表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放されたけど、全能力がSSSで世界の理から外れてました  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
12/130

第12話 《王都召喚》

朝。


アルディアの街は、奇妙な静けさに包まれていた。


通りには王国騎士団。


主要区域には結界術師。


屋根の上には監視兵。


まるで国家重要人物の護送だった。


実際、その認識は間違っていない。


中央広場には人だかりができていた。


皆、遠巻きに馬車を見ている。


王家紋章入り。


白銀装甲仕様。


王都直属の特級輸送馬車。


地方都市では滅多に見られない代物だ。


その前に、セリス・ルミエルが立っていた。


純白の礼装。


気品ある立ち姿。


周囲の空気が自然と張り詰める。


カインは少し居心地悪そうに、その前へ立っていた。


「えっと……本当に行くんですか」


「正式命令です」


セリスは即答した。


逃げ道ゼロだった。


カインは小さく肩を落とす。


周囲から視線を感じる。


恐怖。


好奇。


畏怖。


様々な感情。


もう以前みたいに、普通には見られていない。


セリスは静かに言う。


「王都で、あなたについて調査します」


「……俺について?」


「あなた自身も知る必要があります」


その言葉に、カインは少し黙った。


自分が何なのか。


なぜこうなるのか。


知りたい気持ちは、確かにある。


アイリスが横へ並ぶ。


「護衛は私が担当する」


「えっ」


「不満か?」


「いや、そうじゃなくて……」


王国最強騎士が護衛。


規模感がおかしい。


アイリスは小さく鼻を鳴らした。


「お前を野放しにする方が危険だ」


否定できない。


フィアも見送りに来ていた。


「……気をつけてね」


少し寂しそうに笑う。


カインは小さく頷いた。


パン屋のマルタも腕組みして立っている。


「ちゃんと飯食べるんだよ!」


「はい」


「あと王都の貴族にビビるんじゃないよ!」


「たぶんもう遅いです」


少し笑いが起きた。


ほんの少しだけ、空気が和らぐ。


その時。


遠くからミリアの姿が見えた。


人混みの後ろ。


彼女は何か言いたそうにしていた。


でも結局、最後まで近づけなかった。


カインも何も言わない。


ただ目が合う。


それだけ。


やがてセリスが告げる。


「出発します」


騎士たちが動く。


馬車の扉が開かれた。


カインは一度だけ街を振り返る。


この街で過ごした時間。


荷物持ちだった日々。


笑われたこと。


追放されたこと。


全部、まだ数日前のはずなのに。


もう随分遠く感じた。


馬車へ乗り込む。


扉が閉まる。


車輪が動き出した。


アルディアの街並みが少しずつ遠ざかっていく。


馬車の中。


カインは窓の外をぼんやり眺めていた。


向かいではセリスが書類を読んでいる。


アイリスは腕を組んだまま目を閉じていた。


静かな空間。


その中で、カインはぽつりと呟く。


「……俺、何なんだろうな」


誰に向けたわけでもない声。


セリスの手が一瞬止まる。


だが答えはない。


誰にも分からない。


その頃。


アルディア神殿地下最深部。


本来、地方神殿には存在しないはずの封印区画。


複数の上級神官たちが、巨大な古代装置を前にしていた。


青白い金属。


無数の術式。


神代文明の遺産。


長年沈黙していた装置が、今。


低く唸っている。


「起動しました!」


神官の声が震える。


装置中央に光文字が浮かぶ。


解析術式が高速展開。


そして。


表示された。


《世界外因子確認》


空気が凍る。


神官たちの顔色が、一瞬で消えた。


「せ、世界……外?」


「馬鹿な……そんな記録、神代禁書にしか……!」


一人の老神官が震える。


額から汗が落ちた。


その言葉の意味を、彼らは知っていた。


世界の法則外。


観測不能。


存在してはいけない異物。


そして。


同じ瞬間。


遥か空の上。


雲海を超えた先。


人の届かぬ領域。


神域。


無数の光輪が浮かぶ白い空間で、巨大な観測装置が作動していた。


《観測異常》

《因果不一致》

《運命演算失敗》


警告が連続する。


神々がざわめく。


そして中央の光が、静かに告げた。


《観測不能存在を確認》


沈黙。


神域に、初めて“動揺”が走る。


一方。


何も知らないカインは、馬車の窓へ頭を預けていた。


王都へ続く街道。


流れていく空。


その瞳には、まだ答えがない。


第一章――完。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ