表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放されたけど、全能力がSSSで世界の理から外れてました  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
34/130

第34話 《学園戦争》

王立魔導学園。


その均衡が崩れたのは、ある一枚の紙からだった。


《カイン排斥要求書》


翌朝。


学園中が騒然となった。


「ついに動いたか……」


「貴族派だ」


「反カイン派が本格化してる」


廊下。


食堂。


訓練場。


至る所で議論が起きていた。


原因は明白。


ここ最近の“魔法革命”。


属性理論崩壊。


階級制度動揺。


生徒間格差消失。


それは一部の貴族層にとって悪夢だった。


積み上げた優位性が消える。


血統の価値が揺らぐ。


だから彼らは恐れた。


そして。


恐怖は敵意へ変わる。


その日の昼。


中央広場。


数十人の貴族生徒が集結していた。


全員、上級装備。


高級術式。


完全武装。


中心に立つのは、三年主席候補の一人。


アルノルト・バルディア。


典型的エリート貴族だった。


「諸君!」


彼が声を張り上げる。


「この学園は今、異常存在によって侵されている!」


周囲が沸く。


「そうだ!」


「秩序を守れ!」


「観測外を排除しろ!」


かなり危険な空気だった。


一方。


その頃カインは普通にパンを買っていた。


平和。


パン屋のおばちゃんが困った顔をする。


「また騒がしくなってるねぇ」


「ですねぇ」


他人事みたいだった。


そこへ。


ドゴォン!!


遠くで爆発音。


カインが振り向く。


広場方向から煙が上がっている。


嫌な予感しかしない。


数分後。


中央広場。


完全に戦場だった。


貴族派。


反対派。


中立派。


生徒同士で魔法戦が始まっている。


教師たちも制御不能。


「やめろ!!」


「結界維持しろ!」


「校舎に飛ばすな!!」


大混乱。


そして。


その中心に。


カインが来てしまった。


空気が止まる。


全員の視線集中。


アルノルトが指を突きつけた。


「来たか……!」


「諸悪の根源!!」


カイン困惑。


「えぇ……」


理不尽。


だが。


貴族派の怒りは本物だった。


「お前のせいで!」


「学園は滅茶苦茶だ!」


「魔法体系まで壊れた!」


「責任を取れ!」


いや実際かなり壊れている。


カインも否定しづらい。


その時。


アルノルトが剣を抜いた。


「決闘を要求する!!」


周囲がどよめく。


しかも。


一人じゃない。


次々と武器が抜かれる。


十人。


二十人。


完全に集団リンチだった。


セリスが顔をしかめる。


「馬鹿ですかあいつら」


アイリスも呆れていた。


「勝てると思っているのか……?」


だが。


貴族生徒たちは本気だった。


彼らは知らない。


いや。


理解できていない。


“差”を。


アルノルトが叫ぶ。


「全員で行けぇぇぇ!!」


魔法陣展開。


炎。


雷。


氷。


風。


数十もの上級魔法が一斉発動。


学園広場が光で埋まる。


観客悲鳴。


教師絶叫。


だが。


次の瞬間。


――バチィッ。


世界が揺れた。


魔法が消えた。


全部。


空中で。


「……は?」


誰かが呟く。


術式が維持できない。


カイン周囲数十メートル。


魔法式が片っ端から崩壊していく。


さらに。


突撃した前衛組。


強化術式消失。


身体制御崩壊。


「うわぁっ!?」


「ぎゃっ!?」


次々転倒。


自爆。


激突。


地獄絵図だった。


カイン本人が一番慌てている。


「危ないからやめてください!?」


その声と同時。


衝撃波。


ドォォォォン!!


突風だけで貴族生徒たちが吹き飛んだ。


校舎壁へ激突。


広場沈黙。


誰も近づけない。


いや。


“成立しない”。


カインの周囲では。


戦闘という概念そのものが壊れていた。


ルナが完全に目を輝かせる。


「うわぁ……」


「局所法則上書きだぁ……」


教師たちは青ざめる。


「結界が保たん!」


「術式基盤が乱れる!」


広場全体の魔法構造まで影響を受け始めていた。


その時。


一人だけ前へ出る者がいた。


レオン・アルヴェルト。


生徒会長。


銀髪が揺れる。


周囲が息を呑む。


「会長……!」


レオンは静かだった。


合理主義者。


だからこそ分かる。


このままでは学園が壊れる。


なら。


自分が止めるしかない。


彼は剣を抜いた。


瞬間。


空気が変わる。


超高密度魔力。


学園最強クラス。


本気。


「カイン」


静かな声。


「これ以上は危険だ」


「だから――」


レオンの身体が消えた。


超高速。


一瞬で間合いへ。


完璧な斬撃。


誰も反応できない。


だが。


カインだけは困った顔をした。


「危ないですよ」


次の瞬間。


――バチン。


レオンの剣が止まる。


カインの指二本。


それだけで。


学園最強の剣が完全停止していた。


静寂。


レオンの目が見開かれる。


あり得ない。


魔力強化。


加速。


剣圧。


全部乗せた一撃。


それを。


無造作に止められた。


しかも。


術式崩壊が始まる。


ミシミシと。


レオンの剣へ刻まれた魔法式が消えていく。


彼は即座に後退した。


だが。


遅い。


剣が砕けた。


パキィン。


乾いた音。


学園最強。


生徒会長。


完全敗北。


しかも。


たった一撃。


広場が沈黙する。


誰も喋れない。


レオンだけが、カインを見ていた。


理解してしまったから。


これは。


努力で届く相手ではない。


世界そのものが違う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ