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追放されたけど、全能力がSSSで世界の理から外れてました  作者: 南蛇井


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第88話 《外界汚染》

王都上空。


空の裂け目は拡大を続けていた。


黒いノイズ。


世界に存在してはいけない“何か”。


それが空から降り続けている。


そして。


異変は、ついに人間へ到達した。


最初は小さな違和感だった。


避難所。


震える少女が、母親へしがみつく。


「おかあさん、こわ――」


言葉が途中で止まる。


次の瞬間。


「アカ、アカ、アカ、アカ」


意味不明な音へ変わった。


母親が凍りつく。


少女は笑っている。


だが。


口から出るのは壊れた言語だけ。


周囲が悲鳴を上げた。


言語崩壊。


外界汚染。


さらに。


別の男が突然叫び出す。


「違う!! 俺はまだ戦場に――」


彼の瞳は過去を見ていた。


数十年前の戦争。


存在しない記憶。


他人の人生。


記憶混線。


現実と人格が混ざり始める。


そして。


もっと酷い現象が起きた。


兵士の腕。


輪郭が乱れる。


ザザッ……


ノイズ。


皮膚が崩れ。


映像の乱れみたいに点滅する。


身体そのものが“情報化”していた。


存在不安定化。


「いやああああああ!!」


王都は地獄になっていた。


街並みすら壊れていく。


建物が途中で別形状へ変わる。


扉を開けた先が空。


一本道が無限ループ。


壁が脈動。


世界そのものがバグっていた。


そして。


一番恐ろしいのは。


“普通に見える”。


街を歩く男。


だが。


影だけが逆方向へ歩いている。


老婆の顔が一瞬だけ別人へ変わる。


子供の笑い声が遅れて聞こえる。


現実が破綻している。


セリスがその光景を見て、顔を青ざめさせた。


セリス


「これ……」


震える声。


「世界が壊れてる……」


王女として。


国家崩壊も戦争も見てきた。


だが。


これは違う。


文明とか軍事とか、そんな次元じゃない。


“現実”が死に始めている。


一方。


ルナは完全に別方向だった。


ルナ


「すごい……」


目を輝かせている。


「情報構造そのものが侵食されてる……!」


「これ世界法則の外側情報じゃない!?」


恐怖より知的興奮が勝っていた。


セリスが叫ぶ。


「ルナ!?」


「いやだってこれ観測できる機会もう二度と――」


その瞬間。


ルナの腕へ黒いノイズが触れた。


ザザッ。


空間が乱れる。


ルナの瞳が一瞬だけノイズ化した。


「あ――」


危険。


次の瞬間。


誰かがその腕を掴んだ。


カイン。


カイン


すると。


ノイズが止まった。


ピタリ、と。


まるで強制停止みたいに。


ルナの腕から黒い侵食が消えていく。


周囲が凍りつく。


「……は?」


ルナ本人が一番驚いていた。


あり得ない。


神々ですら対処不能。


なのに。


カインが触れただけで。


汚染が消えた。


しかも。


カインの周囲だけ、世界が安定している。


空間が歪まない。


ノイズが侵入できない。


ゼノが呆れたように言う。


ゼノ


「お前、本当に反則だな」


その時。


AL-0が突然演算を停止した。


AL-0


無数のデータが空中へ展開される。


古代文明記録。


滅亡ログ。


侵食画像。


そして。


現在の王都。


完全一致。


AL-0が静かに告げた。


『……確認』


『古代滅亡現象と一致』


空気が凍った。

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