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第二十四話 臥龍

“多摩川河川敷のシンデレラグース”。


あの動画は、


サウナ界で伝説になっていた。


特に。


バズったのは。


劉備小桃だった。


劉備。


熱波。


笑顔。


タオル回し。


整った表情。


コメント欄。


「あの子誰!?」


「熱波受けたい」


「かわいすぎる」


結果。


上野の人気サウナ。


さらに大阪の人気大型サウナ施設。


そこから依頼が来た。


“月数回限定アウフグース”。


部室。


孔明。


顔色が悪い。


「無理だよ」


劉備。


「何が?」


孔明。


「あんな閉じた空間で」


「汗だく裸のおっさんたちに囲まれて」


「アウフグースとか……」


想像。


蒸気。


裸体。


欲望。


おっさんたちの劣情。


地獄。


孔明。


「絶対ダメ」


劉備。


少し引く。


「いや……」


「レディースデイだけだよ?」


孔明。


停止。


「……女性限定?」


「うん」


「よかったぁ……」


周律。


「何を想像してたんですか」


その日。


部室。


灯油ストーブ。


幼児用プール。


いつもの地獄。


アウフグース練習。


なぜか。


タモリも普通に参加していた。


タモリ。


サングラス。


上裸。


タオル回してる。


誰もツッコまなくなっていた。


その時。


ガラッ。


石嶺先輩。


石嶺先輩


「おつかれ〜♡」


部室。


ざわつく。


中山。


鼻血。


石嶺先輩。


当然のようにタオルを持つ。


そして。


熱波開始。


ブワァァァ―――!!


柔らかい。


包み込むような風。


癒し。


対する。


劉備。


鋭い。


元気。


まっすぐ。


二人。


なぜか。


孔明の前で競い始める。


石嶺先輩。


「どっちが気持ちいい〜?」


劉備。


「どっちが上手?」


孔明。


停止。


周律。


小声。


「終わった」


石嶺先輩。


ほんわか癒し系。


劉備。


元気かわいい系。


選べない。


絶対選べない。


石嶺先輩。


さらに迫る。


「ほら〜♡」


劉備。


「どっち?」


熱。


蒸気。


圧。


孔明。


限界。


そして。


孔明の回答。


叫ぶ。


「……水風呂!!」


沈黙。


関羽。


「逃げたな」


周律。


「最低の回答」


しかし。


孔明にはそれしかなかった。


その夜。


孔明。


眠れない。


ベッド。


天井。


悩む。


選ぶ?


本当に?


どっち?


両方はダメ?


悩む。


悩む。


悩む。


その時。


机の上。


最近。


“演出の参考”として買った本。



仙術入門



怪しい。


めちゃくちゃ怪しい。


しかし。


孔明はページをめくる。


呼吸法。


精神統一。


半信半疑で試す。


吸う。


吐く。


吸う。


吐く。


すると。


少しずつ。


頭がスッキリしてくる。


悩みが遠くなる。


意識が薄れる。


そして、いつのまにかうとうとしていた。


夢を見る。


巨大な龍。


天空を駆ける。


雲。


光。


風。


目覚める。


頭が妙にクリアだった。


まるで。


天空と繋がっているみたいに。


しかし。


やっぱり。


選べない。


でも。


呼吸法はいい。


悩みが、


その瞬間だけ消える。


孔明。


思う。


「……部活でも使えるかも」

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