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諸葛亮と呼ばないで〜陰キャ高校生ダイエット部の軍師になり無双  作者: 座山食空
第二章 勝ち得たもの、失われていくもの
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第十八話 春遠からじ

三学期。


別れの季節だった。


雪が降っていた。


静かに。


ゆっくり。


校庭。


旧校舎。


モルック棒。


全部の上に、

白が積もっていく。



放課後。


旧校舎第三準備室。


「……」


なんとなく静かだった。


最近。


みんな少しずつ、

“終わり”を意識していた。


石嶺先輩。


周瑜先輩。


曹操会長。


関羽先輩。


三年生。


卒業する。


当たり前だけど。


なんか。


全然実感がなかった。



窓の外。


雪。


白い空。


僕はぼんやり思い出していた。


去年の今頃。


ダイエット部は、

三人しかいなかった。


劉備小桃。


関羽先輩。


周瑜先輩。


そこへ。


曹操会長が現れて。


僕が入って。


石嶺先輩が来て。


呂布が来て。


気づけば。


毎日騒がしくなっていた。



「孔明〜!」


劉備小桃が笑う。


「聞いてくれ!」


「なんですか」


「卒業式で泣きそう!」


「早いですね」


でも。


劉備小桃の目はもうすでに少し赤かった。



その時。


関羽先輩が静かに言った。


「……終わるんだなぁ」


珍しく。


真面目だった。


「先輩……」


「なんか」


笑う。


少し寂しそうに。


「ずっと続く気してた」


静寂。


雪。


白い息。


その時。


曹操会長が言った。


「終わるから美しいんだ」


「うわ会長それ卒業アルバム載るやつ」


「載せろ」


普通に言った。



卒業式当日。


雪は止んでいた。


空気だけが冷たい。


体育館。


拍手。


証書。


別れ。


そして。


「……」


石嶺先輩。


制服。


最後。


なんか。


綺麗だった。



式後。


旧校舎第三準備室。


最後の部活。


「……」


静かだった。


誰もふざけない。


珍しく。


その時。


周瑜先輩が言った。


「孔明」


「はい?」


「次、お前らの代だ」


「……」


「ちゃんと続けろよ」


「はい」


その横。


石嶺先輩が笑う。


「腹筋も戻しなね?」


「まだ言います?」


最後までそれだった。



夕方。


校庭。


雪解け。


地面の下。


春を待つ草花。


僕はふと思った。


終わる。


でも。


終わるだけじゃない。


次が始まる。


僕と劉備小桃は三年生になる。


呂布は二年生。


新しいダイエット部。


新しい季節。



「……さよなら先輩たち」


僕は小さく呟いた。


なんか。


少し泣きそうだった。



――しかし。


現実は、

そんな綺麗に終わらなかった。



四月。


新学期。


劉備と新入生勧誘の打合せのため、朝早く部室に向かった。


「おはよー!」


石嶺先輩だった。


「えっ」


普通に部室へいた。


「大学は!?」


「午後から〜」


軽い。



その横。


曹操会長。


「……」


腕組み。


圧。


「会長も!?」


「週二で来る」


「なんで!?」


「天下統一は終わっていない」


終わってる。


完全に。



さらに。


「おっす」


関羽先輩。


制服。


「……」


「……」


「……なんで?」


静寂。


関羽先輩は目を逸らした。


「……留年した」


「ええええええ!?」


しかも。


「同じクラスだぞ孔明!」


「最悪だ!!」



劉備小桃が机叩いて笑ってる。


石嶺先輩も笑ってる。


呂布は静かに言った。


「……関羽先輩らしいですね」


周瑜先輩だけ、

少し遠くから笑っていた。


春の風。


新しい学年。


「部活紹介はちゃんとやりましょうね」


「おう、まかせたぞ、孔明!」


「新入生いるから、諸葛亮と呼ばないで!」


でも。


結局。


ダイエット部(三国志研究会)は、

あまり変わっていなかった。


そして僕は思う。


青春って。


終わりそうで。


案外、

終わらないのかもしれない。


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