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追放されたけど、全能力がSSSで世界の理から外れてました  作者: 南蛇井


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第116話 《終末演算》

白。


世界が。


白へ染まった。


観測者


観測者本体。


その最終処理が起動した瞬間。


宇宙全体が停止する。


星が消える。


時間が凍る。


因果が固定される。


そして。


巨大な文字列が宇宙全域へ展開された。


『終末演算、開始』


『世界初期化処理へ移行』


『全存在情報をリセットします』


静寂。


誰も。


すぐには理解できなかった。


だが。


次の瞬間。


世界が消え始めた。


王都。


山脈。


海。


空。


全部。


輪郭から白へ変換されていく。


存在情報そのものが削除されている。


ルナの顔が青ざめる。


ルナ


「待って……!」


「これ……破壊じゃない……!」


「世界そのものを初期状態へ戻してる……!!」


観測者の声が響く。


『固定世界維持不能』


『外界侵食回避不可』


『故に』


『全情報消去後、再構築を実行』


つまり。


一度全部消す。


文明。


生命。


記憶。


歴史。


全部。


世界を“空”に戻して作り直す。


最悪の選択。


セリスが震える。


セリス


「そんなの……!」


「今生きてる人たちはどうなるんですか!?」


観測者は即答する。


『個体維持保証不可』


沈黙。


絶望だった。


人類側通信網が混乱する。


悲鳴。


泣き声。


怒号。


世界中が恐怖へ包まれる。


だが。


その中で。


一人だけ。


レオンが前へ出た。


レオン


勇者は剣を握る。


身体は既に限界。


終末演算の圧力だけで血が流れる。


それでも。


倒れない。


「……まだだ」


観測者が巨大演算を続ける。


世界が消えていく。


だが。


レオンは立つ。


一歩。


また一歩。


前へ。


「最後まで立つのが勇者だろ……!」


叫び。


聖剣が輝く。


神殺しの光が白い世界を切り裂いた。


同時。


世界通信回線が開く。


セリスだった。


「聞いてください!!」


世界中へ響く声。


王女。


最後の演説。


「まだ終わっていません!!」


「諦めないでください!!」


崩壊する都市。


避難民。


兵士。


全員が空を見る。


セリスは涙を堪えながら叫ぶ。


「私たちはここまで戦ってきた!!」


「だから最後まで生きましょう!!」


「カインを信じてください!!」


その言葉が。


世界へ広がる。


同時。


ルナが狂ったように演算を続けていた。


「AL-0!!」


「世界式固定補助!!」


AL-0


『了解』


『演算接続』


『補助開始』


無数の数式が展開される。


ルナの目から血が流れる。


脳処理が限界を超えていた。


それでも止まらない。


「まだ……!」


「まだ世界は終わらせない!!」


さらに。


ゼノが空間上層へ突撃する。


ゼノ


黒炎。


爆発。


魔王は崩壊する神域残骸へ拳を叩き込む。


「邪魔だァァ!!」


神域残骸が砕け散る。


世界初期化演算の補助構造を破壊。


魔王は笑う。


「最後まで抗うのが生き物だろうが!!」


全員。


戦っていた。


最後の最後まで。


諦めない。


その時。


白い世界の中心。


カインが静かに目を開く。


カイン


彼は見ていた。


人類。


神々。


勇者。


魔王。


王女。


学者。


全部。


不完全で。


弱くて。


それでも。


前へ進もうとしている。


その姿を。


そして。


カインは理解する。


世界に必要なのは。


固定でも。


完全管理でもない。


“不完全なまま進める可能性”。


だから。


彼は手を伸ばした。


世界そのものへ。


境界存在。


その本質を解放する。


白と黒。


固定世界と外界。


両方を繋ぐ力。


世界が震える。


観測者の警告音が響く。


『境界反応増大』


『危険』


『危険』


だが。


もう止まらない。


カインの瞳が白黒へ変わる。


そして。


境界存在は。


ついに。


世界境界を完全解放した。

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