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諸葛亮と呼ばないで〜陰キャ高校生ダイエット部の軍師になり無双  作者: 座山食空
第二章 勝ち得たもの、失われていくもの
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第十六話 石嶺先輩を元気づける英雄会

十二月下旬。


冬は深くなっていた。


そして。


石嶺先輩は、

明らかに疲れていた。



最近。


部活へ来ても。


少し笑顔が弱い。


スマホを見ては、

ため息をつく。


撮影。


学校。


事務所。


ABEMA。


雑誌。


そして。


YouTube。


全部重なっていた。


「……」


その日も。


石嶺先輩は小さく呟いた。


「また変なコメント来てる」


「……」


僕たちは黙る。


最近、

アンチコメントが増えていた。


『あざとい』


『作ってる』


『痩せてない』


『彼氏いるだろ』


『またどうせオートミールだろ』


『作家ついてるだろ』


『イアモ二仕込んでるだろ』


『まあまあブス』


心が削られるやつだった。



しかも。


最近では。


石嶺先輩のスイーツ作りの役割を、

呂布が一部代行していた。


理由。


ヘビーユーザーだったから。


「……」


呂布は静かに言った。


「石嶺チャンネル、全話三周してます」


怖い。


でも。


その結果。


低カロリースイーツを作れるようになっていた。


意味がわからない。



その日。


呂布が持ってきた。


「クスクスの低糖質ティラミスです」


「クスクス!?」


なんで急に北アフリカ。


でも。


うまかった。


悔しいくらい。


「……」


石嶺先輩も少し笑った。


その時。


劉備小桃が立ち上がる。


「決めた!」


嫌な予感。


「石嶺先輩を元気づける英雄会を開催する!!」


「また始まった」



数日後。


旧校舎第三準備室。


飾り付け。


鍋。


お菓子。


なぜかステージ風空間。


『英雄会』


達筆だった。


出た、劉備の無駄な達筆(書道四段)。



「それでは!」


劉備小桃が叫ぶ。


「第一回!石嶺先輩を元気づける英雄会を開催する!!」


拍手。


石嶺先輩は困りながら笑っていた。


「なにこれぇ」


「英雄たちの宴だ!」


「絶対違う」



最初。


劉備小桃。


「では聞いてくれ!」


なぜか正座。


そして。


詩吟。


「吟じます――」


渋い。


高校生じゃなかった。


しかも妙に上手い。


「敦盛ぃぃぃ!!!」


「なんで!?」


部室爆笑。


石嶺先輩も笑い始める。



次。


関羽先輩。


「……失恋を踊ります」


意味不明だった。


そして。


突然始まる。


マイケル・ジャクソン。


「ポゥ!!」


ムーンウォーク。


無駄にうまい。


「なんで!?」


「中学時代やってました……」


初耳だった。


しかも途中で泣き始めた。


情緒終わってる。


石嶺先輩が笑いすぎて泣いていた。



次。


僕。


「……蜀武将暗唱やります」


「なんで?」


「流れです」


そして。


「関羽、張飛、趙雲、馬超、黄忠、魏延、陳登、呉蘭、法正、、」


途中からわからなくなった。


「えーと……馬騰……?」


「そこ違うだろ孔明!!」


呂布が立ち上がる。


怖い。



そのまま。


呂布ステージ。


「クスクスを使った低糖質パフェです」


なんで高校生がクスクス極めてるんだ。


でも。


めちゃくちゃうまい。


石嶺先輩が普通に感動していた。


「武田くん店出せるよ……」


呂布、

その場で赤くなる。



次。


周瑜先輩。


「では」


テーブルクロス引き。


地味。


だが。


成功。


拍手。


そして。


二回目。


失敗。


全部落ちた。


鍋も落ちた。


地獄だった。



最後。


静寂。


曹操会長。


「……」


アカペラ。


サザン。


『Ya Ya』


うますぎた。


普通に。


部室が静まる。


冬。


夕方。


少し寂しい空気。


そして。


石嶺先輩が笑う。


久しぶりに。


心から。


「……っふふ」


「……あははは!」


よかった。


ほんとに。



帰り道。


冬の夜。


白い息。


石嶺先輩と二人だった。


「今日はありがとね」


「いえ」


「元気出た」


その時。


石嶺先輩が僕を見る。


あの顔だった。


少し悪戯っぽい。


ずるい笑い方。


「……ねぇ孔明くん」


「はい?」


「恋愛禁止だけど」


風。


白い息。


そして。


「バレなければいいんだよ?」


静寂。


「……え?」


脳停止。


石嶺先輩は笑う。


楽しそうに。


そして。


そのまま歩いていく。


「ちょっ」


「おやすみ〜」


残された僕。


完全に混乱。


冬の空。


白い息。


心臓だけが、

めちゃくちゃうるさかった。

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