第十九話 趙雲子龍大学デビュー
四月。
春。
桜。
新歓。
青春。
そして。
趙雲子龍――田中浩介は。
大学デビューに失敗していた。
*
「……」
広いキャンパス。
眩しい新入生たち。
キラキラしていた。
怖い。
だが。
趙雲は決意していた。
「今度こそ……!」
高校時代。
何度も部室へ行けなかった。
誰もいなかった。
タイミングが悪かった。
でも。
大学なら。
今度こそ。
「俺が……」
静かに拳を握る。
「ダイエット部を作る!」
*
数日後。
新歓ブース。
机。
紙。
ペン。
そして。
手書き看板。
『ダイエット部
(モルック可)』
弱い。
勧誘文が弱い。
*
だが。
趙雲は頑張った。
「ど、どうですか……」
声小さい。
しかも。
五虎将軍Tシャツ。
怖い。
*
通行人。
「え?」
「ダイエット部?」
「なんか宗教っぽくね?」
傷つく。
*
女子。
「モルックって何?」
「木を投げる競技です……」
「地味〜」
致命傷だった。
*
その時。
趙雲は思った。
高校時代。
なんであんなに人集まってたんだ?
「……」
答え。
石嶺先輩だった。
*
数日後。
部員。
ゼロ。
「……」
春風。
チラシだけが飛ぶ。
*
しかし。
そこへ。
「失礼します」
声。
振り向く。
一年男子。
ぽっちゃり。
メガネ。
「……!」
来た。
ついに。
仲間。
「入部希望ですか!?」
趙雲、
人生最大級の笑顔。
だが。
男子は言った。
「いや、看板飛ばされていたんで。」
手書きの看板が春風に飛ばされていた。
看板をわたすと、ぽっちゃり青年は春霞の彼方へ去って行ってしまった。
終わった。
*
さらに数日後。
学生課。
「部員五人未満のため」
職員が淡々と言う。
「廃部です」
「……」
「……」
「……はい」
静かだった。
*
帰り道。
夕暮れ。
桜。
散る花びら。
趙雲は一人歩く。
そして。
小さく呟いた。
「……俺」
風。
春。
白い雲。
「やっぱ石嶺先輩いないとダメなのかな……」
その時。
スマホ通知。
『石嶺先輩、新生活Vlog更新!』
趙雲は静かにイヤホンを付けた。
「みなさんこんにちは〜♪」
春の夕暮れ。
大学一年生。
友達少ない。
部活消滅。
そして。
再生される、
低糖質オートミール動画。
なんか少しだけ、
かなり少しだけ、
泣きそうだった。
読んでいただきありがとうございました。
第二章はこれで終わりです。少し話を練ってから、うまくまとまったら第三章をに進むかもしれません。
重ねて、ありがとうございました。




