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追放されたけど、全能力がSSSで世界の理から外れてました  作者: 南蛇井


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118/130

第118話 《混沌》

それは。


“存在”ではなかった。


カイン


カインは目の前の“何か”を見上げる。


だが。


見えているはずなのに。


認識できない。


形が定まらない。


巨大な人型に見えた次の瞬間。


銀河規模の海になる。


次は。


無数の眼。


さらに次は。


ただの“音”。


未来ごとに姿が変わる。


可能性ごとに存在形式が違う。


固定された形を持たない。


観測不能。


定義不能。


外界本体。


宇宙全体が軋む。


レオンが膝をつく。


レオン


「ぐっ……!」


見るだけで認識が壊れる。


脳が“固定された存在”として処理できない。


セリスも呼吸を乱す。


セリス


ルナは震えながら解析を試みる。


ルナ


「形状……なし……」


「存在定義……不可能……」


「これ……生物じゃない……!」


その通りだった。


外界本体には。


概念がない。


生命。


物質。


時間。


因果。


その全部が曖昧。


ただ。


“全可能性”だけが存在している。


観測者が震える声を出す。


観測者


『外界深層本体』


『未固定存在』


『全可能性集合体』


『接触危険』


その瞬間。


空間が変わった。


いや。


“可能性”が溢れた。


周囲の宇宙が次々変質する。


炎の宇宙。


水だけの宇宙。


時間が逆流する宇宙。


言語で構成された宇宙。


生命が数学として存在する宇宙。


全部。


一瞬で生まれ。


一瞬で消える。


固定世界が耐えられない。


ゼノが舌打ちする。


ゼノ


「ふざけた存在だな……」


「世界そのものが狂う」


カインだけが静かだった。


外界本体を。


普通に見ている。


すると。


“それ”が動いた。


空間全域へ声ともノイズともつかない何かが広がる。


言語じゃない。


だが。


カインだけは理解できた。


『固定』


『制限』


『停止』


『閉鎖』


『理解不能』


『何故』


カインは目を細める。


その声に悪意はなかった。


怒りも。


憎悪も。


ただ。


純粋な“自由”。


固定された世界という概念を理解できない。


だから。


侵食してしまう。


外界本体は。


災害に近かった。


いや。


もっと根源的。


“可能性そのもの”。


観測者が言う。


『外界は敵ではありません』


『自由そのものです』


『故に』


『固定世界と両立不能』


その瞬間。


カインは理解する。


管理世界。


固定世界。


神々。


全部。


“可能性”を制御するための檻だった。


だが。


檻は永遠には持たない。


自由は必ず流れ込む。


可能性は止まらない。


そして。


今。


限界が来た。


外界本体がさらに接近する。


瞬間。


宇宙そのものが崩壊を始めた。


星が消える。


時間が解ける。


因果が砕ける。


世界式が乱れる。


観測者が警報を発する。


『世界維持限界』


『固定領域崩壊開始』


地上。


王都。


海。


山脈。


全部がノイズへ変換されていく。


人類世界が。


存在そのものを失い始めていた。


セリスが絶望した顔で呟く。


「世界が……」


「消えてる……」


その時。


外界本体が。


初めてカインへ“視線”を向けた。


無数の未来。


無数の可能性。


その全てが。


境界存在へ収束する。


そして。


世界消滅が。


ついに始まった。

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