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諸葛亮と呼ばないで〜陰キャ高校生ダイエット部の軍師になり無双  作者: 座山食空
第二章 勝ち得たもの、失われていくもの
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第十五話 関帝廟勢力を拡大

十二月後半。


冬だった。


空気は冷たく。


吐く息は白く。


そして。


劉備小桃が、

少しだけ変わった。



「孔明!」


放課後。


部室。


「はい?」


「交杯だ!」


「また!?」


白い馬上杯。


レモン炭酸。


「それ俺の炭酸水だけど」


周瑜先輩が文句言う。


最近、

妙に交杯の頻度が高い。


よっぽど気に入っているみたいだ。


しかも。


前と違う。


以前の劉備小桃なら、


「うおおお天下統一ぃぃぃ!!」


みたいな勢いだった。


でも今は。


少しだけ。


照れている。


「……」


しかも。


時々はにかむ。


なんなんだこれ。


僕の心臓がもたない。



「孔明」


「はい?」


「我ら水魚の交わり!」


「それ最近お気に入りですね」


「うむ!」


でも。


最後だけ少し声が小さい。


そして。


腕を絡める。


カチン。


冬の夕陽。


部室。


なんか。


妙に距離が近い。



その時だった。


ガラッ。


「……」


曹操会長だった。


圧。


そして。


会長は数秒静止し。


ゆっくり言った。


「……お前ら」


嫌な予感。


「それ、中国の結婚式でやるやつだぞ」


静寂。


「……え?」


「……え?」


僕と劉備小桃が止まる。


会長は真顔だった。


「交杯酒」


「夫婦の儀式だ」


「……」


「……」


数秒後。


「えええええええ!?」


部室崩壊。


劉備小桃が馬上杯落としかける。


僕は咳き込む。


「し、知らなかった!!」


「俺もだ!!」


真っ赤だった。


二人とも。



周瑜先輩が呆れていた。


「お前らほんと危なっかしいな」


「先に言ってくださいよ!」


「面白かったから黙ってた」


最低だった。



その横。


呂布。


「……」


最近。


かなり小さくなっていた。


いや。


まだ大きい。


でも。


痩せた。


めちゃくちゃ。


「呂布……」


関羽先輩が震える。


「お前……」


「現在98kgです」


「二桁!?」


ついに。


100kgを切っていた。


しかも。


頬がシュッとしている。


目が鋭い。


完全に修行僧だった。


「最近女子から話しかけられる回数増えました」


「うおおおお!!」


劉備小桃が拍手する。


呂布は少し照れた。


だが。


その横。


関羽先輩。


「……」


巨大だった。


また。


膨らんでいた。



「関羽先輩」


僕は恐る恐る聞く。


「……何kgですか」


静寂。


「……」


「……」


「……120」


「30kg戻ってる!?」


やけ食いだった。


完全に。


「TSUNAMI聴きながら唐揚げ食べてたら……」


「食うな!!」


「失恋ってカロリー使うんだな……」


「逆です!!」



その時。


周瑜先輩がスマホを見ながら言った。


「そういや」


「?」


「マリア学園の校庭にも関帝廟できたらしい」


静寂。


「……は?」


「なんで?」


「失恋した関羽先輩かわいそうって女子たちが」


怖い。


なんなんだこの宗教。



さらに。


写真。


そこには。


石像みたいな石。


供物。


焼きそばパン。


シロツメクサ。


「神格化されてる!?」


関羽先輩本人が一番怯えていた。


「俺……死んだ……?」


「生きてください」



夕方。


冬の空。


部室。


僕はふと、

隣を見る。


劉備小桃。


笑っている。


でも。


前より少し静かだ。


時々。


僕を見る目が違う。


そして。


また。


「孔明」


「はい?」


「交杯するか」


「だから誤解招くんですよ!」


劉備小桃は笑った。


少し照れながら。


その顔を見て。


僕は最近。


ますます困るようになっていた。


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