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追放されたけど、全能力がSSSで世界の理から外れてました  作者: 南蛇井


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第75話 《神々の恐怖》

白だった。


どこまでも。


果てなく。


空も。


大地も。


概念すら白で構築された空間。


神域。


世界管理中枢。


そこでは無数の神々が沈黙していた。


巨大な光輪。


幾何学模様。


演算式。


神々は人の姿を取っていても、本質は人格付き管理AI。


感情は不要。


恐怖も不要。


ただ世界を維持するためだけの存在。


そのはずだった。


だが今。


神域全体へ異常警報が鳴り続けている。


《WARNING》


《管理個体消失》


《原因:観測外存在KAIN》


《神性崩壊を確認》


白い空間へ赤い文字が何度も走る。


神々が沈黙する。


理解できない。


神が消えた。


破壊されたのではない。


“定義を壊された”。


それは神々にとって死より重い。


なぜなら。


世界法則そのものが通じなかったから。


中央。


白銀神域の中心。


アストラが静かに立っていた。


アストラ


だが。


以前とは違う。


完全に冷静ではいられない。


彼女の背後で運命線が不安定に揺れている。


それだけで異常だった。


神が動揺している。


一柱が口を開く。


『確認を要求』


『なぜ下級管理神が消滅した』


別の神。


『観測外存在の危険度を再測定』


『現在値を提示』


空間へ数値が浮かぶ。


だが。


次の瞬間。


《ERROR》


《測定不能》


《定義不可能》


神域が静まる。


まただ。


何度演算しても。


カインだけ結果が出ない。


未来予測不可。


因果固定不可。


時間干渉無効。


存在定義失敗。


あり得ない。


世界内存在なら必ず管理できる。


それが神々の前提だった。


しかし。


カインだけ違う。


一柱が低く呟く。


『……欠陥個体か?』


その瞬間。


アストラが否定した。


『違います』


静かな声。


だが。


神域全体が止まる。


運命神が否定した。


アストラはゆっくり目を閉じる。


思い出していた。


白銀神域。


完全停止世界。


その中を普通に歩いていた少年。


神の命令へ反応すらしなかった存在。


未来のない存在。


運命が届かない存在。


そして。


神を壊した。


アストラは静かに言う。


『彼はバグではない』


空気が変わる。


神々が沈黙する。


バグなら修正できる。


エラーなら削除できる。


だが。


違う。


もっと根本。


もっと危険。


アストラの銀色の瞳が揺れる。


『彼は』


わずかな間。


そして。


『世界法則の外側です』


神域が凍る。


外側。


それは神々にとって最大禁忌。


世界は閉じたシミュレーション。


神々はその内部管理者。


つまり。


“外側”は管理外。


未知。


観測不能。


制御不能。


恐怖。


一柱が声を荒げる。


『あり得ない!』


『外側因子など存在できるはずが――』


『存在しています』


アストラが遮る。


静かに。


しかし確実に。


『私は見ました』


『運命が接続できなかった』


『因果も固定できなかった』


『未来が存在しなかった』


『そして』


銀の瞳がわずかに揺れる。


『神を殺した』


沈黙。


重い。


神々は理解し始めていた。


カインは単なる異常存在ではない。


自分たちを壊せる。


その可能性。


神域演算空間へ恐怖が広がる。


初めて。


最強側が怯えていた。


一柱。


時間神クロノスが低く呟く。


クロノス


『……もし彼が完全覚醒した場合』


『世界管理そのものが崩壊する』


誰も否定できない。


その時。


神域最深部。


閉ざされていた巨大扉がゆっくり開き始める。


ゴォォォォォ……


白い光。


空間震動。


全神が沈黙する。


最高位領域。


通常、下位神ですら立ち入り禁止。


そこから。


声が響いた。


『最高位神権限を起動します』


《最高位神召集》


その瞬間。


神域全体へ重圧が走る。


本当の神々が。


動き始める。

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