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追放されたけど、全能力がSSSで世界の理から外れてました  作者: 南蛇井


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第24話 《聖女》

王都中央。


《大聖堂ルミナス》。


王国最大宗教機関。


白亜の尖塔は空へ届くように伸び、内部には巨大な神代術式が刻まれている。


そこは“神々に最も近い場所”だった。


そして今。


大聖堂最深部、《神託の間》。


空気は異様な緊張に包まれていた。


大神官たち。


高位神官。


聖騎士。


全員が跪いている。


その中央。


一人の少女が静かに祈っていた。


白銀の髪。


透き通るような肌。


閉じた瞳。


純白の聖装。


少女の名は――エリシア・ルミエール。


王国唯一の聖女。


“神々の声を聞く者”。


彼女は特別だった。


神託を直接受信できる。


未来。


災厄。


世界の流れ。


それらを神々から与えられる。


王国にとって、最重要人物の一人。


だが今。


その聖女の額には、大粒の汗が浮かんでいた。


『観測不能』


頭の中へ響く声。


神々の声。


だが。


いつもと違う。


ノイズが混ざっている。


《――――修正――》

《観測――》

《外――》

《排除――》


声が乱れている。


大神官が緊張した声で問う。


「聖女様……神託は?」


エリシアはゆっくり目を開いた。


その瞳には、明確な不安が浮かんでいた。


「……王都に、“異物”がいます」


空気が凍る。


大神官たちが顔を見合わせた。


「異物……?」


エリシアは震える声で続ける。


「神々が……騒いでいます」


「観測できない、と」


その瞬間。


一部の神官の顔色が変わった。


最近の噂。


山を斬る少年。


神代遺跡認証。


王都襲撃の一撃殲滅。


全部、一人へ繋がる。


大神官が低く言った。


「……カイン・ヴェルクロフト」


エリシアが反応する。


その名を聞いた瞬間。


神託空間が乱れた。


――ザザッ。


ノイズ。


聖女の肩が跳ねる。


頭痛。


視界歪曲。


《観測不能》

《観測不能》

《観測――》


声が壊れていく。


エリシアは思わず頭を押さえた。


「っ……!」


大神官たちがざわつく。


こんなことは初めてだった。


神託は絶対。


神々の声は明確。


乱れることなどあり得ない。


なのに。


カインという存在へ触れた瞬間だけ、神託そのものが壊れる。


その時。


神託の間の扉が開いた。


セリスだった。


後ろにはアイリス。


そして。


カイン本人。


「失礼します」


セリスは静かに言う。


「聖女様による確認が必要とのことで」


エリシアが顔を上げる。


そして。


カインを見た。


瞬間。


世界が壊れた。


――キィィィィィィン!!


凄まじい耳鳴り。


神託空間へ無数のノイズ。


光景が乱れる。


未来視崩壊。


神々の声が途切れる。


エリシアの瞳が大きく見開かれた。


「……え?」


カインは普通に困った顔をしている。


「こんにちは……?」


その瞬間。


神託空間側で、“何か”が見えた。


無限の暗闇。


そこへ立つ、輪郭不明の巨大な何か。


見た瞬間、本能が理解する。


見てはいけない。


神々ですら届かない“外”。


エリシアの呼吸が止まる。


――バチィッ!!


神託術式が弾け飛んだ。


聖堂内の燭台が一斉に消える。


神官たち悲鳴。


「神託陣が!?」


「そんな馬鹿な!」


エリシアは椅子から崩れ落ちた。


全身が震えている。


恐怖だった。


神々と繋がっていた感覚が。


急に消えた。


まるで。


神々自身が、何かから目を逸らしたように。


カインが慌てる。


「だ、大丈夫ですか!?」


近づこうとする。


「来ないでっ!!」


反射的な叫び。


空気が凍る。


カインが止まる。


傷ついたような顔。


それを見て、エリシアは自分でも驚いた。


違う。


彼が怖いんじゃない。


“彼の向こう側”が怖い。


エリシアは震えながら、虚空を見つめる。


神々の声が聞こえない。


あり得ない。


世界から切断されたような感覚。


そして。


彼女はかすれた声で呟いた。


「神々が……見失っています……」

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