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追放されたけど、全能力がSSSで世界の理から外れてました  作者: 南蛇井


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第102話 《最終勇者》

世界は崩壊を続けていた。


カイン


カインの帰還によって侵食速度は一時的に低下した。


だが。


止まったわけじゃない。


空の裂け目は広がり続け。


各地では今も現実崩壊が発生している。


山脈が消える。


都市がノイズ化する。


時間停止区域。


存在欠損区域。


世界は限界だった。


王都西区。


避難民の列が続く。


泣き叫ぶ子供。


崩壊する建物。


混乱する民衆。


その最前線で。


一人の男が剣を振るっていた。


金色の光。


外界汚染を押し返す聖剣。


迫る侵食体を斬り伏せ。


崩落寸前の建物を支える。


兵士たちが叫ぶ。


「避難経路を確保しろ!」


「勇者様が前を抑えてる!!」


その中心。


立っていたのは。


レオン


勇者レオン。


かつて。


カインへ敗北した男。


神託に従い。


観測外存在を討とうとした勇者。


だが。


今の彼には迷いがなかった。


崩れ落ちる瓦礫。


そこへ子供が取り残される。


レオンは即座に飛び込んだ。


「下がれ!!」


聖剣一閃。


光が侵食空間を切り裂く。


子供を抱え。


そのまま脱出。


避難民たちが歓声を上げる。


「勇者様だ……!」


「助かった……!」


レオンは息を吐く。


泥だらけ。


傷だらけ。


それでも。


まだ立っている。


彼はずっと戦っていた。


世界崩壊の中で。


民衆を守り続けていた。


最強じゃない。


カインみたいに世界法則を壊せない。


神々を一撃で消せない。


外界にも耐えられない。


それでも。


人を守るために戦い続ける。


それが。


勇者だった。


その時。


空間ノイズが静まる。


周囲の侵食が後退した。


レオンが顔を上げる。


そこにいた。


カイン。


カイン


相変わらず気の抜けた顔。


だが。


以前とは違う。


存在感そのものが変質している。


レオンは静かに笑った。


「帰ってきたか」


カインは肩を竦める。


「まぁな」


短い沈黙。


そして。


レオンは剣を地面へ突き立てた。


「俺は」


「お前にはなれない」


周囲が静まる。


レオンは真っ直ぐカインを見る。


「世界を変える力もない」


「神を壊す力もない」


「外界にも耐えられない」


敗北を認めている。


昔の彼なら言えなかった。


だが。


今は違う。


レオンは続ける。


「でも――」


その瞳には、確かな光があった。


「人を導くことならできる」


その瞬間。


避難民たちが彼を見る。


兵士たちも。


民衆も。


絶望しかない世界で。


それでも前を向けている理由。


勇者がいるから。


レオンは最強じゃない。


だが。


人類の希望だった。


カインが少し目を細める。


「……変わったな、お前」


レオンは苦笑する。


「お前に負けたからな」


「ようやく分かった」


「勇者ってのは、最強の称号じゃない」


「最後まで立つ奴のことだ」


風が吹く。


赤い空。


崩壊する世界。


その中で。


勇者は立っていた。


そして。


レオンは剣を抜く。


光が走る。


聖剣が完全覚醒していた。


神殺しの光。


人類最後の希望。


レオンは剣先をカインへ向けた。


敵意じゃない。


覚悟。


「カイン」


「一緒に世界を救うぞ」


周囲が静まり返る。


勇者が。


正式に。


観測外存在へ共闘を求めた。

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