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追放されたけど、全能力がSSSで世界の理から外れてました  作者: 南蛇井


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第62話 《世界修正》

王都上空。


空が裂けていた。


白い亀裂。


そこから降り立つ観測執行体ネメシス。


数百万の王都市民が恐怖で空を見上げている。


逃げる者。


泣く者。


祈る者。


だが。


神は救わない。


ネメシスは感情なく王都を見下ろした。


『観測外存在確認』


『周辺世界汚染率増大』


『修正プロセス開始』


その瞬間。


世界が軋んだ。


――ブツン。


何かが切れる音。


次の瞬間。


王都東部地区が消えた。


爆発ではない。


崩壊でもない。


“最初から存在していなかった”みたいに。


地形そのものが消滅。


建物。


道路。


広場。


全部。


白い空白へ変わる。


王都民が絶叫する。


「東区が!!」


「消えたァァァ!!」


遠くで巨大な地盤崩壊。


王都結界が悲鳴を上げる。


セリスが青ざめる。


「こんなの……」


「戦争じゃない……!」


違う。


これは。


現実そのものへの攻撃。


ネメシスの背後。


幾何学リングが回転する。


『修正範囲拡大』


『因果整合開始』


その瞬間。


さらに異変。


一人の兵士が突然立ち止まる。


「……あれ?」


周囲の仲間が振り向く。


「どうした?」


兵士は混乱していた。


「俺……」


「何してたんだっけ」


違和感。


記憶が抜けている。


しかも。


周囲も気づき始める。


「待て」


「第三騎士団長はどこだ?」


沈黙。


誰も答えられない。


いるはず。


さっきまでいた。


なのに。


顔が思い出せない。


名前も。


存在も。


AL-0が即座に警告する。


『記憶改変確認』


『世界修正による情報再構築発生』


世界が。


“不要情報”を整理し始めていた。


ルナの顔色が変わる。


「存在ごと消してる……!」


「人間だけじゃない!」


実際。


さらに異常は続く。


神殿。


歴史書。


肖像画。


文字情報。


全部。


修正され始めていた。


存在を削除された人物の記録が、世界から消えていく。


まるで最初からいなかったみたいに。


セリスが震える。


「こんなの……」


「誰も抵抗できない……」


その時。


王都中央区。


人々の悲鳴。


空間が歪む。


そして。


一人の少女が白い粒子へ崩れ始めた。


「え……?」


存在削除。


母親が叫ぶ。


「やめて!!」


だが。


止まらない。


少女の輪郭が消える。


世界が彼女を“不要”と判断した。


絶望。


その瞬間。


カインが前へ出る。


「……やめろ」


静かな声。


ネメシスの視線が向く。


『観測外存在』


『干渉確認』


カインは少女へ手を伸ばした。


次の瞬間。


バチィィィィン!!


世界修正停止。


少女の崩壊が止まる。


白い粒子が逆流。


存在情報復元。


少女が地面へ倒れ込む。


周囲絶句。


AL-0が初めて驚愕を見せた。


『……世界修正を打ち消した?』


あり得ない。


世界法則そのものへの干渉。


普通なら不可能。


だが。


カインは困った顔をしていた。


「いや……なんか、消えそうだったから」


理屈ゼロ。


でも。


止まった。


ネメシスの瞳がわずかに揺れる。


初めて。


演算誤差。


『理解不能』


『観測外挙動確認』


その時。


さらに神々側が動く。


空全体へ巨大な白い紋様。


世界規模修正。


王都上空が軋む。


大地が揺れる。


海が裂ける。


山脈が崩れる。


世界そのものが書き換わり始めていた。


まさに。


世界法則戦争。


そして。


その中心。


カインだけが。


何一つ変わっていなかった。


地形改変。


記憶改変。


存在削除。


全部。


彼だけ通用しない。


ネメシスが静かに告げる。


『異常』


『観測外存在』


『世界修正適用不可』

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