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追放されたけど、全能力がSSSで世界の理から外れてました  作者: 南蛇井


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第49話 《魔王》

創世迷宮アーカディア。


最深部直前領域。


空気が変わっていた。


重い。


静かすぎる。


まるで世界そのものが息を潜めている。


最深部への道。


白金の回廊。


遠征隊は慎重に進んでいた。


誰も口数が少ない。


精神試験で消耗しきっていた。


その時だった。


――ミシッ。


空間に亀裂が走る。


全員が止まる。


次の瞬間。


バキィィィィン!!


空間そのものが裂けた。


「なっ――!?」


裂断。


目の前に黒い亀裂。


そこから。


“何か”が現れる。


圧。


存在圧。


ただ立っているだけで空気が沈む。


兵士たちが膝をつく。


「ぐ……っ!」


「息が……!」


S級冒険者すら顔色を変える。


本能が叫んでいた。


勝てない。


絶対に。


亀裂の中から現れたのは、一人の男。


黒衣。


長い黒髪。


赤い瞳。


人型。


だが人ではない。


背後。


空間が歪んでいる。


世界に拒絶されているみたいだった。


魔族側が凍りつく。


リィナが小さく呟く。


「……ゼノ様」


その名が空気を変えた。


魔王。


ゼノ。


世界最強種族《魔族》の頂点。


現存最悪の存在。


その本人。


グラディオが剣を抜く。


「魔王……!」


神聖魔力展開。


だが。


ゼノは視線すら向けない。


興味がない。


その代わり。


彼はゆっくり前を見る。


カイン。


視線が合う。


その瞬間。


初めて。


魔王ゼノの表情が揺れた。


「……ほう」


低い声。


だが。


そこには明確な動揺があった。


ゼノはカインを見つめる。


まるで。


あり得ないものを見るように。


「なるほど」


「神々が騒ぐわけだ」


静寂。


誰も動けない。


ゼノはゆっくり笑った。


だが。


その笑みに敵意はない。


むしろ。


確信。


確認。


そんな感情だった。


「お前」


「……外を知っているのか」


空気凍結。


セリスの顔色が変わる。


AL-0も沈黙。


ルナは震えていた。


また。


“外”。


同じ言葉。


リィナも言った。


神々も反応した。


そして今。


魔王までも。


カイン本人だけが困惑していた。


「外?」


「えっと……外って?」


ゼノは少し黙る。


そして。


小さく笑った。


「知らんか」


「ならまだ途中だな」


意味深すぎる。


グラディオが怒声を上げる。


「何を企んでいる魔王!!」


その瞬間。


ゼノの魔力が僅かに漏れた。


――ズン。


空間沈下。


グラディオが膝をつく。


聖騎士団も崩れる。


圧倒的格差。


ゼノは冷たく言う。


「黙れ」


「神の犬」


空気が凍った。


明確な敵意。


神々への憎悪。


それが滲んでいた。


ヴァレリアすら汗を流す。


「……化け物しかいねぇなここ」


ゼノはゆっくり歩く。


カインの前へ。


近い。


だが。


カインは不思議と恐怖を感じなかった。


ゼノは静かに言う。


「確認したい」


「お前が何者か」


その瞬間。


空間が裂ける。


黒い闘技場形成。


迷宮そのものが震える。


魔王の魔力だけで。


世界が変形していた。


遠征隊全員息を呑む。


そして。


ゼノは静かに告げた。


「戦え」


「システム外存在」


静寂。


魔王の赤い瞳が細まる。


「――決闘だ」

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