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追放されたけど、全能力がSSSで世界の理から外れてました  作者: 南蛇井


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第47話 《魔族少女リィナ》

第三層《神話荒野》。


神話魔獣群消滅後。


遠征隊は辛うじて立て直しを進めていた。


負傷者搬送。


結界再構築。


各国部隊再編。


だが。


空気は重い。


理由は一つ。


全員見てしまったからだ。


カインが。


地平線ごと消し飛ばした瞬間を。


「……意味わからん」


S級冒険者が頭を抱える。


「なんであれで生き物扱いなんだよ」


「災害だろもう」


その少し離れた場所。


カイン本人は普通に座っていた。


「すみません……」


めちゃくちゃ反省している。


セリスが苦笑した。


「……もう慣れました」


慣れたくない。


アイリスも額を押さえる。


「お前は加減を覚えろ」


「努力します……」


なお本人に自覚はない。


その時。


カインの服が引っ張られた。


「?」


振り向く。


そこにいたのは。


小柄な少女。


黒髪。


赤い瞳。


頭の横から小さな角が伸びている。


魔族。


魔族代表団所属。


リィナだった。


周囲がざわつく。


「魔族……?」


「なんで近づいて……」


普通あり得ない。


魔族は他種族と距離を取る。


警戒心が強い。


特に人族相手には。


だが。


リィナはカインの前にしゃがみ込むと。


じーっと見上げた。


無言。


カイン困る。


「えっと……?」


さらに近づく。


くんくん。


匂いを嗅いだ。


セリスたちが固まる。


アイリスが眉をひそめる。


「何をしている」


リィナは真顔だった。


「確認」


「……何を?」


少女は小さく呟く。


「違う匂いする」


空気が少し変わる。


ヴァレリアが面白そうに笑った。


「お、懐かれてんじゃねぇか」


「いや犬じゃないんだから」


その瞬間。


リィナが即反応した。


「犬じゃない」


「ご、ごめん」


なぜかカインが謝る。


リィナはそのまま隣へ座った。


完全に自然。


魔族側がざわつく。


「リィナ様!?」


「不用意です!」


護衛魔族たちが焦る。


だが。


リィナは無視した。


ただ静かにカインを見る。


不思議そうに。


まるで。


“同類”を見るみたいに。


ルナが興味津々だった。


「ねぇねぇ!」


「なんでカインに懐いてるの!?」


リィナは少し考えた。


そして。


「安心するから」


全員沈黙。


カイン本人が一番困惑している。


「いや初対面だよな?」


「うん」


「じゃあなんで?」


リィナは答える。


「外側だから」


空気が凍る。


セリスの表情が変わった。


AL-0も僅かに反応する。


アイリスが低く問う。


「……どういう意味だ」


リィナは遠くを見る。


荒野の空。


赤い世界。


そして静かに言った。


「魔族は昔、“逃げた”」


「世界から」


誰も言葉を挟めない。


彼女の声は小さい。


だが重かった。


「昔、世界が何回も壊された」


「消された」


「修正された」


ルナの顔色が変わる。


世界修正。


観測者。


神々。


繋がった。


「だから魔族は、“外れた場所”へ逃げた」


「完全には消されないように」


リィナはそこでカインを見る。


真っ直ぐ。


赤い瞳で。


「だから分かる」


「あなた、世界の中の匂いしない」


静寂。


風が吹く。


神話荒野の空が軋む。


そして。


リィナは小さく笑った。


「あなた、“外の匂い”する」

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