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追放されたけど、全能力がSSSで世界の理から外れてました  作者: 南蛇井


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第15話 《宮廷測定》

王城地下深部。


《第零魔導観測区画》。


そこは、国家最高機密領域だった。


重厚な白銀扉。


幾重もの封印術式。


空間固定結界。


侵入者排除魔法。


一歩入るだけで、ここが普通ではないと分かる。


カインは落ち着かなかった。


「……帰っていいですか」


「ダメです」


セリスが即答する。


逃げ道がない。


アイリスは腕を組んだまま周囲を警戒していた。


一方、宮廷魔術師たちは異様な熱気を帯びている。


「神代観測炉、出力安定!」


「第七演算式接続!」


「因果固定術式、展開完了!」


巨大な魔導装置群が青白く発光していた。


中央には、巨大な黒水晶。


高さ十メートル超。


表面に無数の古代文字が浮かんでいる。


カインが引いた。


「でか……」


魔術師長エルグレインが笑う。


「当然です」


誇らしげだった。


「これは神代文明期の観測装置。《アカシック・ミラー》」


「世界法則そのものを数値化する装置ですよ」


スケールがおかしい。


「歴代勇者」


「古竜」


「災害指定魔獣」


「すべて測定記録があります」


エルグレインは目を細めた。


「つまり、測れない存在などあり得ない」


その言葉に、アイリスがわずかに眉を動かした。


だが何も言わない。


セリスは静かにカインを見る。


「大丈夫ですか?」


「大丈夫じゃないです」


即答だった。


「めちゃくちゃ嫌な予感します」


「奇遇ですね。私もです」


セリスも本音だった。


空気が張り詰める。


魔術師たちが持ち場へ着く。


巨大魔法陣展開。


光が地下空間を埋め尽くした。


エルグレインが杖を掲げる。


「測定開始」


轟音。


魔導炉が回転する。


古代文字が高速展開。


黒水晶がゆっくり輝き始めた。


「カイン・ヴェルクロフト」


エルグレインが指示する。


「中央へ」


カインは恐る恐る前へ出た。


巨大水晶の前へ立つ。


嫌な汗が止まらない。


「……触ればいいんですか」


「ええ」


カインは少し躊躇ったあと、水晶へ手を置いた。


瞬間。


空間が静止した。


全員が息を呑む。


水晶内部に光文字が浮かび始める。


最初は正常だった。


《測定開始》


《魔力解析》


《存在階位測定》


だが。


次の瞬間。


文字列が崩壊した。


《∞》


「……は?」


魔術師たちが固まる。


続いて。


《ERROR》


警告音。


さらに。


《NULL》


演算式が乱れる。


最後に。


完全な空欄。


何も表示されない。


だが表示枠だけは存在している。


「なっ……」


全員の顔色が変わる。


普通ではない。


あり得ない。


測定不能ならERRORだけで終わる。


∞だけでも異常。


NULLだけでも世界級案件。


なのに。


全部が同時発生している。


しかも最後は“無”。


演算結果そのものが消えていた。


エルグレインの笑みが消える。


「停止しろ」


声が低くなる。


だが遅かった。


《演算矛盾検知》

《世界法則照合失敗》

《観測基盤崩壊》


赤い警告が空間を埋め尽くす。


ゴゴゴゴゴゴ……!!


地下全体が震動した。


魔術師たちが叫ぶ。


「出力暴走!」


「観測炉が耐えません!」


「強制遮断を――」


「できません!!」


黒水晶に亀裂が走る。


バキィッ!!


魔力嵐。


青白い雷光が地下を走った。


カインが慌てる。


「え、俺また何かしました!?」


「触っただけです!!」


セリスも叫び返す。


その瞬間。


――ドォン!!


爆発。


地下全域が揺れた。


同時に。


王城全体の灯りが消える。


完全停電。


王都上空から、巨大結界の光が一瞬消失した。


街中がざわめく。


「停電!?」


「結界が消えたぞ!?」


「敵襲か!?」


王城内部も大混乱だった。


一方、地下観測室。


黒煙。


火花。


壊滅状態。


神代装置アカシック・ミラーは、中央から完全に割れていた。


沈黙。


誰も動けない。


カインだけが申し訳なさそうに立っている。


「……すみません」


もう謝るしかない。


エルグレインは割れた装置を見つめていた。


王国最高技術。


数百年維持されてきた神代遺産。


それが。


たった接触数秒で壊れた。


彼の手が震える。


恐怖ではない。


純粋な混乱。


魔導理論そのものが崩壊していた。


やがて。


エルグレインは乾いた声で呟く。


「……理論が成立していない……」


その言葉だけが。


静まり返った地下に重く響いた。

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