第119話 《創世終焉》
世界が消えていく。
空も。
海も。
大地も。
人類史そのものが。
ノイズになって崩れていく。
外界本体
それは悪意ではない。
ただ。
“自由”だった。
無限可能性。
固定を許さない混沌。
その存在だけで。
管理世界は維持できない。
観測者が最後の警告を発する。
観測者
『世界式崩壊』
『全現実維持不能』
『終末確定』
次の瞬間。
宇宙が割れた。
星々が砕ける。
銀河が光の粒へ変わる。
時間が逆流。
未来と過去が衝突する。
無数の現実が重なった。
ある世界では人類が滅亡。
ある世界では神々が勝利。
ある世界では外界が完全侵食。
全部。
同時に存在している。
多重現実衝突。
ルナが絶叫する。
ルナ
「現実境界が消えてる!!」
「可能性同士が融合してる!!」
レオンが剣を支えに立つ。
レオン
その肉体は限界。
だが。
目だけは死んでいない。
セリスも空を見上げる。
セリス
王都が消えかけている。
人々の輪郭が揺らぐ。
存在そのものが曖昧になっていた。
それでも。
誰も諦めなかった。
その中心。
カインだけが静かに立っている。
カイン
白と黒。
固定と可能性。
二つの宇宙が彼の周囲で融合していた。
観測者が問いかける。
『境界存在KAIN』
『何故抵抗する』
『管理なき世界は崩壊する』
『自由は終末を招く』
その言葉は正しい。
実際。
今が証明していた。
自由は危険だ。
可能性は世界を壊す。
固定された秩序がなければ。
宇宙は崩壊する。
だが。
カインは空を見る。
崩れゆく世界。
泣いている人。
笑っている人。
戦っている人。
全部。
不完全だった。
それでも。
生きていた。
だから。
カインは答える。
静かに。
けれど。
はっきりと。
「世界は」
宇宙全体が止まる。
外界本体すら静止。
観測者の演算も停止。
カインは前へ出る。
「誰かに管理されるためにあるんじゃない」
瞬間。
世界境界が爆発した。
白黒宇宙融合。
因果反転。
存在定義崩壊。
宇宙方程式そのものが変形する。
観測者が初めて叫ぶ。
『世界式変質!!』
カインの周囲へ。
無数の可能性が集まる。
未来。
過去。
選択。
命。
全部。
一つへ収束。
そして。
カインは。
世界式そのものを掴んだ。
宇宙を記述する根源構造。
創世の方程式。
それを。
人間だった存在が。
直接握っている。
レオンが笑う。
「……化け物だな」
ゼノも笑った。
ゼノ
「今さらだろ」
外界本体が脈動する。
無限可能性が流れ込む。
観測者が世界維持を続ける。
固定と自由。
秩序と混沌。
宇宙規模の概念衝突。
そして。
その中心で。
カインは最後の選択をする。
ゆっくり。
世界式へ手を伸ばす。
最後の干渉が。
始まった。




