表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放されたけど、全能力がSSSで世界の理から外れてました  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
21/130

第21話 《観測者たち》

空の遥か上。


雲海を超え。


星界を越えた先。


そこは、人間が決して辿り着けない領域。


《神域》。


白銀の光が満ちる無限空間。


重力も時間も曖昧なその場所に、巨大な光輪が浮かんでいた。


一つ一つが“神”。


世界法則そのものを司る超越存在。


その中心。


巨大な観測盤が、異常警告を鳴らし続けていた。


《因果演算失敗》

《未来視観測不能》

《世界線固定不可能》


赤い光が空間を埋め尽くす。


異常。


前代未聞。


神々の間にざわめきが広がっていた。


『……まだ続いているのか』


低く響く声。


一柱の神が言う。


その姿は巨大な黄金の光輪。


人型ですらない。


『観測開始から既に十七日』


『にも関わらず、未だ解析不能』


別の神が冷たく返す。


『存在定義そのものが不明だ』


『世界内存在ではない』


『矛盾している』


空間に、カインの映像が浮かんでいた。


山を斬る姿。


神代炉心を停止する姿。


魔法を握り潰す姿。


どれも世界法則へ干渉している。


通常あり得ない。


なぜなら。


“法則を決めている側”が神だからだ。


その神々が。


理解できない。


それ自体が異常だった。


中央の巨大光輪が告げる。


『判定』


空気が変わる。


神々が沈黙する。


『対象名:カイン・ヴェルクロフト』


『分類』


一瞬の間。


そして。


『観測外存在』


静寂。


重い沈黙が広がる。


その言葉の意味を、神々は知っていた。


観測外。


つまり。


神々の管理法則に含まれない存在。


世界システムの外側。


あり得ない異物。


一柱が即座に声を荒げた。


『排除すべきだ』


赤黒い光輪。


攻撃性の強い神格。


『既に世界へ干渉している』


『神代炉心への管理権反応など論外』


『放置は危険』


別の神も同意する。


『同感だ』


『因果律が乱れ始めている』


『このままでは世界線固定が崩壊する』


だが。


反対意見もあった。


青白い光輪が静かに言う。


『観察継続を提案』


『対象は未だ敵対行動を示していない』


『むしろ自我未成熟』


『接触次第で制御可能性あり』


『甘い』


即座に否定が飛ぶ。


『既に複数の神代機構へ影響確認』


『世界側が拒絶反応を起こしている』


『修正対象だ』


“修正”。


その言葉に空気が冷える。


神々にとって世界とは管理対象。


法則から外れた異常は、基本的に修正される。


それが絶対原則。


しかし今回は違った。


なぜなら。


修正そのものが通る保証がない。


神々は既に試していた。


未来視。


因果固定。


存在解析。


すべて失敗。


観測しようとした側が壊れている。


それは神々にとって、未知の恐怖だった。


その時。


一柱が静かに口を開く。


純白の光輪。


冷静な声。


『問題は、“なぜ存在しているか”だ』


空気が止まる。


確かに。


そこが最大の異常だった。


観測外存在は、本来発生しない。


神々が管理している以上、“外側”は存在できない。


なのに。


カインは存在している。


つまり。


誰かが。


あるいは何かが。


神々の管理領域へ、外部から干渉した可能性。


その推論に、一部の神々が沈黙した。


禁忌に近い話だった。


やがて。


中央光輪が最終結論を告げる。


『現段階結論』


『対象を“世界修正対象”へ指定』


複数の光輪が明滅する。


承認。


神々の意思決定。


『地上干渉を許可する』


その瞬間。


空間の一角が開いた。


裂け目。


そこから、黒い光が漏れ出す。


一柱の神が前へ出る。


細い人型。


漆黒の光輪。


感情の見えない声。


『……了解した』


他の神々が見つめる。


『第一干渉を開始する』


『観測外存在――カイン・ヴェルクロフト』


『修正可能性を確認する』


次の瞬間。


黒い神影が、地上へ降下した。


同時刻。


王都ルクセリア。


王城中庭。


カインはベンチでパンを食べていた。


「最近パン率高いな……」


本人はまだ知らない。


世界そのものが。


自分を敵として認識し始めたことを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ