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追放されたけど、全能力がSSSで世界の理から外れてました  作者: 南蛇井


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第107話 《最終侵食》

終わりが始まった。


いや。


もう始まっていた終末が、ついに限界へ到達した。


世界の半分が消えていた。


大陸西部。


そこにあったはずの巨大国家群は、黒いノイズへ飲み込まれている。


都市。


文明。


人間。


全部。


輪郭だけを残して崩壊していく。


空は完全に壊れていた。


赤でも黒でもない。


“ノイズ”そのもの。


空全体へ走る無数の乱線。


映像が壊れた画面みたいに、世界が明滅する。


昼と夜が同時存在。


太陽が瞬間移動。


月の残骸が逆再生。


現実法則が限界を迎えていた。


王都中央司令部。


AL-0のモニターが警告音を鳴らし続ける。


AL-0


『世界同期率低下』


『31%』


『26%』


『19%』


数字が止まらない。


ルナが顔を青くする。


ルナ


「侵食速度が加速してる……!」


「もう法則維持が追いついてない!」


次の瞬間。


大地が裂けた。


大陸断裂。


地平線の彼方まで巨大亀裂が走る。


海が割れる。


山脈が崩れる。


世界そのものが物理的に分断されていく。


避難民たちが悲鳴を上げる。


さらに。


時間停止区域。


王都北部。


逃げ惑っていた人々が突然静止した。


瞬きしたまま。


叫んだまま。


完全停止。


風すら止まる。


時間が壊れていた。


レオンが歯を食いしばる。


レオン


「動け!!」


聖剣を振るう。


神殺しの光が時間停止領域を切り裂く。


数人だけ解放成功。


だが。


全部は救えない。


範囲が広すぎる。


世界規模災害。


さらに。


記憶消滅現象が始まった。


兵士が突然呟く。


「……あれ?」


「俺、誰を守ってたんだ?」


親が子供の名前を忘れる。


夫婦が互いを認識できない。


存在情報そのものが崩壊。


“人間”の定義が壊れていた。


セリスが震える。


セリス


「こんなの……」


「世界じゃない……」


その通りだった。


もう文明崩壊じゃない。


現実崩壊。


世界そのものが死に始めている。


その時。


空が開いた。


巨大な“眼”。


観測者。


観測者


だが。


以前より不安定だった。


ノイズが混ざる。


輪郭が崩れている。


観測者ですら侵食され始めていた。


そして。


世界全体へ声が響く。


『現世界維持限界到達』


沈黙。


誰も言葉を発せない。


観測者が続ける。


『箱庭世界、崩壊段階へ移行』


『残存時間、極小』


世界が終わる。


確定事項として宣告された。


その瞬間。


カインが空を見上げる。


カイン


彼だけが気づいた。


空の向こう。


外界のさらに奥。


“それ”が動いた。


黒いノイズが集束する。


宇宙規模。


いや。


世界規模を超えている。


外界そのものが、一点へ収束していく。


ルナが絶望した声を漏らす。


「まさか……」


「侵食中心核……!?」


次の瞬間。


空が完全に裂けた。


現れた。


巨大。


無限。


理解不能。


外界侵食の中心。


死んだ宇宙の核。


世界を喰らう“終末”そのものが。


完全出現した。

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