表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放されたけど、全能力がSSSで世界の理から外れてました  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
54/130

第54話 《世界の外》

創世層。


中央管理領域。


空に浮かぶ巨大な“目”。


観測者。


神々。


その視線が、カインを捉えていた。


時間停止領域。


世界そのものが固定されている。


遠征隊は動けない。


声も出ない。


ただ。


カインだけが立っていた。


静寂。


重い。


その時。


創世ログ演算核が再び反応した。


ピコン。


白い光。


AL-0が即座に告げる。


『追加ログ検出』


『最終記録を再生します』


空間中央。


再び映像が浮かぶ。


白。


あの研究施設。


だが今度は違う。


空気が張り詰めていた。


警報。


赤い光。


研究員たちが慌ただしく動いている。


何かが起きている。


そして。


一人。


白衣の人物が映った。


他の研究員とは違う。


年齢も性別も曖昧。


顔にノイズがかかっている。


まるで。


意図的に隠されているみたいだった。


人物は静かに話し始める。


『記録番号……最終報告』


声は穏やかだった。


だが。


疲れていた。


長い時間、何かと戦ってきたような声。


『管理AI群は結論を出した』


『観測外因子の削除』


空間が静まる。


誰も言葉を挟めない。


白衣の人物は続ける。


『だが……彼は失敗ではない』


その瞬間。


カインを見るように。


映像内の人物がこちらへ視線を向けた。


あり得ない。


記録映像のはずなのに。


まるで。


今のカインを見ている。


ルナが息を呑む。


「……え」


人物は静かに言った。


『我々は間違えた』


『世界は管理では完成しない』


『観測だけでは進化しない』


研究施設の奥。


巨大な装置。


その中央。


黒いノイズ。


人型の何か。


記録が乱れていて詳細は見えない。


だが。


遠征隊全員が理解してしまう。


あれは。


カインだ。


『彼は――』


ノイズ。


映像が乱れる。


音声が崩壊。


白衣の人物はなお話す。


『もし彼が目覚めたなら――』


バチッ!!


激しいノイズ。


空間歪曲。


観測者の巨大な目が反応した。


空から白い光。


ログへ干渉。


AL-0が警告する。


『外部遮断介入確認!』


『管理AI群による記録封鎖!』


映像が崩れる。


それでも。


最後に。


白衣の人物は何かを言った。


だが。


聞こえない。


ノイズ。


完全遮断。


そして。


映像終了。


静寂。


あまりにも突然だった。


誰もすぐには動けない。


セリスが呆然と呟く。


「……何だったの……」


ルナは顔色を失っていた。


「目覚める……?」


「何が……?」


ヴァレリアも珍しく真顔だった。


「冗談きついぜ……」


グラディオは信仰も現実も崩れた顔で立ち尽くしている。


リィナは小さくカインを見る。


ゼノは空を見上げたまま。


何も言わない。


ただ。


その沈黙が重かった。


カインとは何か。


人間か。


観測外存在か。


創世文明の何かなのか。


答えはない。


あるのは。


深まる謎だけ。


その時。


空の巨大な目が、再び光る。


『記録封鎖完了』


『対象KAIN再観測』


絶対的な声。


冷たい。


感情がない。


その瞬間だった。


カインの胸が。


初めて。


痛んだ。


怖い。


今まで感じたことのない感覚。


追放された時も。


魔王と戦った時も。


神々に狙われた時も。


こんな感情はなかった。


だが。


今だけは違う。


自分自身が。


分からない。


カインはゆっくり拳を握る。


震えていた。


誰にも見えないくらい。


小さく。


そして。


彼は初めて。


弱い声で呟いた。


「……俺」


視線が落ちる。


自分の手。


この身体。


この力。


本当に。


自分は。


人間なのか。


「……俺、本当に人間なのか?」


誰も答えられなかった。


空には。


神の目。


世界は。


静かに揺れている。


そして。


創世層全域へ、最後の警報が響いた。


――《世界修正プロセス起動》


第四章《神代迷宮編》――完。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ