表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/67

第八話 鬼神 孔明

放課後。


旧校舎三階。


ガラッ!!!


勢いよくドアが開く。


タモリ。


「おい」


「部室暑っ!?」


熱気。


異常な熱気。


灯油ストーブ三台。


窓封鎖。


湿度。


むわぁっとした空気。


そして。


部員たち。


水着。


タオルを振り回している。


ブンッ!!


ブンッ!!


ブォンッ!!


劉備。


真顔。


関羽。


上裸。


呂布。


無駄にフォーム綺麗。


渡辺美由。


めちゃくちゃ楽しそう。


周律。


なぜか妙に様になっている。


タモリ。


完全停止。


「……おまえら」


「狂ったか?」


その時だった。


部室の陰。


ゆらり。


熱気の向こうから現れる影。


孔明だった。


半裸の孔明。


手には。


“水”


と書かれたセンス。


ふふふ。


と笑いながら近づいてくる。


タモリ。


少し後退。


「怖っ」


孔明は静かに言った。


「ダイエットですよ」


センスを振る。


熱風。


「そしてこの動きは」


「モルックにも役立つ」


さらに振る。


ブワッ!!


「炎天下での大会耐性にもなる」


「理にかなっている」


部員が全員でタオルを回す。


熱で空気が揺らぐ。


その姿は一瞬。


横山光輝の描く諸葛亮のようだった。


タモリ。


少し見惚れる。


孔明は羽扇のごとくセンスを掲げた。


「さあ皆さん」


「水風呂です」


羽扇ならぬセンスが振られる。


関羽。


「うおおおおお!!」


ドボン!!


幼児用プールへ飛び込む。


呂布。


「整う……!」


渡辺。


「きゃーー冷たい!!」


周律。


静かに目を閉じる。


劉備。


タオルを回しながら。


「熱波ァァァ!!」


タモリ。


「地獄か……」


しかし。


どこか楽しそうだった。


翌日。


またアウフグース。


また灯油ストーブ。


また熱波。


もう誰も止めない。


孔明。


センス。


関羽。


汗。


呂布。


無駄に良いフォーム。


その時。


ガラッ。


ドアが開く。


全員振り向く。


沈黙。


石嶺先輩だった。


石嶺先輩


しかも。


水着。


部室停止。


石嶺先輩。


「え〜、なんか楽しそうだから私もやりたい〜」


中山ミツル。


停止。


中山ミツル


完全停止。


顔真っ赤。


瞳孔崩壊。


次の瞬間。


ブッ!!!


鼻血。


いや。


量がおかしい。


池田屋事件の沖田総司の喀血レベル。


「うわぁぁぁぁ!!」


ドバァァァ!!!


幼児用プール。


赤。


真っ赤。


関羽絶叫。


関羽


「俺の弟のプールがぁぁぁ!!」


孔明。


「中山心配しろよ!!」


呂布。


「出血量おかしい!」


渡辺。


「死ぬ死ぬ死ぬ!!」


周律。


冷静。


「ティッシュあります?」


石嶺先輩。


完全に引いてる。


「えっ怖……」


中山は担架みたいにマットへ運ばれていった。


そして翌日。


夕方。


誰もいない部室。


窓際。


タモリが一人立っていた。


外を見る。


校庭。


部員たち。


モルック練習。


劉備。


投げる。


カン!!


鋭い。


明らかに前より動きがいい。


関羽。


ドゴッ!!


回転が綺麗。


呂布。


体幹が異常に安定している。


周律。


静かに正確。


渡辺。


タオル回しのようなフォームから自然に繋がる。


本木。


止まる。


「……まさか」


気づく。


あの腕の動き。


重心移動。


肩の使い方。


熱波。


アウフグース。


本木の目が見開かれる。


「アウフグース……!」


沈黙。


その瞬間。


本木の中で。


孔明へのリスペクトが、


ストップ高になった。


本木。


窓の外を見ながら。


小さく呟く。


「あいつ……天才か?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ