表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
諸葛亮と呼ばないで〜陰キャ高校生ダイエット部の軍師になり無双  作者: 座山食空
第二章 勝ち得たもの、失われていくもの
39/64

第十話 劉備と孔明の修学旅行

十一月。


秋はかなり深まっていた。


木々は色づき。


空気は澄み。


そして。


修学旅行の季節だった。



「京都奈良だぁぁぁ!!」


劉備小桃が新幹線ホームで叫ぶ。


「テンション高いですね」


「修学旅行だぞ!?」


「知ってます」


「青春最大イベントの一つだぞ!?」


「文化祭でも同じこと言ってましたよね」


その時。


周囲の男子たちの視線がこちらへ向く。


「……」


「……」


「山田、やっぱ許せねぇ」


怖い。


最近本当に怖い。



ちなみに。


ダイエット部(三国志研究会)の二年生は、

僕と劉備小桃しかいなかった。


つまり。


修学旅行期間。


この二人だけ。


嫌な予感しかしなかった。


そして僕らにはクラスに仲の良い友達なんかいない。



新幹線。


座席。


当然のように隣。


富士山の見えるE席を奪い合う。


押しくらまんじゅうのように。


いろいろ当たる。


周りの生暖かい目。




だが。


修学旅行というものは恐ろしい。


普段と違う空気。


非日常。


ホテル。


夜。


京都。


青春補正。


全部危険だった。



京都到着。


清水寺。


紅葉。


観光客。


そして。


「うおおおお!!」


劉備小桃、

めちゃくちゃはしゃいでいた。


「孔明見ろ!」


「はい?」


「鹿!!」


「奈良じゃないですよ」


「先行配備かもしれん!」


意味不明だった。



その時。


女子グループ。


「ねぇ見て」


「ダイエット部の二人じゃん」


「やっぱ付き合ってるのかな」


「お似合いじゃね?」


「……」


「……」


劉備小桃と僕は、

同時に変な咳をした。


「ゲホッ」


「ゴホッ」


空気が終わった。



夕方。


自由行動。


なぜか。


僕と劉備小桃、

二人だけになっていた。


「……」


「……」


なんで?


さっきまで班いたよね?


「孔明」


「はい?」


「これ迷子では?」


終わった。



京都の裏道。


夕暮れ。


赤い葉。


石畳。


観光地の喧騒が少し遠い。


「……」


「……」


なんか。


急に静かだった。


その時。


劉備小桃が言った。


「なぁ」


「はい?」


「最近さ」


風。


髪。


秋の匂い。


「石嶺先輩と仲良いよな」


ドクン。


「え?」


「いや別に普通ですよ」


「ふーん」


なんか。


機嫌悪い?


その時。


「あっ」


劉備小桃が段差で滑る。


危ない。


僕は反射的に腕を掴んだ。


静止。


近い。


顔。


距離。


紅葉。


夕暮れ。


「……」


「……」


「……」


その瞬間。


通りすがりのおばちゃん。


「まぁ〜青春ねぇ〜」


「違います!!」


即否定した。


だが。


劉備小桃は、

なぜか少しだけ不満そうだった。



夜。


旅館。


自由時間。


男子部屋。


地獄だった。


「山田ぁ」


「なんですか」


「お前さ」


また始まった。


「劉備部長と何もないの?」


「ないです」


「でも修学旅行ずっと一緒じゃん」


「班だから!」


「……」


「……」


「……爆発しろ」


「理不尽!!」



その頃。


女子部屋。


「小桃ってさー」


「ん?」


「山田くん好きなの?」


「はぁ!?」


布団が飛んだ。



翌朝。


眠い。


寒い。


京都の朝。


ロビー集合。


そして。


「おはよ孔明」


劉備小桃が来た。


なんか。


少しだけ。


昨日より距離が近い気がした。


「……」


「……」


妙にお互い目を合わせづらい。


その時。


先生が叫ぶ。


「はい班ごと並べー!」


救世主だった。



だが。


修学旅行が終わる頃。


僕は少し気づき始めていた。


劉備小桃といる時間が。


前より。


特別になり始めていることに。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ