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追放されたけど、全能力がSSSで世界の理から外れてました  作者: 南蛇井


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第50話 《外側の力》

最深部前戦域。


迷宮空間そのものが変質していた。


黒い闘技場。


空間断裂。


重力崩壊。


世界法則が悲鳴を上げている。


原因は一つ。


魔王ゼノ。


その存在圧だけで、迷宮構造が歪んでいた。


遠征隊は後退を強いられる。


近づけない。


ただ立っているだけで死ぬ。


そんな領域。


その中央。


カインとゼノが向かい合っていた。


静寂。


ゼノが口を開く。


「安心しろ」


「殺しはしない」


カインは困った顔をする。


「いや普通に怖いんですけど」


当然だった。


相手は魔王。


世界最強格。


だが。


ゼノは少し笑う。


「お前が怖がると違和感しかないな」


その瞬間。


消えた。


ゼノの姿が。


次の瞬間。


轟音。


――ドゴォォォォォォン!!


空間爆裂。


ゼノの拳がカインへ到達する。


いや。


到達するはずだった。


カインは普通に立っている。


直撃。


したはず。


なのに。


無傷。


周囲だけが吹き飛んでいた。


ヴァレリアが絶句する。


「おいおい……」


アイリスの目が細まる。


「今のは……」


避けていない。


防御もしていない。


“成立していない”。


ゼノも理解していた。


だから笑う。


「面白い」


次の瞬間。


黒い魔法陣が空を埋めた。


神話魔法。


数百。


数千。


現代魔法とは格が違う。


世界そのものを書き換える術式。


ゼノが腕を振る。


「崩れろ」


発動。


空間断裂。


重力崩壊。


黒雷。


次元圧縮。


全部同時。


迷宮空間が砕け始める。


遠征隊が悲鳴を上げた。


「うわぁぁ!?」


「空間が!!」


ルナは半狂乱。


「神話魔法の多重展開とか意味わかんない!!」


普通なら世界が滅ぶ。


だが。


中心。


カインだけ普通だった。


「うわっ」


重力断裂を踏む。


でも落ちない。


空間崩壊へ触れる。


何も起きない。


黒雷直撃。


少し眩しいだけ。


カイン本人が一番困っていた。


「どうなってるんだこれ……」


ゼノの目が細まる。


確信。


そして。


彼はさらに出力を上げた。


ドォォォォォォォン!!


魔力爆発。


黒い太陽が空へ浮かぶ。


神話級超越魔法。


《虚界崩星》。


周囲空間が消滅し始める。


迷宮警告音。


――WARNING.


――世界構造損壊率上昇。


AL-0が珍しく焦っていた。


『出力超過』


『迷宮維持限界接近』


ゼノが魔法を落とす。


黒い太陽降下。


絶対破壊。


その時。


カインが反射的に手を伸ばした。


「危ない」


軽く。


本当に軽く。


触れた。


――パキン。


黒い太陽停止。


静止。


そして。


消えた。


完全消滅。


無音。


世界凍結。


ヴァレリアの顔が引きつる。


「……今」


「触って消した?」


ルナは頭を抱える。


「概念破壊まで無効化してる!!」


アイリスですら沈黙。


ゼノだけが静かだった。


彼はカインを見つめる。


長く。


深く。


そして。


小さく呟いた。


「やはり……」


空気が震える。


魔王の赤い瞳。


そこに宿るのは敵意じゃない。


理解。


諦め。


確信。


「お前は“こちら側”ではない」


カインが首を傾げる。


「え?」


ゼノは笑った。


苦笑に近い。


「届かんわけだ」


その瞬間。


魔力消失。


闘技場崩壊停止。


空間修復。


ゼノが戦闘態勢を解いた。


遠征隊全員が息を呑む。


魔王が。


戦闘をやめた。


ゼノは背を向ける。


そして最後に。


静かに言った。


「先へ進め」


「お前なら、辿り着ける」


その言葉だけ残し。


魔王ゼノは空間の裂け目へ消えていった。

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