引きつらせる。


レグルス


「ここまで来ると、逆に安心するな……」


その時。


裂け目から黒いノイズが溢れた。


周囲の神々が即座に後退する。


神ですら接触不能。


アストラの白銀結界が、触れた瞬間に崩壊する。


「ッ……!」


神々が青ざめる。


存在干渉そのものが通用しない。


世界法則外。


だから。


神々は近づけない。


さらに。


空間上部。


観測者の“目”が現れる。


観測者


巨大な視線。


世界そのものを見下ろす超越存在。


だが。


異変が起きた。


観測者の視線が、裂け目付近で乱れる。


《干渉制限》


《外界侵食領域拡大》


《観測精度低下》


観測者ですら。


外界へ完全干渉できない。


外側同士の領域干渉。


理解不能な現象。


そして。


その中心へ。


カインだけが普通に歩いていく。


誰も止められない。


止めても意味がない。


彼だけが行ける。


裂け目直前。


黒いノイズが渦巻く。


普通なら存在崩壊。


だが。


カインが一歩踏み込んだ瞬間。


ノイズが避けた。


まるで。


受け入れるように。


周囲が沈黙する。


セリスが息を呑む。


セリス


「……嘘」


世界が拒絶する領域。


そこへ。


カインだけが立っていた。


完全な唯一。


代替不能。


世界でただ一人。


“適合者”。


その時。


観測者の声が響く。


『接触成功率上昇』


空気が凍った。

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